株式会社東日本放送(仙台市太白区、以下KHB)は10日、仙台市と「災害時における帰宅困難者の支援に関する協定」を締結した。災害発生時に社屋を「一時滞在場所」として開放し、帰宅困難者を受け入れる。取り組みは宮城県内の放送局で初となる。対象は長町駅周辺で発生が想定される帰宅困難者で、運用開始は3月中を予定する。
khbは「地域に開かれたテレビ局」を掲げ、防災・減災分野で地域貢献活動を強化している。仙台市からの要請を受け、同社は社屋1階の「ぐりりホール」を一時滞在場所として提供する方針を固めた。地域放送局として官民連携による災害対応協定は初めてであり、番組制作のほか地域安全に関わる取組の一環に位置づけている。
長町駅で最大2000人想定
仙台市は東日本大震災を踏まえ、市内主要駅における帰宅困難者対策を進めてきた。現在、仙台駅などを中心に31カ所の一時滞在施設を民間企業と連携して確保している。長町駅では最大2000人が滞留すると想定されており、khbはそのうち120人程度を社屋内で最大3日間受け入れ、水、食料、災害情報などを提供する計画だ。
仙台市役所で行われた締結式では、郡和子市長と藤ノ木正哉社長が協定書に署名した。社屋には災害時に無料で使えるモバイルバッテリーのスタンドも整備されており、通信手段を確保できる体制を整えているという。
khbは1975年に開局したテレビ朝日系列の民間放送局で、2021年に現在地の太白区あすと長町に移転。地域と連携した防災啓発や教育番組の制作などを続けてきた。
khbと仙台市の連携体制
今回の協定は、仙台市が公共交通の途絶に備えて民間施設と締結している一時滞在協定の一環で、要請を受けたKHBが拠点を開放する形をとる。市は駅周辺の滞留を軽減する目的で協力事業者と協定を結び、各施設で水や食料、情報提供を行う仕組みを整えている。khb社屋は駅から徒歩5分、避難経路上に位置することから、受け入れ対応拠点として選ばれた。
協定のきっかけは、khb社員による震災を考える会での提案だった。若手社員の発案を受けて社内で検討が進み、仙台市との協議を経て実現したとされる。業務上の継続利用に影響が出にくいホールスペースを災害対応に充てる形を採用している。
一時滞在対象は長町駅周辺の徒歩帰宅者を想定し、食料・飲料水などの備蓄品を提供する仕組みを前提としている。再販売や商業利用はなく、災害時限定の避難対応として運用される。