2025年12月8日、岡山市に本社を置くサンワサプライは、VESA規格の取り付け穴がないモニターをモニターアームに固定できるホルダー部品「CR-LAVESADP1」を発売した。13~32インチのモニターに対応し、家庭用から企業のオフィスまで幅広く活用できる想定だ。厚さ10~70mmまで対応する設計で、背面の形状に左右されず安定して設置できる。
同社は、在宅勤務や個人のワークスペース拡充に伴い、多様なモニターを有効活用する需要が高まっているとみている。既存の規格に合わない機器にもアーム利用の選択肢を広げ、高まる需要に対し柔軟に応じる狙いだ。
VESA非対応でも固定できる構造
新製品「CR-LAVESADP1」は、スチールとプラスチックを用いた構造で、ホルダー1本あたりの質量は約180g。設置時の操作性を考慮し、必要工具をセットに含めている。包み込み式の保護クッションを備え、機器表面を傷つけにくい点も特徴だ。また、VESAアーム側との接合には75×75mmおよび100×100mmの2規格に対応しており、既存のモニターアームとの互換性を確保している。これにより、製品買い替えや既存アームの再活用といった利用ケースにも適応できる。
同製品は、モニターを両側から挟み込むことでアームに装着する仕組みを採用した。背面にネジで固定する方式を取り、表面が平らでないモニターでも安定した接続を実現する。13~32インチの各種サイズに対応し、モニターの厚みに応じて複数のボルトを選べる仕様とした。厚み10~70mmの範囲で設置できるため、一般的な家庭用ディスプレイから業務用モニターまで適用範囲が広い。耐荷重は10kgに設定し、多くの液晶モデルに対応する設計としている。
在宅ワークやオフィス整備需要に応える
サンワサプライは、パソコン周辺機器やオフィス家具を製造・販売する企業で、オンライン直販サイト「サンワダイレクト」などでオフィス・在宅双方の作業環境改善を支援してきた。コロナ禍以降、デュアルモニターや大型モニターを導入する家庭が増え、モニターアーム製品の需要が拡大している。既存の規格に対応しないモニターも依然として多く、アーム利用を諦める利用者が少なくなかった。今回の製品は、そうした制約を解消することで新たな設置の自由度を生み出す狙いがある。
拡大続くデスク周辺機器市場
市場調査会社によると、国内モニターアーム関連製品の市場は在宅勤務の定着により年々拡大傾向にある。省スペース化や姿勢改善を目的とする需要が特に強く、メーカー各社は設置の簡便さと互換性向上を競っている。モニターメーカー側では薄型化やデザイン性重視の製品が増える一方で、VESA穴を設けないモデルが一定数存在し、取り付け手段の多様化が業界共通の課題となってきた。今回の製品は、こうした市場の隙間を補う機能提案といえる。
利用者層拡大で見える新たな課題
企業ではオフィス移転に合わせて可動式デスクやアームを導入する動きが進み、またフリーアドレス席の普及により、ディスプレイの設置・撤去を容易にしたいという要請も増している。IT機器販売店関係者は「規格外モニターを持つ利用者の利便性を確保できる点が評価されるだろう」と指摘する。今後は、設置環境や耐荷重、安全基準などの確認を怠るとトラブルにつながる恐れもある。さらに大型化するディスプレイへの対応拡張が今後の課題となりそうだ。