大和証券グループ本社(東京都)が4月27日、子会社の大和ネクスト銀行によるオリックス銀行(オリックス傘下)の全発行済み株式取得を決めた。取得額は3700億円で、10月までに完了する。影響範囲は両行の経営体制と事業運営に及び、外部流出や拡散といった性質の事案ではない。大和証券グループ本社は買収方針を公表しており、将来的な統合も視野に入れた動きは、預金獲得と融資機能の拡充を通じた資金収支の改善につながる可能性がある。
取引の実施主体は大和ネクスト銀行で、売り手側はオリックス傘下のオリックス銀行となる。大和証券グループ本社は、金利環境の変化を踏まえ、競争力のある預金金利の提供によって粘着性の高い預金を獲得する方針を示した。大和ネクスト銀行がこれまで持たなかった融資機能を取り込み、資産・負債の両面にわたるコンサルティング需要の高まりに対応する狙いもある。グループ内では銀行機能の強化策の一つと位置づけ、ウェルスマネジメント分野での競争力向上につなげる考えだ。
3700億円で10月取得
大和ネクスト銀行はオリックス銀行の全発行済み株式を3700億円で取得する。取得は10月までに完了する計画だ。
将来的には両行の統合も視野に入れており、統合後の総資産は約9兆円、自己資本は約4000億円規模となる見込みとする。
買収資金は自己資金を充当し、エクイティ・ファイナンスは想定していない。
資本バッファーを確保するため、今後は永久劣後債の発行を検討するとした。取引のスキーム面では、大和ネクスト銀行が取得主体となり、オリックス銀行は大和証券グループ側の融資機能拡充に組み込まれる形となる。
預金5年で2兆円方針
大和証券グループ本社の吉田光太郎・最高財務責任者(CFO)は決算会見で、「金利のある世界の到来により、より魅力的な金利を提供することが預金獲得の鍵となる」と述べた。競争力のある預金金利を提供し、粘着性の高い預金の獲得を目指す方針を示した。
預金については今後5年間で2兆円を積み上げる方針を掲げた。
大和ネクスト銀行の余剰資本を含めた3.5兆円については、不動産ローンに強みを持つオリックス銀行の専門性を生かし、不動産担保ローンや証券担保ローンなど新たな融資に活用することで、資金収支の向上を図る考えを明らかにした。吉田CFOは、利ざやを仮に1%確保できれば350億円の資金収支が向上できるとの見方も示している。
両行の制約を補完
今回の買収には、両行が抱えてきた機能面の制約を補完する狙いがある。大和ネクスト銀行はこれまで融資機能を持たず、市場運用によって成長してきた。その結果として、運用収益のアップサイドには一定の制約があった。
オリックス銀行は決済口座を持たず、安定的な低コスト資金の確保という点で課題があった。
吉田CFOは、個人顧客を中心に運用だけでなく融資など資産・負債の両面にわたるコンサルティングニーズが高まっているとも説明した。「融資機能を自前で一から構築するには相応の時間を要するとの認識があった」とし、銀行機能の強化として融資や信託機能も取り込むことでサービスの幅を広げる方針を示した。
背景には、金利環境の変化に伴い、預金獲得と貸出を組み合わせた収益構造の再設計が課題として浮上している点がある。
最高益更新と資本運用
大和証券グループ本社が同時に発表した2026年3月期の純利益は前期比13.5%増の1752億円で、過去最高を更新した。IBESがまとめたアナリスト7人による今期連結純利益の予想平均値1630億円を上回った。大和証券グループ本社は通期予想を開示していない。
ウェルスマネジメント部門では、投信販売手数料やファンドラップ関連収益が拡大した。残高ベース利益は1827億円となり、中期経営計画の最終年度目標である1500億円を中計2年目で超過した。オリックス銀行の過去5年平均の純利益は200億円で、大和証券グループ本社はROEやEPSの向上を目指すとしている。
今後は、買収後の資本バッファー確保と、預金獲得を軸にした資金運用・貸出の組み合わせが注目点となる。
両行の統合を視野に入れた大和ネクスト銀行のオリックス銀行買収・統合戦略は、預金獲得と融資・信託機能の取り込みを同時に進める枠組みとして、ウェルスマネジメントと銀行機能の接続を強める流れに位置づく。
