株式会社LIXILは、ドアを製造する名張工場(三重県)で、RFIDタグを用いた資材管理と自動フォークリフト(AGF)を連携させた倉庫管理の仕組みを独自に構築した。外部調達したAGFと制御システム(RCS)に、工場で内製した倉庫管理システム(WMS)を組み合わせ、資材を最適な場所へ自動格納する。人とフォークリフトの接触事故防止や仮置きの解消につなげ、工場運用の安全性と効率性の向上を狙う。
名張工場の仕組みは、資材をRFIDタグで管理し、フリーロケーションで自動格納する点に特徴がある。WMSが在庫状況に基づき「何をどこへ運ぶか」を判断して指示し、RCSが最適なルート計算を担う。AGFは、資材の先入先出や既存の自動搬送車(AGV)との安全な交通整理など、複雑なルールを24時間自動で遂行する役割を負う。工場内の倉庫管理と搬送を一体でデジタル化する取り組みと位置づけられる。
蔵置スペース2倍に
名張工場では、資材の仮置きをやめる運用に切り替え、蔵置スペースを約2倍に拡大したという。人とフォークリフトが交錯するエリアを極力減らし、接触事故のリスク低減を進めた。倉庫内の格納を固定棚に依存せず、在庫状況に応じて置き場を変えるフリーロケーション運用を採用し、従来は資材の一時置きが工程の滞留点になりやすかった現場課題の解消を図った。
システム面では、RFID連携により在庫データベースをリアルタイムに自動更新する機能や、人手を介さない自動棚卸走行モードを盛り込んだ。現場の具体的な課題を内製技術で吸収しながら改善する構えだ。LIXILは国内に34拠点の工場を展開し、水まわり製品や建材製品を生産してきた。生産現場へのデジタル技術導入を継続しており、2023年度からはDX推進を中期経営計画の柱に据え、生産性向上とサプライチェーン最適化を打ち出している。
工場内物流や倉庫運用では、人手不足と自動化投資の拡大が続く。経済産業省の2025年データでは、製造業の工場労働力不足率は28%に達し、自動化投資は前年比15%増となった。倉庫の運用手法では、国土交通省の物流効率化に関する整理で、2025年時点のフリーロケーション倉庫の普及率は大企業で35%、スペース拡大効果は平均1.8倍とされる。LIXILが名張工場で打ち出した「仮置きをなくす運用による蔵置スペースの拡大」は、こうした運用手法の広がりとも方向性を同じくする。安全面でも、建材業界における人とフォークリフトの事故件数は2024年に全国で1,200件超に上り、現場での接触回避や交通整理を織り込んだ運用設計が焦点となっている。
WMSとRCSで役割分担
名張工場のシステム構成は、外部調達したAGFとRCSに、工場で内製したWMSを組み合わせる形だ。WMSが搬送指示の判断を行い、RCSがAGFの最適ルートを計算する役割を担う。RFIDは資材管理に用い、格納先の最適化や在庫情報更新の自動化に結び付けた。
内製化により、外注導入と比べた開発コストの削減に加え、現場の要望を外部業者を介さず迅速に反映できる柔軟性や、AGF連携システムのノウハウを社内に蓄積する効果を見込む。内製DXでは、外注に比べて40〜60%のコスト低減となる事例も多く、WMSを自社側で設計・改修できる体制を選ぶ製造業が増えている。LIXILでも名張工場を含む工場群でAGVや自動化設備を段階的に導入し、2022年には一部工場でRFID在庫管理の試験運用を開始した。グループ内ではINAXが2022年にRFIDを活用した倉庫を稼働させるなど、工場内物流のデジタル化を積み上げてきた。
今回の名張工場での取り組みでは、外部調達のAGF・RCSと内製WMSを組み合わせ、RFIDで資材を管理し自動格納までつなぐ運用を実装した。WMSは汎用性の高いベースモデルとして設計し、他工場への横展開を見据える。各工場の運用要件をWMSの改修に反映させることで、LIXIL全体で工場内物流のDXを加速させる構想だ。
