株式会社バンダイは2025年12月12日、ガンダムの世界観を取り入れたアパレルブランド「STRICT-G」から、アニメ『機動戦士ガンダム』とスポーツブランド・リーボックのコラボレーションスニーカー「INSTAPUMP FURY 94」2種の予約受付を開始すると明らかにした。販売は同社の公式ECサイト「プレミアムバンダイ」とリーボック公式オンラインショップで実施し、店舗での一般販売は2026年3月に予定されている。
今回の発表は、人気アニメとグローバルブランドの協業を通じてライフスタイル市場へのプレゼンスを高める狙いがある。バンダイは玩具やキャラクターグッズを中心に国内外へIP(知的財産)を展開しているが、リーボックとの協働はアパレル分野強化の一環となる。近年は「たまごっち」や「ONE PIECE」など複数ブランドでコラボ製品を相次ぎ企画しており、その流れを継承した動きとみられる。
STRICT-Gとリーボックの初共演
両社の協業は今回が初めてとなる。ベースモデルとなる「INSTAPUMP FURY 94」は、リーボックが1994年に発売した空気圧フィット機構を備えたスニーカーで、未来的なデザインで知られる。ガンダムモデルはホワイトとブルーを基調とし、「RED GUNDAM」モデルでは赤をベースに大胆な配色を採用。モビルスーツのカラーリングを反映し、タン部分のポンプボールには作品世界の象徴的なモチーフをあしらった。ヒール側面には機体番号を印字し、ファン向けのディテールを丁寧に再現した。バンダイはコラボを通じ、「アニメとスポーツカルチャー双方のファン層に新しい価値を提供する」としている。発送は2026年3月を予定しており、STRICT-Gの各店舗でも同時期に取り扱う見込みだ。
バンダイのIP戦略とライフスタイル展開
STRICT-Gは2012年に誕生し、アニメ『機動戦士ガンダム』をモチーフに据えた本格的メンズファッションを展開してきた。東京お台場や静岡サービスエリアなど全国4拠点で店舗運営を行い、国内外ブランドとの共同開発品も多い。今回のコラボ展開は、グローバルに展開するリーボックとの接点を通じて、日本発IPの国際的浸透を狙う試みのひとつと位置づけられる。リーボックは1895年創業の英国発スポーツブランドで、現在は世界約80カ国で事業を展開。スポーツとファッションの融合を掲げ、機能性とデザイン性を両立した商品で知られる。バンダイとの協業はアニメ文化との親和性を高める取り組みといえる。
市場拡大に向けたバンダイの戦略
バンダイナムコグループは、玩具・映像・ゲームなどを統合したIP軸戦略を掲げており、ライフスタイル分野もその重要要素に位置づけている。公式通販サイト「プレミアムバンダイ」は限定商品やブランド協業品の販売を担い、キャラクターグッズ市場における独自性を確立してきた。同社は2025年にかけて「たまごっち」30周年施策や「ONE PIECE×NBA」フィギュアなど多岐にわたるコラボ商品を発表しており、成熟市場の中で知的財産を核にした多角化路線を明確にしている。愛好者を中心にした高付加価値路線の商品展開は、グローバルブランドとの連携拡大につながるとみられる。
玩具分野にとどまらず、アパレルや雑貨など日常領域への拡充により、バンダイグループは購買接点を広げている点も注目される。業界関係者は「国際的IPの地位を活かした協業モデルが持続的に広がる可能性がある」とみている。
アニメ産業拡大に向けた展望
今回のプロジェクトは、アニメ産業の多様化と国際ブランドとの協業拡大を示す事例といえる。ガンダムシリーズは国内外で根強い支持を得ており、アパレル市場でも継続的なシリーズ展開が期待される。一方で、予約販売方式を採用する製品では需要予測や在庫調整の精度が求められるほか、地域店舗での販売管理や輸出体制の整備も課題となる。グローバルファン層への展開を見据え、バンダイは今後もリーボックを含む国外ブランドとの協業を拡大する見通しだ。アニメとファッションの融合はさらに進む可能性があり、知的財産を活用したライフスタイル企画がどこまで広がるかが注目される。