HIDANEは資生堂のインナーケアブランド「ザ・コラーゲン」と協働し、サウナ施設「saunahouse(サウナハウス)」で合同キャンペーンを実施する。実施期間は12月16日から31日までで、施設全体を「ザ・コラーゲン」の世界観で装飾し、来場者に美容と休息を両立した体験を提供する。
HIDANEは『サウナコレクション』などサウナ関連の企画運営を手掛ける企業である。今回は施設運営会社レックスと協力し、資生堂ジャパンの協賛のもとで催しを実施する。主催側はサウナを活用したウェルネス提案の一環として位置づけており、同社のメディア・マーケティング支援機能を活用したコラボレーション型イベントの取り組みとみられる。
川崎「saunahouse」で体験型コラボ企画
今回のキャンペーンは、川崎駅前の複合施設「ラ チッタデッラ」に2025年1月に開業した「saunahouse」を会場とする。期間中は女性フロアにコラーゲン成分を取り入れた「コラーゲンの湯」が設けられ、2階レストラン「THE CEDAR TABLE」では特製パッケージの「ザコラスパークリング」を提供する。施設は地上6階建てで、複数のサウナと炭酸泉、天然水による水風呂などを備える。
期間中に限定提供されるサンプルや飲料は数量に制限があり、なくなり次第終了となる。施設のブランドテーマ「ZERO DIVE」との親和性を意識し、来場者がリフレッシュしながら内外からのケアを体験できる内容となっている点が特徴である。
資生堂「ザ・コラーゲン」が連携軸
共同開催の中心となる「ザ・コラーゲン」は1996年に資生堂が発売したコラーゲンサプリメントで、長年国内市場トップクラスのシェアを維持している。2024年には、“補う”だけでなく“めぐらせる”をテーマに再設計した新処方となり、40年の研究蓄積を背景にブランド再構築を進めてきた。販売先はドラッグストアや総合量販店、化粧品専門店など約2万店に上っており、資生堂オンラインストアなどECも展開している。
近年は、資生堂がサウナやスポーツ領域との連携を通じて、外側のスキンケアに加え内側の健康訴求を強める方針を明確にしており、HIDANEとの協働はその一環である。インナーケアと体験型空間を組み合わせた取り組みは、次の顧客接点創出モデルとして社内外で注目されている。
施設運営とメディアの融合が進む
HIDANEは2023年設立のスタートアップで、サウナ関連メディア運営や広告事業を軸に急速に事業領域を広げている。今回のようなブランド協働イベントは、同社にとって運営現場とマーケティング支援の両分野を結びつける実例となる。同社の拠点がある横浜・みなとみらい周辺はウェルネスや観光集客関連企業が多く、都市型サウナ施設のモデル実験地としても注目が集まる。
会場となる「saunahouse」を運営するレックスは、映画館跡地を再生した複合施設事業を展開する企業で、今回のコラボにより新規層の来館促進を狙う。こうした共同企画は、サウナ施設を単なる温浴空間からブランド・体験融合の拠点へと進化させる試みである。
外部環境と安全対策の課題も
サウナ市場はここ数年拡大傾向にあり、都市部では個室型や女性向け特化施設の新設が続いている。健康志向の高まりに加え、SNSを通じた「整う」文化の拡散が消費を後押ししており、美容・睡眠・メンタルケアとの連携が進む。だが、都内高級サウナ施設での火災事故が報じられたこともあり、安全基準の見直し議論も強まっている。イベント運営では設備管理や利用者教育が不可欠となっており、HIDANEなど主催側もリスク管理体制の再確認を迫られている。
今後の広がりと注目点
今回の動きを受け、他の化粧品・飲料メーカーもウェルネス系施設との協業に関心を示しており、期間限定イベントを通じたデジタル発信や来場者データ活用が今後の焦点となる。HIDANEは『サウナコレクション』を通じてインフルエンサー層との接点を形成しており、継続的な発信基盤を持つ点が強みだ。
年末にかけた実施時期は帰省・休暇期と重なり、館内外からの来訪動線も多い。都市型施設を活用したブランド連携が定着すれば、美容と健康を掛け合わせたプロモーション形態が一段と広がる可能性がある。都市型ウェルネスを軸とする企業間協働が、今後も多様な形で展開されていく流れに位置づけられそうだ。