サーブ・バイオファーマ株式会社(鹿児島県鹿児島市)は、開発中の免疫遺伝子搭載・腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA-2-IC」が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬ベンチャーエコシステム強化事業(第10回)」に採択されたと発表した。10社の申請のうち採択は3社で、同社は最大約27億円の補助金交付を受ける見込みだ。資金は非臨床および臨床開発の加速に充当する予定となっている。
サーブ・バイオファーマは、創薬領域でハンズオン支援を行う認定ベンチャーキャピタル(VC)の支援を受ける構造の下で申請した。申請では、これまで資金調達を主導したDCIパートナーズ株式会社をリード認定VCとしている。AMEDによる制度は、認定VCの出資額に対して最大2倍の補助を行う仕組みで、日本の創薬ベンチャーの成長支援を目的としている。
Surv.m-CRAシリーズの開発体制
採択対象の「Surv.m-CRA-2-IC」は、3種類の免疫遺伝子を搭載し、全身性の抗腫瘍免疫誘導を目指す腫瘍溶解性ウイルスとなる。非臨床試験および第Ⅰ・Ⅱ相試験を進める計画で、Proof of Concept(POC)取得を目指している。サーブ・バイオファーマが開発するウイルス療法「Surv.m-CRA」シリーズは、がん細胞で活性化する「サバイビンプロモーター」を搭載し、正常細胞を傷害せずに選択的にがん細胞を破壊する特徴を持つ。
同シリーズの第1弾である「Surv.m-CRA-1」は、原発性悪性骨腫瘍を対象とする第Ⅲ相臨床試験を国内で進行中で、腫瘍溶解性ウイルスとしては世界2例目となる本承認取得を目指している。京都大学系VCである京都大学イノベーションキャピタルが実施した投資により、第Ⅰ・Ⅱ相での臨床結果を踏まえた追加研究も進められている。
鹿児島大学発ベンチャーの連携枠組み
サーブ・バイオファーマは2022年8月、鹿児島大学の小戝健一郎教授が開発した多因子増殖制御型アデノウイルス(m-CRA)技術の社会実装を目的に設立されたバイオベンチャーだ。原技術をアカデミアと企業の連携により臨床段階へ移行させることを進めてきた。研究代表である小戝教授が開発したプラットフォームを基盤に、がん幹細胞を含む広範ながん細胞への適用を図っている。
本事業の採択を受けて、認定VCであるDCIパートナーズが資金面の主導を担い、AMEDが補助を通じて研究を支援する構造が整備された。今後の開発では、国内外の製薬企業とのライセンス契約を通じて臨床データの取得と製品化の準備を同時に進める方針が示されている。
AMED支援による資金構造
本採択では、AMEDからの補助金が認定VCの出資額の最大2倍まで交付される仕組みを用い、総額最大約27億円が対象となる。補助の対象範囲には非臨床試験、治験薬製造、安全性試験などが含まれる。研究課題「浸潤・転移を伴う難治性がんに対する新規腫瘍溶解性ウイルスの開発」は、今後の国内臨床と海外展開を見据えた基礎段階を支援範囲としている。
これまでに同社は、シリーズB資金調達で6.7億円を確保しており、京都大学イノベーションキャピタルなどアカデミア系VCを含めた支援体制を整えている。今回の公的助成を起点に、研究開発費用の安定的確保を進める構造が整備された。
サーブ・バイオファーマは、Surv.m-CRAシリーズの非臨床および臨床開発を組み合わせ、製薬企業へのライセンスを通じた製品化を進める形を取っている。研究・治験段階での連携体制を固定的に維持することが注目点となる。