株式会社PR TIMES(東京都港区)は2025年12月9日、同社が運営するタスク・プロジェクト管理ツール「Jooto(ジョートー)」について、2026年6月30日に現行のスタンダードプランを廃止し、7月1日から新たにスタータープランを提供することを明らかにした。新プランは10ライセンスを上限に個人・小規模利用を想定するとともに、事業方針を法人向けビジネスプランへ転換する内容となる。
PR TIMESは利用者の傾向を踏まえ、開発・運用リソースを高度な機能が必要な法人向けに集中させる方針だ。プラン再編を通じて機能改善を加速し、安定的な運用体制を構築することを重視した判断とみられる。
Jootoが7月に新「スタータープラン」提供
今回の再編では、スタンダードプランは2026年6月末に終了し、翌7月にスタータープランが登場する。スタータープランは従来プランの基本機能や使い勝手を概ね継承するが、利用人数の制限や一部機能の見直しが行われる。料金体系は変更せず、既存ユーザーが移行しやすい形を取る方針だ。新たな機能開発はビジネスプランを中心に展開し、プロジェクト単位の管理やセキュリティ機能を強化。企業の業務効率化を支える中核プランとして位置づけを高める見通しである。
累計利用者40万人、企業導入2500社を突破
Jootoはクラウド型のタスク・プロジェクト管理ツールで、直感的な操作性とシンプルな設計を特徴とする。ユーザー数は累計40万人を超え、有料利用企業は2,500社に達する(2025年8月時点)。中小規模のチームから大企業まで幅広く採用されてきたが、社員数の増加や複数プロジェクトを同時並行で進行させるケースが増え、より高度な運用管理を求める声が高まっていた。
機能開発を法人中心に集約 AI運用なども視野
PR TIMESは2026年度の開発計画として、チーム単位の業務管理最適化を重点テーマに掲げる。複数のプロジェクトをフォルダ状に整理し、組織単位で進捗を可視化する仕組みを整えるほか、メンバーのグループ化によるコミュニケーション効率化も進める。新たに、AIを活用したタスク自動化機能の導入を予定しており、手動作業の削減による業務負担の軽減や進捗予測を可能にする。こうした強化により、Jootoを企業の業務運営基盤として確立する狙いがある。
サービス拡大の転換点に 発表背景と企業姿勢
今回の料金体系変更は、利用拡大に伴う開発・運用負担の増大に対応する一環である。同社は片岡茉理カスタマーリレーションズチーム担当者のコメントとして、安定したサービス提供と機能改善を持続するための判断だと述べている。なお、一部利用者にとっては実質的な値上げとなるが、長期的にはサービス品質の向上に資する措置と位置づける。PR TIMESは「デジタルの力で仕事の停滞をなくす」という理念を掲げており、Jooto事業をその実現の柱とする。今回のプラン改定を契機に、法人向け用途をより明確化し、開発リソースの集中を通じて事業収益性と顧客満足度の双方を高める戦略に移る。
プラン変更に関する説明会は、2025年12月17日と2026年1月20日の2回実施予定で、Zoomで開催される。内容は同一で、変更点の詳細や移行スケジュール、利用者への経過措置を説明する。質疑応答の時間も設ける方針で、参加申込は同社ウェブサイトで受け付けている。PR TIMESがこのような説明会を設定するのは、クラウドサービス改定時の利用者との対話と信頼維持を重視する姿勢の表れといえる。
PR TIMESの枠組み拡大 Jootoは戦略的事業に
PR TIMESはプレスリリース配信サービスを主力に、ストーリー配信「PR TIMES STORY」や動画PR「PR TIMES TV」、カスタマーサポートツール「Tayori」などを含む事業を展開している。 Jootoはこれらと連携し、行動者発の情報が人の心を揺さぶる時代へという同社のミッションを支える重要サービスの一つである。同社がビジネスプラン中心へのシフトを打ち出したことで、Jootoは単なるタスク管理ツールの枠を越え、PR TIMES全体の事業群を結ぶ運用基盤としての役割を担う。
国内ではDX推進や業務効率化を背景に、タスク・プロジェクト管理市場の競争が激化している。SaaS型サービスの中でも法人契約を軸に収益を安定化させる動きが広がっており、Jootoの事業再編もその潮流に沿う。業界関係者の間には、PR TIMESが保有するメディア運営や顧客基盤とJootoの統合的な利活用により、情報発信から実務管理までを一気通貫で支援するエコシステムを形成する可能性があるとの見方が出ている。利用プラン再設計は、SaaS市場の成熟に伴い、顧客層を明確化してサポートの質を高める中期戦略の一環ともいえる。今後は法人化が進むJooto事業の収益動向と、AI導入など次世代機能の拡張が主要な焦点となりそうだ。