株式会社Leach(東京都港区)は、2024年11月の創業から約1年半で、生成AI顧問・業務自動化サービスの累計支援先が40社超(個人含む)に到達した。書類突合AIクラウド「突合.com」やAI業務自動化プラットフォーム「Saturn」を展開し、製造・建設・運送など6業界向けのAI業務OSも同時に進める。帳票の突合やデータ転記の負荷を下げる取り組みが、中小企業の現場の業務設計の見直しを促しつつある。
Leachは「突合.com」でPDFの書類同士をAIが自動で照合する機能を掲げ、2人で2時間かかっていた受注チェック作業を1人・30分に短縮した例を示した。加えて「Saturn」では、受発注管理システムから会計ソフトへのデータ転記を完全自動化し、月次転記作業を8時間から10分へ短縮する狙いを打ち出す。生成AI顧問も含め、生成AIの実装を中小企業の個別業務に合わせていく姿勢を鮮明にしている。
累計40社超の支援拡大
支援先は累計で40社超(個人含む)となった。「突合.com」では作業時間75%削減をうたい、老舗ジャバラメーカーの株式会社ナベル(三重県伊賀市)では、年間約2万件の受注チェック業務を3名体制から1名体制へ移行し、業務時間を約50%削減した。FAXやメールで届く注文情報をPDF化し、人手で照合していた工程をAIに置き換えたことで、担当者の負荷軽減と人員配置の柔軟性向上につなげた。
「Saturn」は、データ転記を完全自動化するプラットフォームとして位置づける。受発注管理システムから会計ソフトへの転記を対象に、月次転記作業を8時間から10分へ縮減することを目標とし、手入力やコピー・アンド・ペーストに依存していた作業を排する。あわせて、製造・建設・運送など6業界で、帳票様式や承認フローに合わせたAI業務OSを同時展開し、現場ごとの要件に即した業務自動化のテンプレートを整備している。
生成AI顧問では、Microsoft Teams、LINE、Slackなどのチャットツールを用いて技術全般の相談に応じる。生成AI活用のコンサルティング、社内インフラの構成設計、外部ベンダーの見積もり精査などをメニュー化し、見積もり精査で170万円を100万円に圧縮した例もある。2026年3月には、Y Combinator公認ハッカソン「c0mpiled-7: San Fransokyo」で技術賞「The Biggest Engineering Lift」、Builders Weekend 2026 Tokyo(Digital Garage共催・205名参加)でVoiceOS賞を受賞しており、生成AIを用いた業務実装の技術力を対外的にも示した。
Leachは、創業の契機として中小企業の現場でPDFと紙の帳票を1行ずつ突き合わせる作業や、受発注データのコピー・アンド・ペースト作業が残っていたことを挙げる。FAXやメールで届く注文情報をPDF化して照合し、差異を人手で拾う工程は、特定担当者に作業が集中しやすく、採用難や属人化といった運用上の課題と結びつきやすい。こうした現場の「紙とPDF」にまたがる事務をAIで置き換えることを、事業の核に据えた。
外部環境では、生成AIの企業活用が問い合わせ対応や文書処理などの定型業務へ広がる局面にある。AIエージェント市場は2026年に6000億円規模に達するとの予測が示され、RPAからAIエージェントへの移行が加速するとみられている。証憑や契約書などの文書処理でも、監査法人で証憑突合から差異分析、監査調書ドラフト生成までを一貫して自動化する取り組みが2026年1月以降本格稼働しており、文書AIの適用範囲は単一工程から業務プロセス全体へと広がりつつある。中小企業のバックオフィスや現場事務でも、文書の突合や転記が作業時間を押し上げる典型工程となっており、Leachが掲げる書類突合と転記自動化は、業務設計の見直しと結びつきやすいテーマとなっている。
突合と転記の分業運用
「突合.com」は、PDFの書類同士をAIが自動で照合するサービスだ。運用例として、受注チェック作業の短縮や年間約2万件の受注チェック体制の見直しがある。ナベルでは、FAXやメールで届く注文情報をPDF化し、これらを突き合わせる作業を約1カ月で刷新。担当者が1人で対応可能になり、繁忙期の人員配置に余裕を生み出した。
「Saturn」は、受発注管理システムから会計ソフトへのデータ転記を自動化し、経理・管理部門の月次処理を効率化する。生成AI顧問は、Microsoft Teams、LINE、Slackなどのチャットツールを窓口とし、技術選定から運用設計、外部ベンダーとの契約条件の精査まで一体で支援する構成だ。ツール側では、突合と転記の自動化を別サービスとして切り出し、現場の業務フローに応じて適用範囲を段階的に広げる運用とすることで、導入リスクを抑えながら自動化領域を拡張しやすくしている。
支援の進め方は、個別業務に寄り添った実装に重心を置く。生成AI顧問のメニューとして、生成AI活用のコンサルティング、社内インフラの構成相談、外部ベンダーの見積もり精査を掲げ、ツール提供と運用設計の相談窓口を並走させる。単一の工程を部分的に自動化するだけでなく、導入プロジェクト全体の設計や社内の合意形成までを対象に含めることで、現場負担を抑えながらデジタルトランスフォーメーションを進める狙いがある。
文書AIが監査まで波及
文書処理の自動化は、会計・監査の領域でも投資が進む。大手監査法人では、生成AIを用いた「Document Intelligence」型のプラットフォームが稼働しつつあり、請求書・領収書・契約書と会計データの突合から監査調書作成までを一貫して自動化する動きが出ている。差異分析や改ざん検知といった工程を大規模言語モデル(LLM)に接続し、監査調書のドラフト生成にまでつなげる設計は、突合結果を次工程へ引き渡すという考え方を体現するものだ。Leachが「突合.com」と「Saturn」を並べ、突合と転記という隣接工程を別々に自動化する構成は、文書AIの適用範囲が点から線へと連続的に広がる市場の方向性と重なりやすい。
競合動向としては、RPA大手がAIエージェント領域に本格参入し、IT部門への問い合わせの80%を自動解決したとする実績を打ち出すなど、社内の定型対応をAIに切り替える動きが目立つ。企業側で「40%のアプリにエージェント搭載が進展した」との情報もあり、既存アプリケーションにAIを載せる設計が一般化しつつある。こうした環境下で、文書突合や転記は単体の省力化にとどまらず、受発注管理システムや会計ソフトなど周辺システムとどう接続し、どこまでを自動化対象に含めるかが論点になりやすい。Leachが業種特化AI業務OSを6業界で同時に進めるのは、業種ごとに帳票の種類や承認フローが異なる現場要件を踏まえ、あらかじめ適用範囲と接続パターンをテンプレート化する狙いとみられる。
中小企業の現場では、PDFと紙の帳票を1行ずつ突き合わせる作業や、受発注データのコピー・アンド・ペースト作業が会計・受発注・在庫といった複数部門にまたがるケースが多い。担当者の経験則に依存しやすい工程であることから、自動化にあたっては業務フロー全体の見直しが欠かせない。生成AI顧問が、技術相談や社内インフラ構成、外部ベンダーの見積もり精査まで扱う体制は、ツール導入と並行してプロジェクト運営そのものを支援する需要を見据えたものといえる。ハッカソンでの受賞歴を提示することも、技術実装力を示す材料として、採用や協業をめぐる対外的な信用補完につながる可能性がある。
業務設計では、突合や転記の自動化は、受発注管理システムや会計ソフトなど既存システムとの接続範囲をどう設計するかが焦点になる。支援では、相談窓口をMicrosoft Teams、LINE、Slackなどのチャットツールで運用し、社内の意思決定プロセスや運用変更の手順と連動させる。Leachは、生成AI顧問、書類突合、転記自動化、業種特化AI業務OSを一体で進める構成を掲げており、中小企業の業務DXを文書処理の単発効率化から業務プロセス全体の再設計へと広げる動きを加速させようとしている。
