KYCOMホールディングス<9685>は2月12日、2026年3月期第3四半期(25年4月〜12月)の連結決算を公表した。売上高は前年同期比8.0%増の53.24億円、営業利益は同1.1%増の4.18億円となり、増収増益を確保した。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)関連の投資需要を着実に取り込み、収益基盤の拡大につなげている。
主力の情報処理事業では、経営資源を統合管理するERP(基幹業務システム)の構築や、ローコード・ノーコード開発、AIシステム開発など、企業の業務効率化・高度化に直結する案件が伸びている。大手のプライムベンダーの下で、上流工程を含む開発・運用案件に継続的に参画し、質の高い人材を安定的に供給できる体制を強みに、受託規模の拡大を狙う。こうした動きを通じて、将来の成長を見据えた企業体質の強化を進めている。
26年3月期3Q、情報処理が牽引し増収
2026年3月期第3四半期連結業績は、経常利益が前年同期比3.5%増の4.65億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同10.1%増の3.51億円と、利益段階でも増益を確保した。売上面では情報処理事業が49.07億円と前年同期比8.6%増加し、全体を牽引した。一方、同事業のセグメント利益は3.10億円と同10.4%減少し、人材投資や待遇改善に伴うコスト増が収益性を圧迫した。
不動産事業の売上高は前年同期比10.3%増の1.88億円、営業利益は同46.9%増の0.78億円と大幅な増益となった。その他セグメントでは、レンタカー事業が北陸新幹線の敦賀延伸に伴う一時的な特需の反動減や、カーシェアリングとの競合激化の影響を受けて営業損失を計上した。無線ソリューション事業の売上高は1.90億円で、前年同期比1.5%減とやや苦戦した。
2026年3月期通期の連結業績見通しは、2025年11月に公表した修正計画を据え置いた。売上高72.70億円(前期比7.4%増)、営業利益6.50億円(同10.1%増)、経常利益7.10億円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5.00億円(同6.7%増)を見込む。足元の受注環境や人材投資の進捗を織り込みつつも、成長と収益性の両立を図る構えだ。
株主還元では、通期で1株当たり10円の配当予想を維持する。株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回る水準にとどまっていることや、流通時価総額の拡大を経営課題として位置づけており、資産効率の改善などを通じて上場維持基準への適合と市場評価の向上を目指す。
情報処理事業では、毎年70〜80人規模の採用を継続している。特定のニッチなスキルに偏らず、企業のIT基盤を広く支えるエンジニアを計画的に確保し、新技術の習得に向けた研修機会の拡充や、社宅の整備を含む待遇改善を進めている。こうした前向きな人材投資が、短期的にはセグメント利益を圧迫する一因となった。
採用継続で人材基盤を強化
情報処理事業は、大手プライムベンダーのパートナーとして、金融・製造・公共など幅広い分野のシステム開発・運用を担う。ERP構築やローコード・ノーコード開発、AIを活用したデータ分析・自動化ソリューションなど、デジタル投資の中核領域に経営資源を集中させ、付加価値の高い案件へのシフトを進めている。安定した人材供給力と教育体制を背景に、上流から運用まで一気通貫で対応できる体制を整え、中長期的な受注力の強化を図る。
人材面では、毎年70〜80人の新規採用を継続し、若手を中心に裾野を広げながら、AI・クラウド・セキュリティなど成長分野でのスキル向上を促す。社宅の拡充や処遇改善を通じて定着率の向上も狙い、労働市場の人材逼迫が続く中で、継続的な供給力を確保する戦略だ。
不動産事業では、太陽光発電所で前々期に発生した設備盗難被害からの復旧が進み、発電収入の正常化が収益に寄与した。冬季の豪雪により一部設備の破損が発生したものの、この事案に関連して受け取った保険金66百万円を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する四半期純利益の押し上げ要因となった。再生可能エネルギー関連資産の安定稼働が、同社の収益ポートフォリオの一角を担っている。
レンタカー事業では、アプリを活用した予約・利用環境の整備や多言語対応の強化などを通じて、インバウンド需要の取り込みを進めている。観光需要の回復と移動手段の多様化を背景に、カーシェアリングとの競合を踏まえたサービス差別化が課題となる。
グループ全体では、IT関連分野における提案型営業の強化と、運用・保守サービスを含むトータルなサービス品質の向上に取り組む。顧客企業のデジタル投資が広がる中で、情報処理事業を中核としつつ、不動産・レンタカー・無線ソリューションなどを組み合わせた収益構造を磨き込み、資本効率と成長性の両立を図る方針だ。
資本市場対応では、PBR1倍割れと流通時価総額の水準を意識し、保有資産の活用度合いの見直しや事業ポートフォリオの改善を通じた資産効率向上に取り組む。情報処理事業での安定的な受注基盤と継続的な人材投資をテコに、成長シナリオの実現と市場評価の修復を目指す。
