株式会社ニトリ(札幌市北区)は2025年11月下旬、同社のインテリア雑貨ブランド「デコホーム」でオリジナルのリラクゼーションアイテムを発売した。全国の一部デコホーム店舗と通販サイト「ニトリネット」で取り扱うものである。カッサやローラーなど4種類を揃え、自宅で手軽にセルフケアができることを特徴としている。生活雑貨分野での品ぞろえ強化の一環とみられる。
ニトリは、家庭でのリラックス需要の高まりを背景に、従来の家具・インテリア販売に加えて日用品・美容関連商品の開発を進めている。近年、在宅勤務の定着やストレス軽減への関心が高まり、セルフケア関連商品は成長が続く市場となっている。家庭内の時間を充実させる提案型商品開発により、来店客層の広がりを狙う方針である。
家庭用ケア用品4種投入で多様なニーズ対応
今回発売された商品は、「目元用カッサ」「トッテツキステンレスリフレボール」「トウヒリフレッシュブラシ」「ローズクォーツローラー」の4種類である。樹脂製やステンレス製、天然石製など素材を生かし、10分以内の短時間使用を目安とする仕様が共通している。カラーはピンクやモカを基調とし、部屋になじむデザインを採用した。
目元用カッサは目元やフェイスラインをなでるタイプで入浴中にも使用でき、リフレボールは水温により温冷両用が可能。フレッシュブラシは頭皮を刺激しリフレッシュ効果を促す。ローズクォーツローラーは天然石によるひんやり感を訴求する。いずれも初めてセルフケア商品を使う層を意識した構成である。
女性視点の商品展開強化で事業拡大へ
デコホームは、ニトリが運営する生活雑貨に特化した業態で、衣類・日用品などの小物を女性目線で選定している。主に都市部のショッピングモールを中心に展開し、高品質かつ手に取りやすい価格設定が特徴である。国内ではニトリ店舗に比べて店舗数が小型で、日常使いの需要に合わせた品揃えを強化している。
今回の新商品投入は、同社が進めてきた「インテリア×セルフケア」提案の延長線上にある。家具から生活用品、そして美容関連までを一括販売できる点を活かし、購買動機の多様化に対応する狙いがある。デコホームの公式サイトでも、ギフト向け商品やボディケアブランドの取り扱いが拡大しており、リラクゼーション分野を新たな柱に据える構えである。
拡大続くセルフケア市場が追い風
美容・健康を意識したセルフケア市場は拡大傾向にあり、SNSやレビューサイトを通じた情報共有が消費動向に影響している。コスメアプリ「LIPS」を運営するAppBrewによると、同アプリ上でも「ニトリ デコホーム」のリラクゼーション製品が掲載対象となっている。業界関係者は、インテリア企業が生活用品・美容分野へ幅を広げることで購入頻度を高める戦略が進行中と指摘している。デコホームの動きは、生活総合ブランド化を推進するニトリの成長モデルを象徴しており、他社の家庭用品メーカーにも波及する可能性が高い。
店舗×EC連携強化で販路拡大狙う
ニトリは、家具・インテリアを主力とする事業のほか、オンラインモールや法人サービスを展開し、国内外の店舗を拡大している。デコホーム事業もこの一環として2010年代から本格展開され、現在は全国のショッピングセンターなどで出店を増やしている。オンライン販売を通じて全国どこでも購入可能な体制を整え、デジタルと店舗の連携を強化している。今後は年末のショッピングシーズンに合わせた関連キャンペーンや新規店舗オープンの計画も予定されており、家具中心のイメージを超える事業拡大を継続して進めるかが、ニトリグループ全体の戦略の焦点となる見通しだ。