株式会社ニコン(東京都港区)は、半導体製造の露光工程で高精度な重ね合わせを実現する新型アライメントステーション「Litho Booster 1000」を開発中である。発売は2026年後半を予定しており、自社製・他社製の露光装置の双方に対応する見込みだ。同装置は、露光前のウェハを測定し、得られた補正値を露光装置に反映させる仕組みを持つ。
ニコンは露光装置メーカーとして、半導体製造における上流工程の精度向上を図ってきた。今回の装置開発は、微細化と3D構造化が進む半導体分野で、歪みやずれが増える製造工程に対応することが目的だ。ウェハの多点かつ絶対値計測を可能にする新技術を導入し、製造歩留まりの向上を狙う。同取り組みでは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究成果の一部を活用している。
精密測定で歩留まり改善を狙う
ニコンが開発する「Litho Booster 1000」は、既存モデルに比べ計測精度を高めることで、露光工程全体の再現性を強化する。これにより、ウェハごとの微小な歪みを検知し、補正データをリアルタイムで反映可能になる見通しだ。
同社は2018年からアライメントステーションを市場投入しており、蓄積した計測・補正技術をベースに改良を重ねてきた。本モデルはその延長線上に位置づけられる。
「Litho Booster 1000」は、露光装置の生産性を損なわずに高精度な重ね合わせを実現する点が特徴とされる。
こうした工程制御の高度化により、半導体製造の高密度化が進む中でも、製造コストや不良率の低減を支援する仕組みが期待される。特に、多層構造のウエハを対象としたプロセス制御で効果を発揮する設計となっている。
3D化が進む半導体製造に対応
背景には、半導体素子の構造変化がある。
従来は平面上での微細化競争が続いていたが、近年は垂直方向にも回路を積層する3D化が加速している。CMOSイメージセンサーに始まり、ロジックやNANDフラッシュメモリへ適用が広がり、今後はDRAMでも導入が進む見通しだ。こうした3D構造では、複数台の露光装置を用いた工程処理やWafer to Wafer間の貼り合わせが必要になるため、わずかなウェハ変形が歩留まりに直結する。
多層化に伴う熱・応力の影響を正確に把握するため、ナノメートル単位の位置補正が求められている。
アライメントステーションを用いた事前測定は、その精度維持に不可欠であり、製造ラインの安定運用にも寄与する。
業界では、この精度向上の動きがサプライチェーン全体に波及し、装置の共通化や交換性確保にもつながるとの見方がある。
NEDO成果を応用し計測技術を強化
今回の開発では、国の研究開発機関であるNEDOの委託業務で得られた成果も生かしている。
NEDOによる研究支援の一部が、ウェハ計測や制御アルゴリズムなどの要素技術として反映されており、学術的知見と産業実装が組み合わさる形となった。
公的研究機関の成果活用は、先端製造分野での開発リスク低減と技術普及を促す取り組みの一環だ。
ニコンは今回の技術連携によって、長期的には露光プロセス周辺工程の自動化・統合を見据える構えとされる。
露光装置単体では対応しきれない精度要求を、外部計測システムとのデータ連携で補完する形だ。
産学官の連携強化が、高度な半導体製造技術の国際競争力維持につながる可能性もある。
半導体装置市場での次期展開
「Litho Booster 1000」の発売は2026年後半が予定されている。
開発段階で他社製露光装置にも適合する仕様を想定しており、サプライヤー各社への適用範囲拡大が焦点となる。
すでに同シリーズを導入している顧客が存在するため、更新需要の獲得も見据える格好だ。製造装置市場では、3D構造や微細プロセス技術の広がりにより、高精度アライメント技術の重要性が増している。
同装置の展開が進むことで、露光工程の補正データ活用や設備間連携の高度化が進み、今後のプロセス自動化戦略にもつながるとみられる。
ニコンは露光分野における主力技術の拡張を続けており、今回の動きは半導体製造装置の高度化が求められる流れの一環といえる。