アドバンスト・メディアが大幅反発している。前週末27日の取引終了後、26年3月期の連結業績予想の修正と、期末一括配当予想の引き上げを公表した。あわせて上限250万株の自社株買いも実施する。株価は発表を受けた株主還元の拡充を材料視した。本件は、利益見通しと資本政策の両面で、株主への還元姿勢を明確にする動きとなる。
同社は26年3月期の連結最終利益予想を14億円から16億2000万円へ上方修正した。保有する投資有価証券の売却に伴い、投資有価証券売却益約5億8000万円を特別利益として計上する見込みであることが主因だ。株主還元では、期末一括配当予想を30円から33円50銭へ引き上げるとともに、上場20周年を記念して記念配当2円50銭を実施する。さらに、上限250万株または30億円の自己株式取得枠を設定し、市場買い付けで取得を進める。
最終利益16.2億円へ
業績予想の修正では、最終利益を前期比15.1%増の16億2000万円に見直した。
保有投資有価証券の売却により、投資有価証券売却益約5億8000万円を特別利益として計上する見込みで、これが上方修正の要因となった。
一方で、売上高は80億円から70億円へ、営業利益は18億円から13億4000万円へ、それぞれ下方修正した。各事業部でストック型のサブスク案件獲得が順調に伸長した半面、コンタクトセンター業界向けのCTI事業部で大型のフロー型案件が減少したことが響いた。
期首に目論んでいたM&Aにも計画の遅れが出たとしている。
期末配当33円50銭に
配当予想は、期末一括配当を30円から33円50銭へ引き上げた。
内訳としては普通配当を引き上げるとともに、上場20周年に伴う記念配当2円50銭を実施する。前期の期末配当は27円50銭だった。
自社株買い上限250万株
株主還元策として自己株式の取得も進める。
取得枠は上限250万株(自己株式を除く発行済み株数の15.96%)または30億円とし、取得期間は3月28日から来年3月27日までとする。
取得手法は東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)を含む市場買い付けとした。
配当の引き上げと並行して機動的に自己株式の取得を進める構えで、発表後の株式市場では好材料として受け止められた。
サブスク伸長と大型案件減
今回の修正に至る過去から現在の流れとして、各事業部でストック型のサブスク案件獲得が順調に伸長してきた一方、コンタクトセンター業界向けのCTI事業部では大型のフロー型案件が減少した。
加えて、期首に想定していたM&Aの進捗にも遅れが出ており、売上高と営業利益の見通しを引き下げる判断につながった。
背景には、事業ポートフォリオの中で、ストック型とフロー型の案件構成が業績に与える影響が大きい点がある。今回の修正では、特別利益の計上によって最終利益は押し上げられる一方、売上高や営業利益は大型案件の動向やM&Aの進捗に左右されうる構図が残る。
影響単位でみると、需要面では大型フロー型案件の獲得状況が、供給面ではM&Aの計画進行が、それぞれ業績見通しの変動要因となる。
資本政策の継続性が注目
今後の注目点は、自己株式取得の取得期間が3月28日から来年3月27日までと長期に設定されていることに加え、ToSTNeT-3を含む市場買い付けで実施する点だ。
配当は普通配当の引き上げに記念配当を重ねる形で示されており、株主還元の設計が複線化した。業績面では、サブスク案件の伸長が続く一方で、コンタクトセンター業界向けCTI事業部の大型フロー型案件の回復有無と、期首に目論んだM&Aの遅れをどのように挽回するかが、次の局面で整理されることになる。
今回の動きは、投資有価証券売却益の計上で最終利益を上方修正しつつ、配当引き上げと自己株式取得を同時に進めることで、同社の資本政策を明確化する流れの一環に位置づく。
