株式会社スクロール(静岡県浜松市中央区)の子会社でマーケティングソリューション事業を展開する株式会社スクロール360(静岡県浜松市中央区)は、日本コンタクトセンター協会が新たに制定した「コンタクトセンター カスタマーハラスメント対策推進企業」に認定された。10月1日に運用が始まった制度の下で、認定企業として初期段階から参画する。
この認定は、コンタクトセンター業界内での従業員保護とクライアント企業のリスクマネジメントを両立する取り組みを評価したもので、同社にとっては労務・品質管理両面の体制強化を明示する位置づけとなる。協会はコールセンター実務に従事する会員企業に、責任者の選任や基本方針の公開など9項目の誓約を求めており、スクロール360はそれらを満たした上で認定を受けた。
全国初の認定制度に参画
日本コンタクトセンター協会が創設した本制度は、国内のコールセンター業界で初めてとなるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策推進企業の認定枠組みだ。暴言や理不尽な要求による従業員の心身負担増が課題となるなか、協会は会員企業を対象に制度を導入。
責任者登録や相談窓口の設置、基本方針の公開などを誓約事項として設定し、企業横断的な職場環境改善を促進している。
制度設立時は会員企業限定で、認定料や更新料は当面無料とされる。
同協会は2024年度に50社・約2,500人を対象とする実態調査を実施した上で、2025年3月に業界ガイドラインを策定しており、今回の認定はその延長線上にある。
協会による共通認定マークの付与や情報共有の場が設けられるほか、今後は勉強会や課題共有の枠組みを整える予定だ。
スクロール360の対策体制
スクロール360は2025年8月に「カスハラ対策プロジェクト」を発足。各センターの代表者を横断的に集め、現場対応の判断を個人に委ねない仕組みづくりを進めてきた。
対応方針と標準フローを明文化し、外部講師による研修で心理的安全性の確保を重視する。
同社では従業員保護を、顧客企業の品質保証・ブランド維持のためのリスクマネジメントと位置づけており、離職防止と応対スキルの向上が双方向の利益を生むとみる。
具体的な運用面では、苦情対応マニュアルの平準化が進められている。
また、従業員の相談窓口を設け、発生時の記録と報告を体系化。協会からの改善要請に応じるなど、第三者との連携も仕組みに組み込んでいる。
背景と経緯
スクロール360は1986年設立のフルフィルメント事業者で、物流や受注・決済代行に加えECマーケティング支援を行ってきた。
親会社のスクロールは東証プライムに上場し、グループ全体で持続可能な経営と人材育成を重視する方針を掲げている。
今回の認定取得は、近年拡大する受託型コールセンター業務の中で労務・品質両面を担保する体制づくりの一環でもある。
外部環境では、カスハラ被害によるオペレーターの離職や募集難が全国的な問題となっている。
協会のガイドラインは、過度な要求や暴言を社会的に「不当行為」と明確化し、企業が毅然と対応できる法令準拠型の体制整備を促す内容だ。
企業に求められるのは、従業員の安全確保に加えて、委託元・消費者双方へ健全な応対基準を提示することにある。
経営層の視点と制度普及の広がり
同社の取締役社長丸井恵介氏は、従業員の安全と心理的安定を確保することがオペレーション品質と顧客満足の基盤になると説明。
認定を経てクライアント企業のブランド保護にも寄与する姿勢を示した。
業界内では東京ガスカスタマーサポートやベルシステム24なども同制度の認定企業として公表されており、複数の事業者による横断的な取り組みが動き出している。
コンタクトセンター協会は、今後認定企業同士の情報交換を通じ、教育研修の標準化や実態調査の高度化を進める方針を掲げている。
労務管理上の課題と事業品質維持の両立は、多業種への波及が見込まれる注目点といえる。
スクロール360は今回の認定を起点に、「従業員の心理的安全性を原動力としたサービス品質の向上」を掲げ、オペレーター育成と定着を重点に置いた運営体制を強化する。
協会が主導する勉強会や情報共有の場にも参加し、今後は認定枠組みの普及とともに同業他社との連携領域を広げる見通しだ。
企業内外で対策体制を可視化し、人材確保と品質維持を両立する実践事例として注目される。