マクニカ(神奈川県横浜市)は、空調のスマート化ソリューションを手がけるCoolAutomation Japanと販売代理店契約を結んだ。CoolAutomationソリューションの日本における包括窓口として、販売に加え、施工体制の整備や導入後のテクニカルサポートまでを一体で提供する。マクニカが独自開発する空気質モニタリングソリューションとの連携も視野に、スマート空調事業に参入する。
CoolAutomationは、メーカーを問わず空調設備を統合し、スマート制御や可視化、クラウド管理を可能にするHVACオートメーションソリューションを展開する。空調統合ゲートウェイ「CoolMaster」シリーズなどを通じ、複数の空調システムの通信プロトコルに対応し、建物内の空調機器を共通のデジタルインタフェースで接続する仕組みを提供してきた。メーカーごとに分断されがちな運用データを横串で扱えるようにし、建物全体の運転最適化や運用効率の改善につなげる狙いがある。
CoolAutomationは100か国超
CoolAutomationのスマート空調ソリューションは世界100か国以上で導入され、対象は5万以上の建物に及ぶという。活用先として商業ビル、ホテル、医療施設、教育施設、工場などを挙げる。こうした実績を背景に、国内でも既存設備を生かしながらスマート化を進める需要の取り込みを狙う。
連携の背景には、カーボンニュートラルやGX(グリーントランスフォーメーション)を追い風に、ビルや施設でのエネルギー消費削減が強く求められていることがある。一方、空調はメーカーごとに閉じたシステムとして構築されてきた経緯があり、建物全体での統合制御やデータ活用が進みにくい。既存建物ではメーカー混在の空調環境が一般的で、BMS(ビル管理システム)やEMS(エネルギーマネジメントシステム)、クラウドサービスと連携した遠隔監視、AIによる最適運転などを実装しようとしても、接続仕様の違いが障壁になりやすい。空調の「閉じられた構造」がスマートビル化のボトルネックになるとの見立ても、導入機運を後押ししている。
販売・施工・支援を一体提供
マクニカは導入初期に、既存の空調設備や建物環境を踏まえた事前検証を支援し、最適なシステム構成の検討につなげる。導入段階では施工パートナーと連携して現地での設置・設定、動作確認を担い、導入後は一次サポートやトラブルシューティングなどの技術支援を引き受ける体制を整える。パートナー企業への教育支援も提供し、施工・運用の担い手を増やす。
役割分担としては、CoolAutomation Japanが空調のオープン接続ソリューションを展開し、マクニカが国内窓口として導入支援と運用フェーズの技術対応を担う。ソリューションは国際標準のオープンプロトコルに対応し、BMSやEMS、IoTプラットフォーム、クラウドサービスなど外部システムとの連携を容易にする点を特徴とする。個別最適にとどまりがちな空調運用を、建物全体の最適化へと引き上げる基盤として位置づける。
マクニカは空気質モニタリングソリューション「AiryQonnect」との連携により、「空気質の可視化」と「空調の最適制御」を組み合わせたスマートビル管理プラットフォームの構築を目指す。温湿度やCO2濃度などの空気質データを基に、AIを用いて空調を自動運転する構想も掲げる。オフィスや公共施設、工場などで空気環境の可視化や認証取得支援に取り組んできた知見を、設備側の制御領域へ拡張する考えだ。
マクニカは今回の連携を通じ、日本市場で空調設備のオープン化を進め、既存建物を含むスマートビルディングの普及とGXの加速につなげる方針を示した。販売にとどまらず施工・運用支援までを一体で担う体制を前面に出すことで、導入の手間や運用上の不安を抑え、メーカー混在環境でも段階的にスマート化を進めたい施設側の需要を取り込む。
