スターバックスコーヒージャパン(東京・品川)は2025年12月12日、ファッションブランドのビームス(東京・渋谷)と共同で展開するプロジェクト「STARBUCKS STAND by BEAMS」から新企画『SEASONAL Collection(シーズナル コレクション)』を発売すると発表した。初弾のテーマはスターバックスの定番豆「ケニア」で、自然や文化をモチーフにした全6型13アイテムを展開する。
両社は2025年9月に同プロジェクトを始動しており、コーヒーとファッションを融合させたライフスタイル提案を掲げている。今回のコレクションは季節性と文化性を重ねた新展開の一環で、スターバックスが世界各地のコーヒー産地と文化を尊重しながら新たな表現を模索する流れに沿うものだ。ビームスはデザイン監修を担い、素材と色彩の選定でケニアの象徴的な文様や自然を取り入れた。
「ケニア」に着想し全6型13アイテム展開
ケニアに着想を得て、全6型13アイテムを展開する。コレクションでは、ケニアの雄大な自然風景や文化的多様性を色彩とモチーフで表現する。アフリカゾウやラテアート、コーヒーカップ、コーヒー豆などを描いたオリジナル柄を用いたニットやブルゾン、Tシャツなどをそろえる。素材の多様性にも配慮した、コットンネルを採用したフードブルゾンやウール100%のジャカードニットなどを用意する。すべてユニセックスでXSからXLまでのサイズを展開する。ビームス ライフ 横浜限定でフリースクッションも販売する。全体として、家庭でも街でもコーヒー文化を感じられるデザインを意識した構成になっている。
都市生活との接点広げるブランド協業
STARBUCKS STAND by BEAMSは、両社が「コーヒーのある新しいライフスタイル」を共創するプロジェクトとして、2025年秋に設立した。日常で感じるコーヒーの香り・質感・色をファッション的に解釈し、文化として拡散させる意図がある。これまで日常的に着用可能な『CORE Collection』、特別企画ライン『EXTRA Collection』を発表しており、今回の『SEASONAL Collection』はそれに続く第三の軸となる。スターバックス側は季節や地域・文化をテーマにした商品展開を定期的に計画しており、今後もファッションとコーヒーの相互作用による新シリーズの発表を予定している。
スターバックス コーヒー ジャパン×ビームス協業深化へ
スターバックス コーヒー ジャパンは、1996年に日本で初の店舗を開業し、全国47都道府県で約2000店舗を運営、約6万人の従業員が勤務・地域活動に参加している。コーヒーやコミュニティ環境関連の取り組みは“STARBUCKS STORIES JAPAN”を通じて公式に紹介しており、2019年には“スターバックス リザーブ ロースター東京”を発足させた。
一方、ビームスは1976年創業のセレクトショップで、国内外約170店舗を展開している。さまざまなブランドと文化を紹介し、企業や自治体との協働実績も多く、今回の共同開発でもデザインおよび企画監督の役割を担った。両者は「人間中心の文化創造」という哲学に共感を形成した。
業界関係者によれば、ブランドコラボレーションは単なる販売を超え、外食産業とファッション産業の融合という都市文化の再編現象として注目されている。コーヒー文化を代表するスターバックスとファッション編集のビームスは、消費者の新規購買行動を刺激する要因として評価されている。さらに、両者の協力モデルが、いかに持続可能性や地域社会貢献などの社会的課題へ拡張されていくかが今後の核心テーマとなっており、「生活の中の文化をつなぐ」という方向性が注目されている。
価格よりも価値訴求へ転換進む
国内でもカフェチェーンやライフスタイルブランドとの協力事例が増えており、その背景には日常の飲料であるコーヒーを通じて新しい体験価値を提案する動きが加速している。消費者の関心が価値体験の側へ移る流れの中で、スターバックスとビームスの連携は非常に戦略的なカルチャーマーケティング事例といえるだろう。グローバルブランドと国内ブランド間のコラボレーションは他の産業にも波及する可能性がある。
今後も、SEASONAL Collectionの定期発売や地域・生産地を中心とした新作発表を行う予定である。コーヒーを軸とした文化発信を継続し、ファッション文脈の中でブランドの認知度を高めることが目的だ。一方、数量限定販売による希少性の確保や転売防止など、需要管理の課題も残っている。さまざまな消費者層へ対応する柔軟な展開が今後の鍵となるだろう。