北海道千歳市に本社を置く株式会社ケイシイシイが展開する「小樽洋菓子舗ルタオ」は、2025年12月12日から25日までの期間、福岡県北九州市のアミュプラザ小倉に期間限定店を出店することが分かった。看板商品の「ドゥーブルフロマージュ」に加えて、新作の「みかんドゥーブル~温州みかん~」などを販売し、クリスマスシーズンに合わせた展開を行う。
今回の出店は、西日本エリアでのブランド訴求を強化する狙いがある。ルタオを運営するケイシイシイは、これまでも新千歳空港や小樽本店を中心に店舗を展開してきたが、観光と商業の結節点となる九州での販売機会を拡大する。期間中はチーズケーキのほか、「小樽色内通りフロマージュ」などの定番商品を取り揃え、土産需要にも対応する方針だ。開催場所はアミュプラザ小倉東館3階のピロティで、営業時間は午前10時から午後8時までを予定する。
看板チーズケーキに新作登場
同店舗では、ルタオの象徴ともいえるベイクドとレアの二層仕立てのチーズケーキ「ドゥーブルフロマージュ」をはじめ、今回新たに「みかんドゥーブル~温州みかん~」を販売する。
この新作は温州みかんの華やかな酸味とチーズのコクを組み合わせたもので、ベイクド層には温州みかんとマンダリンを使用。果肉を練り込み、ミルク感のあるマスカルポーネムースを上層に重ね、柑橘の爽やかさとクリーミーな食感を両立させた限定品となる。加えて、3種のチーズを使った「パフェ ドゥ フロマージュ」や人気のラングドシャ「小樽色内通りフロマージュ」など、多様な商品を用意するほか、数量限定のクリスマスケーキ「ペールノエル」も展開する。
観光地で拡大する販売戦略
ルタオは1998年に小樽市の観光エリア・メルヘン交差点に第1号店を開き、北海道産素材を生かした洋菓子づくりで全国的な知名度を確立した。店名はフランス語「La Tour Amitié Otaru」(親愛なる小樽の塔)の頭文字に由来し、地域に根ざしながらも世界中の厳選素材を取り入れる「Northern Sweets Manner」を理念とする。近年は観光地での期間限定出店を活発化させており、2025年4月には新千歳空港の直営店を全面リニューアルするなど、国内外の旅行者との接点拡充を進めている。特に空港や大型商業施設などの高集客拠点での展開は、観光需要の回復を見据えたブランド戦略の一環とされる。
市場回復で進む商圏拡大
菓子業界では、インバウンド再開とともに地域ブランド菓子の人気が高まっており、物産展や期間限定ショップでの販売が増えている。ルタオは北海道発のプレミアムスイーツとして各地百貨店や空港商業エリアで存在感を高めてきたが、特にチーズケーキ市場では定番商品「ドゥーブルフロマージュ」の浸透が進み、催事を通じて全国認知を広げている。福岡県は九州の商業中心地であり、同エリアでの今回の出店は、ルタオが中長期的に西日本エリアでブランド定着を図るうえでの足掛かりになるとみられる。
西日本戦略と今後の課題
ケイシイシイでは、観光商圏だけでなく都市商業施設でのポップアップ展開を組み合わせ、オンライン販売との相乗効果を狙う方針を示している。2025年春の新千歳空港店リニューアルでは、ギフト需要への対応強化や購買導線の改善を掲げており、今回の小倉出店も顧客接点拡大の一手となる。
今後、限定出店では商品供給体制や製造拠点からの物流確保が課題となるほか、地域に合わせた商品の選定も求められる。地元関係者からは「九州はスイーツ需要が旺盛であり、地域性を踏まえた展開が鍵になる」との声がある。今後、ルタオが北海道発ブランドの魅力を保ちながら各地でどのように持続可能な展開を築くかが注目される。