株式会社HESTA大倉(東京都千代田区)は2025年12月7日、俳優の菅生新樹さんを起用した「HESTAソーラー」の新テレビCMを全国(一部地域を除く)で放映開始することを明らかにした。
環境配慮と家計負担軽減を両立する次世代エネルギーソリューションを自社ブランドに位置づけ、打ち出す狙いがある。同日から関連ポスターも順次掲出する。
同社が俳優の菅生さんを起用したのは、HESTAソーラーが掲げる「クリーンで、誰にでもやさしいエネルギー」という理念を、清潔感や誠実さを持つ菅生さんのイメージが体現していると判断したためだ。
HESTA大倉は不動産や建設、リゾート事業などを手がけるが、近年はエネルギー分野にも注力しており、「家庭で再生可能エネルギーを身近にする」取り組みを推進している。CM展開はその一環となる。
軽量で曲げられる太陽光パネル展開
HESTAソーラーは、一平方メートルあたり約3.3キログラムと従来のガラス製パネルに比べて約80%軽いのが特徴だ。
耐荷重性が低いカーポートや湾曲屋根など、これまで設置が難しかった場所にも対応できる柔軟性を備える。施工は専用の構造用ボンドで短時間に完了でき、既存住宅の構造補強を必要としない利点がある。
これらの特徴は、2024年に東京都が進める「クール・ネット東京」の機能性PV認定にもつながっており、都市部における導入拡大の後押しになるとみられている。
再エネ普及機運と政策追い風
政府が2025年度内にも「フレキシブル型太陽電池」の設置・施工ガイドラインをまとめる方針を示すなど、国内では柔軟素材の太陽電池の実用化を促す動きが広がっている。
ペロブスカイト型をはじめとする薄膜太陽電池の市場では、シャープやパナソニックなど大手電機メーカーが量産技術開発を進めており、HESTAソーラーのような軽量・高密着型製品の社会的ニーズが高まっている。
再生可能エネルギーの地産地消や分散型電源化を進める自治体にとっても、機動的な設置が可能な軽量パネルは導入障壁を低くする要素となっている。
社会連携型プロジェクト進展
HESTA大倉は紀伊地域の地方創生カンファレンスなどに協賛し、紀翔プロジェクトを通じて再生可能エネルギーと地域活性化の連携モデルづくりを進めてきた。米キャンターフィッツジェラルド・グループとも協業を視野に入れており、国際的な資金・技術連携を模索している。
大阪・関西万博関連のシンポジウムでは「再生可能エネルギーと再生医療で救う未来」をテーマに協議が行われ、HESTA大倉も企画に関わった。
こうした社会的取り組みを背景に、同社はエネルギー部門を単なる商材ではなく「人々の生活基盤を支えるインフラ事業」と位置づけており、今回のCM展開を通じてブランドの社会的認知を一層高める構想を持つ。
菅生新樹さん「地球にやさしい選択を身近に」
出演者の菅生新樹さん(大阪府出身、1999年生まれ)は、ドラマや映画を中心に活動する俳優で、NHK連続テレビ小説「おむすび」などに出演している。
「HESTAソーラーを通じて、地球にやさしい選択をもっと身近に感じてもらいたい」とコメントし、再エネ普及に向けた意識変化を呼びかけた。透明感のあるビジュアルと柔らかな存在感が幅広い層に支持され、企業側は同氏の発信力を通じた共感形成を期待している。
日常生活発信重視の企業戦略
HESTA大倉は、リゾート施設やライフスタイルアプリ「HESTA LIFE」など、住環境・生活基盤サービスを多角的に展開しており、生活者の身近な接点から再エネを発信する戦略を強めている。
俳優起用型のテレビCMはその延長線上に位置づけられ、家庭向け製品で培った信頼性とブランドの人間味を両立させる狙いがある。
同社は年間約3,000件の反響と500件以上の施工実績を積み重ねており、地場施工会社との連携も進めつつ、全国レベルでの供給ネットワークを整備している。
普及拡大へ課題と展望
エネルギー業界では、太陽光発電の導入コスト低減や設置場所の制約緩和が課題とされてきた。HESTAソーラーのように軽量で構造補強を要しない製品は、既存住宅ストックの活用を促す可能性がある。
一方で、長期耐久性やメンテナンス体制などの品質確保が今後の市場拡大の鍵を握る。
環境省や経産省が推進する分散型エネルギーの制度整備を受け、民間企業の参入が増える中で、HESTA大倉が提示する「暮らしから始まるエネルギー選択」の姿勢が持続的な市場形成にどこまで結びつくかが注目される。