株式会社ワンキャリア(東京都渋谷区)は、就活生に向けたコミュニケーションメッセージとして「志望じゃない。この気持ちは、野望だ。」を新たに策定した。新メッセージに合わせてブランドムービーと特設サイトを公開し、全国で屋外広告も実施する。
新メッセージは、就職活動で定型化しがちな「志望」とは別に、就活生が抱く未来の「なりたい私」への想いを「野望」として捉える点を軸に据える。ワンキャリアは、面接シーンにおける「志望動機」のやり取りの裏にある就活生の「本当の想い」を、サーモグラフィーのコントラストで表現したブランドムービーを展開する。特設サイトでは、就活生が直面しやすい悩みや不安の解消と、「野望」の実現に向けたサポート内容を示している。
会員200万人超の基盤
一連の施策は、新メッセージの開始に合わせてブランドムービーと特設サイトを公開し、2026年3月から全国で屋外広告を掲出する流れで進める。屋外広告の掲出物には、新コミュニケーションメッセージのクリエイティブを用いる。
ワンキャリアは累計会員数が200万人を超え、就活生の約3人に2人が利用しているという。企業向けでは法人取引の累計社数が6,000社を超えるとしており、新卒採用事業で形成してきた会員・顧客基盤を活用しながら事業運営を進めてきた経緯がある。
クリエイティブ面では、就活生が心の奥に秘めている熱い「野望」をサーモグラフィーの色味で表現した。就職活動を進める中で、採用されるためだけに無理に作った画一的な「志望」ではなく、未来に向けた「なりたい私」への想いを赤やオレンジの熱として描き出し、メッセージの力強さを際立たせる設計とした。
ブランドムービーは、面接シーンでの定型的なやり取りの裏にある就活生の想いを描写する内容とし、特設サイトでは就職活動で学生が直面しやすい悩みや不安を解消することや、ワンキャリアが提供できる具体的なサポート内容(ワンキャリアができること)を紹介する。マーケティング部のブランドマネージャー和智真理子氏は、自分のやりたいことや叶えたい夢のために就職活動を進める就活生に対し、ワンキャリアがその力になれることを今回のメッセージに込めたと述べた。
就職活動の早期化が加速するなか、周囲が早期に内定を獲得し始める状況で焦りを感じ、自身のキャリアプランをじっくり深める前に「まずは内定を一社確保すること」そのものに意識が向くケースがあるという。ワンキャリアは、多くの学生が面接を受けている期間中にその企業への入社志望度を上げているとし、早期選考段階では「受かりやすいから」「とりあえず」といった動機が先行している状況が見受けられるとしている。
こうした状況を踏まえ、焦りから目先の安心を求めた結果として、最終的な納得感の欠如や入社後のミスマッチにつながりかねない点を課題として挙げた。ワンキャリアは「人の数だけ、キャリアをつくる。」のミッションのもと、全就活生が納得感を持ってキャリアの意思決定を行えるよう情報や機会を提供してきたとしており、今回のメッセージは創業以来のキャリア選びへのスタンスを改めて伝えるものとした。
同社は創業以来50万件超のキャリアデータを蓄積してきたとしており、新卒採用マーケットにおいて中長期の採用戦略やブランディング計画の立案支援に取り組んできたという。2026年2月には、人材育成やカルチャーの定性面を可視化する「People & Culture Report」を初めて公開した。ミッションを組織づくりの根幹に位置付ける取り組みも進めており、対外コミュニケーションで就活生の意思決定を支える姿勢を明確にする動きと重なる。
背景には、人材採用領域でデータ活用やAI活用の議論が広がる一方、学生側の意思決定が早期化の圧力を受けやすい構造がある。ワンキャリアは2026年3月に、東京大学松尾研究室発スタートアップのBAKUTANとの戦略提携を公表し、非構造データ活用やAI技術を用いた人事・タレントマネジメント支援に取り組む方針を示している。採用から入社後の育成・評価までを含む人事データの扱いが論点となるなか、就活段階で「本当の想い」を言語化しにくい状況にどう向き合うかが焦点の一つとなる。
3月掲出、ムービー公開
今回の就活生向けブランドキャンペーンは、ブランドムービーと特設サイトを先行して公開し、2026年3月から全国で屋外広告を掲出する段取りをとる。屋外広告、ムービー、特設サイトを同一メッセージのクリエイティブでそろえる設計で、就活生に向けた接点を複線化する。
一方で、施策の中で提示している「サポート内容」の詳細範囲や、屋外広告の掲出箇所・掲出量などの運用条件は、本文からは読み取れない。就活生の悩みや不安の解消に向けた情報提供をうたいつつ、どの接点で何を案内するのかは、特設サイトの提示内容に依存する形となる。
法人側の採用実務の観点では、学生の意思決定が早期選考で揺れやすいという同社の認識を踏まえ、面接での「志望動機」の扱い方や、情報提供のタイミングが注目点となる。ワンキャリアは、創業以来のキャリア選びへのスタンスを改めて伝えるために、新メッセージの策定と屋外広告の3月掲出を含む一連の施策を進めるとしている。
