株式会社コミクス(東京都渋谷区円山町)は、「生成AI活用支援サービス」の導入企業が30社を超え、多岐にわたる業種で業務活用が進んでいると明らかにした。IT人材不在を想定した支援設計を掲げ、業務棚卸しから環境構築、研修までを一体で提供する。中小企業の定型業務の自動化や属人化の解消に向けた実装手段の選択肢を広げる動きとなる。
コミクスは、業種別の導入事例を公開しつつ、中小企業向けの「生成AI活用支援パック」の相談を受け付ける。建設会社や会計事務所、福祉施設などを例に挙げ、現場の業務課題を起点に生成AIを適用する考え方を示す。IT専任担当者がいない企業でも導入・運用できる形を前提に、業務改善を進める点を重視している。
導入30社超が示す広がり
導入企業数は30社を上回る。対象業種は建設業、住宅建築業、会計・税理士事務所、医療法人・社会福祉法人、製造業、物流業など幅広く、PDF工程表・見積書の自動読取り、設計図面解析、シミュレーター開発、書類作成や情報整理の効率化、受発注データ整理や配送スケジュール・倉庫管理に関わるデータ分析といった具体的なユースケースが並ぶ。
人手不足の深刻さも背景にある。2025年10月時点の調査で、正社員の人手不足を感じている企業は51.6%と4年連続で半数を超えた。建設業では72.4%に達し、有効求人倍率は全産業平均の約4倍となる5倍超で推移している。一方で、生成AIの利用割合は日本企業全体で55.2%に達するものの、従業員300人未満の中小企業の導入率は約1割にとどまり、規模による活用格差が顕在化している。
コミクスは、この導入ギャップの要因として「IT人材がいない」「自社の業務にAIは合わない」といった認識が意思決定を遅らせているとみる。AIの専門知識よりも「どの業務に時間がかかっているか」の棚卸しが出発点になるとし、業務課題が明確であれば業種や従業員規模を問わず適用余地があるとの見方を示している。
運用設計を支援範囲に
相談を受け付ける「生成AI活用支援パック」は、IT専任担当者を置けない企業でも導入から運用定着まで進められるよう設計した。Google WorkspaceとGoogle Apps Script(GAS)、Gemini APIを組み合わせ、新たな基幹システムを導入せずに既存の業務環境上へAI機能を追加する構成を基本とする。業務棚卸しアンケートによる優先度設定と、隔週から月1回の定例会での伴走型研修を支援の柱に据えた。
業務選定では、全スタッフを対象としたアンケートを通じて、時間を要している業務やミスが起きやすいプロセスを洗い出し、費やしている工数や改善効果の大きさを基準に優先順位を決める。これにより、単発の実証実験にとどめず、複数部門にまたがる業務全体の効率化につなげやすくする狙いがある。
研修面では、専任講師が定例ミーティングを設定し、実務データを用いたハンズオン研修やプロンプト設計の方法、社内ルールに沿った利用ガイドラインの策定支援などを行う。現場担当者が自らワークフローを改善できる状態を目標とし、単なるツール導入にとどまらない運用設計までを支援範囲に含める。
また、厚生労働省の「人材開発支援助成金」の活用を念頭に、計画申請から受給に至るまでのプロセス支援も提供する。研修投資の一部を公的支援で賄うことで、中小企業がAIやデジタル人材育成に踏み出しやすい環境づくりを後押しする。
法人eラーニング連携へ
コミクスは、2026年4月に法人向けEラーニング「コミクスアカデミー」を立ち上げ、1,100講座超の学習コンテンツを提供する。ビジネススキルやITリテラシー、生成AIの実務活用などを体系的に学べる構成とし、時間や場所にとらわれない人材育成の基盤として位置づける。
生成AI活用支援とオンライン講座を組み合わせることで、現場の業務改善プロジェクトと社員教育を一体で進める設計とした。個社ごとの伴走支援で構築したワークフローを、Eラーニング上の教材や社内研修プログラムと連携させ、全社的なスキル底上げと業務変革の両立を狙う。
Google WorkspaceとGAS、Gemini APIを土台とした共通アーキテクチャと、隔週から月1回の定例ミーティングを軸にした運用体制を組み合わせることで、導入後も各社の状況に応じた改善サイクルを回しやすくする。中小企業の間で広がる人手不足とデジタル人材不足という二重の制約に対し、身近なクラウド基盤と教育プログラムを組み合わせた「伴走型・運用重視」のモデルとして定着を目指す構えだ。
