経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、情報処理技術者試験と情報処理安全確保支援士試験の見直し状況を公表した。現行制度は2026年度の試験実施で終了予定だ。2027年度から新制度に移行する見通しで、全区分をCBT方式で実施する方針を示した。企業の人材育成計画や受験設計に影響が及ぶ可能性がある。
見直しはSociety 5.0に対応した人材育成を背景に、試験区分の再編や新設区分の追加、出題範囲の再整理を進める枠組みだ。経済産業省とIPAは受験検討者に早期に情報提供する狙いで、現時点の検討状況を示した。区分ごとに試験時間、出題数、開始時期が異なるため、受験を計画する際は差分を踏まえた対応が必要になる。
新設はデータ管理試験
見直しの柱の1つが、データマネジメント試験の新設だ。AI活用を支えるデータ整備と管理の能力を評価し、
対象は幅広いビジネスパーソンとする。位置づけはITパスポートの次のステップで、ITパスポートでの学びから、データの整備・管理へ進む導線を明確にする。
あわせてITパスポート試験は出題分野を「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に再編する。
DXで求められるマインドやデータマネジメント基礎、セキュリティ・倫理の出題を強化する方針で、初学者向け区分の中でも問う領域の整理を進める。
高度区分を3領域に統合
プロフェッショナルデジタルスキル試験も新設する。応用情報技術者試験と高度試験を大括り化し、「マネジメント」「データ・AI」「システム」の3区分に再編する構想だ。
専門分野ごとの縦割りで区分が並ぶ従来型から、領域統合を前提に評価枠組みを組み替える。
既存区分のうち、情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験は、科目Aの範囲体系を見直し、科目Bの一部を変更する。
一方で、問う知識や技能の範囲は変更しないとしており、出題体系や形式面の調整が中心となる。
支援士は時間と形式を変更
情報処理安全確保支援士試験は、科目Aの体系見直しに加え、マネジメント分野を強化する。試験時間と科目Bの出題形式も変更する方針で、運用面の設計を含めて見直す。
対象者像は、組織における安全な情報システムの企画から運用支援、調査分析と助言を担う専門家としている。
試験時間と開始時期を明示
新制度では区分ごとの試験構成を明確にする。試験時間と出題数は、ITパスポートが120分で100問。
新設のデータマネジメント試験は科目Aと科目Bの合計120分で、Aが48問、Bが12問となる。情報セキュリティマネジメント試験も同様に合計120分で、Aが48問、Bが12問とする。基本情報技術者試験は科目Aが90分で60問、科目Bが100分で20問だ。
プロフェッショナルデジタルスキル試験は、マネジメント、データ・AI、システムのいずれも、科目A-1が90分で60問、A-2とBの合計が120分で、A-2が23問、Bが12問とする。
情報処理安全確保支援士試験は、科目A-1が45分で30問、科目A-2が35分で25問、科目Bが120分で12問となる。開始時期は2027年度春頃にITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者が先行し、夏から秋頃にデータマネジメント、プロフェッショナルデジタルスキル各試験、情報処理安全確保支援士が続く予定だ。
通年実施と免除制度を維持
実施方式は全区分でCBT方式を採用する。試験回数は、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者が従来通り通年で実施予定となる一方、データマネジメントとプロフェッショナルデジタルスキル各試験は、実施時期と期間を検討中とした。
免除制度は、プロフェッショナルデジタルスキル各試験で現行の高度試験と同等の制度を設ける方向で検討し、現行の高度試験や情報処理安全確保支援士の免除要件を満たした場合に経過措置として一部科目免除を設ける案も検討する。新制度で、基本情報の科目A免除と情報処理安全確保支援士の科目A-2免除は変更予定がないとしている。
見直しは検討状況の公表であり、今後変更される可能性がある。
企業側では、受験計画を立てる際に、区分ごとの開始時期の違いに加え、試験時間や出題数の差が人材育成計画と整合するかが注目点となる。情報処理試験再編は、2026年度で現行制度が終わり、2027年度に新制度へ移る流れの中で、評価区分と運用方式を同時に組み替える局面に入った。
