株式会社たちばな(長野県長野市)は、袴ブランド「久善(ひさよし)」の新CM「出勤編」を3月5日から放映した。袴姿で仕事に向かう男性を描き、「出勤」という日常場面を通じて新たな和装スタイルを表現する。久善は「スーツ感覚で着られる袴」を掲げており、ビジネスシーンでの着用イメージの具体化を狙う。
新CM「出勤編」は、ビジネスパーソンにふさわしい和装スタイルを前面に出した内容だ。久善はワンタッチで着脱できる構造を特徴とし、忙しい日常や現代のライフスタイルにもなじむ袴として、ビジネスシーンや日常のほか、略礼装での使用も想定する。式典やパーティー、レセプションなど人前に立つ機会が多い場面や、海外の来訪者との面会、日本文化に関わる職種での着用シーンも打ち出す。たちばなにとっては、呉服の店頭展開に加え、男性の着用シーンを動画で具体的に示す取り組みとなる。
久善は3ライン展開
久善は既成・セミオーダー・フルオーダーの3ラインを展開する。生地は約250種類から選べるとし、スーツ生地を用いたモデルをそろえる。お手入れはスーツと同様のクリーニング方法で対応できるとし、ワンタッチで着脱できる点と合わせて、ビジネスシーンでも扱いやすい設計思想を打ち出している。
久善のCMは「アスリート編」もYouTubeで公開している。取り扱い店舗は「たちばな 長野本店」「たちばな 塩尻ギャザ店」「あかしろき イオンモール松本店」「あかしろき 南町田グランベリーパーク店」「ぜろいち 武蔵小山店」などがある。名称の「久善」には、“久遠”を示す「久」と“至善”を示す「善」の字を当て、伝統文化を受け継ぎながら品質の向上を目指す姿勢を込めたという。
たちばなは1954年創業(松屋洋品店)、1979年1月設立で、呉服小売店21店舗、フォトスタジオ17店舗を運営する。2代目経営者(現会長)松本秀幸氏が呉服事業を本格化させ、現社長松本亮治氏が着付け教室やインショップ店舗事業を立ち上げるなど、店舗運営と和装の着用体験を組み合わせた事業を広げてきた。久善の新CMは、その延長線上で男性の「出勤」という日常場面に焦点を移し、袴の利用像を提示するものとなる。
市場環境では、国内の着物・和装市場規模が2024年に約1,200億円とされ、成人式・卒業式といった儀礼需要が中心となる構造が続く。こうしたなか、日常やビジネスなど生活シーンでの着用提案は各社の共通課題となっている。観光庁の統計では2025年の訪日外国人が4,000万人超と見込まれ、国際交流の場面で日本文化に触れる機会が増加している。久善が「海外の方と会う場面」や式典・レセプションを着用シーンとして掲げるのは、こうした交流機会の拡大と歩調を合わせたものだ。背景には、スーツ市場が2024年に約8,000億円規模とされるなか、スーツに近い素材感や手入れ方法を採り入れた和装で、新たな需要を掘り起こす動きがある。
ワンタッチ構造で自装
久善は、特許取得のワンタッチ構造により、着付けの専門知識がなくても一人で短時間に着られる点を訴求する。普段スーツを着るのと同じような感覚での利用を想定し、スーツ生地の採用によりビジネスシーンにも自然に馴染むと説明する。新CM「出勤編」は、こうした設計上の特徴を日々繰り返される「出勤」という行動に重ね、日常の装いの選択肢としての袴を印象付ける構成とした。
情報発信では、動画の使い分けにより接点拡大を図る。「出勤編」の放映と並行し、「アスリート編」をYouTubeで公開し、複数のイメージでブランドの世界観を示す。取り扱い店舗をあらかじめ示し、視聴後の関心を実店舗での試着や相談につなげる導線を整える。着用シーンも、日常・ビジネス・略礼装に加え、式典やパーティー、レセプションなど人前に立つ場面、海外の人との面会、日本文化に関わる場面などを列挙し、用途の幅を明確化している。
