東京電力(東京都)は4月16日、柏崎刈羽原子力発電所6号機の営業運転を約14年ぶりに再開した。総合負荷性能検査で異常は確認されなかった。首都圏への本格的な電力供給に向けた手続きが進んだ。今回の移行により、同原発の電力が首都圏で使われる局面が現実味を帯びる。
営業運転への移行にあたっての要点は、同日に実施した総合負荷性能検査と、その結果を踏まえた原子力規制委員会の使用前確認にある。東京電力が検査を実施する主体となり、原子力規制委員会が手続きの適切性を確認する立場を担った。規制側が「基準に適合していないと判断される点は認められなかった」とし、使用前確認証の交付に至ったことが、営業運転再開の直接の根拠となった。東京電力にとっては、福島第一原発事故後の運用局面を踏まえつつ、供給面での役割を改めて位置づける動きとなる。
総合負荷検査を5時間
総合負荷性能検査は、電力会社が原発を営業運転に移行する前に実施が必要な手続きで、各設備のデータを記録し、正常に機能しているかどうかを確かめる。
東京電力によると、4月16日午前6時40分から同11時51分まで約5時間かけて実施し、異常は確認されなかった。
対象となった確認項目は、原子炉出力や圧力、水位のほか、ポンプの速度や振動、蒸気や水の流量、タービンに入る蒸気の温度などだ。
検査の位置づけは「最後の関門」とされ、首都圏への本格的な電力供給に向け、運転移行の前提条件を満たしたことになる。
規制委が使用前確認証
原子力規制委員会は、東京電力による検査が適切だったかをチェックする「使用前確認」を実施し、問題がないと判断した。
4月16日午後4時、原子力規制庁の上田洋・首席原子力専門検査官が「基準に適合していないと判断される点は認められなかった」と述べ、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長に使用前確認証を手渡した。これを受け、同原発は営業運転に移行した。
営業運転の開始後の運営姿勢について、稲垣所長は「(営業運転の開始は)あくまでゴールではなくスタートだ。改めて安全最優先で発電所を運営していくという心を新たにした」と述べた。
運転の継続判断に関しても、懸念が生じた場合に立ち止まる姿勢を示し、「運転継続に支障があるものが出てきた場合は、しっかり判断して対応したい」と話した。
1月再稼働後にトラブル
柏崎刈羽原発6号機は、東京電力の原発としては2011年の福島第一原発事故後初めて、今年1月21日に再稼働した。
当初は2月26日に営業運転へ移行する見込みだったが、核分裂を抑える制御棒の引き抜き中に異常を示す警報が作動したほか、発電機からの漏電を示す警報が作動するなど、トラブルが断続的に続いた。
東京電力は再発防止策を講じたうえで3月22日に発送電を再開し、同27日にフル稼働の状態になっていた。
今回、総合負荷性能検査と規制側の使用前確認を経て営業運転に移ったことで、再稼働後の運転プロセスは次の段階に入った。
柏崎市長が周知を要望
立地自治体の反応も示された。
新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は4月16日、東京都内で東京商工会議所の小林健会頭と面会し、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の電気が首都圏で使われることを広く周知するよう要望した。その後の取材で、営業運転再開について「エネルギー情勢が非常に厳しい中、脱炭素の安定電源である原発の電気を供給できることになり、立地自治体の長として、ほっとしている」と述べた。
一方で桜井市長は、東京電力に対し「安全、安心を醸成できる原発」とするよう求めた。
東京電力側も、県民からの信頼回復に向けた説明の必要性に言及し、稲垣所長は「不安の気持ちが強いのは実感している。どのような人間が発電所で働いているか知っていただくことが、安心につながると考えている」と話した。
今後は、営業運転に移行した6号機の運転状況と、運転継続に支障が生じた際の判断・対応の実行が、事業運営と対外説明の両面で注目点となる。
