くら寿司(堺市)は13日、2026年10月期第1四半期(25年11月〜26年1月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比7.5%増の629.21億円、営業利益は同13.6%増の15.07億円となった。国内事業の好調と原価管理が寄与し、海外でも二桁の増収を確保した。
国内では、人気テレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」や「シナモロール」とのコラボレーション施策を通じて集客と売上拡大を図った。原材料価格の上昇が続くなか、商品設計を見直し、原価率のコントロールと顧客単価の上昇を同時に追求した。都市部では新業態「無添蔵」が狭小地を活用した高効率運営で継続的な満席となっている。
売上高629.21億円
連結の親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比16.8%増の10.76億円、経常利益は同12.0%増の16.18億円だった。売上高の7.5%増に対し、営業利益は13.6%増、経常利益は12.0%増、純利益は16.8%増と、利益の伸びが売上高を上回った。原価管理と商品設計の見直しが収益性の改善につながった形だ。日本事業の売上高は同4.7%増の450.04億円、経常利益は同37.8%増の20.63億円で、連結全体の利益成長を牽引した。北米およびアジアの海外セグメントでも二桁の増収となった。
通期の連結業績予想は、売上高2,570.00億円、経常利益52.00億円とする期初計画を据え置いた。株主還元では今期の増配を予定し、2026年5月1日付で1株につき2株の株式分割を実施する。BtoCビジネスにおける個人投資家の重要性を踏まえ、株主層の拡大と流動性向上を狙う。業績計画を維持したうえで、財務・資本政策と事業拡大を並行して進める姿勢を鮮明にした。
国内では「ビッくらポン!」や回転レーンによる商品提供などの「楽しい食体験」を打ち出してきた。2026年3月からは自社セントラルキッチンを活用し、「超熟成シリーズ」など加工度の高い高付加価値商品の展開を開始した。
海外では北米・台湾を軸とした運営体制が明確になりつつある。北米事業では消費の冷え込みに対応し、2025年11月に約4%の価格改定を実施したうえで、12月以降に販促を強化した結果、客数・単価ともに回復傾向にある。アジア事業は上海市場から一時撤退し、「仕切り直し」を図る一方、好調な台湾市場に経営リソースを集中させる方針だ。
国内の伸長要因としては、IPキャラクターとの協業と、都市部における新業態「無添蔵」の稼働状況が挙げられる。無添蔵は狭小地での高効率運営と新たな顧客層の開拓を狙い、都市部出店の加速を成長ドライバーの一つと位置づける。インバウンド需要も好調で、グローバル旗艦店では客数の半分以上を外国人客が占め、オリジナルの高単価商品の販売が収益に貢献している。
供給はIP施策と高付加価値商品が軸
国内施策は、「僕のヒーローアカデミア」や「シナモロール」といったIPキャラクターとのコラボレーションを軸に集客と売上拡大を進める構図だ。「ビッくらポン!」や回転レーンによる提供といった体験設計を組み合わせ、「楽しい食体験」を前面に出した運営を継続している。
商品面では、原材料価格の上昇局面に対応して商品設計を見直し、原価率の抑制と顧客単価の引き上げを同時に進める。2026年3月からは自社セントラルキッチンを活用した「超熟成シリーズ」などの高付加価値商品の投入を開始し、加工工程を自社設備側に寄せることで供給体制の高度化を図る。
出店・業態面では、都市部の新業態「無添蔵」が狭小地での高効率運営で高い稼働を維持し、都市部出店加速の選択肢として浮上している。海外は、アジアで上海市場から一時撤退して体制再構築を進める一方、台湾市場への集中投資を進める。北米では約4%の価格改定と販促強化を組み合わせ、需要の冷え込みに対して価格戦略とプロモーションを連動させる運営を行っている。
今後は、通期予想を据え置くなかで、日本事業の収益改善と北米・台湾を軸とした海外運営がどこまで積み上がるかが焦点となる。IP施策や高付加価値商品の展開が続く局面では、供給の中核を店舗オペレーションと自社セントラルキッチンのいずれに置くかといった運営単位の設計も論点となる。くら寿司は国内で集客施策と商品設計の見直しを進めつつ、海外では北米・台湾への選択と集中を強める方針を示した。
利益率改善が示す転換
今回の第1四半期では、売上高の伸びを利益の伸びが上回った点が際立つ。連結売上高629.21億円に対し、営業利益15.07億円、経常利益16.18億円、純利益10.76億円と、いずれも2桁の伸びを確保した。外食各社が原材料高に直面するなか、くら寿司は商品設計の見直しで原価率と客単価のバランスを取り、利益率の改善につなげた。
セグメント別では、日本事業の経常利益が同37.8%増の20.63億円と、連結全体の成長率を大きく上回った。国内で打ち出したIPキャラクターとのコラボレーション施策による集客、商品設計の見直し、都市部の新業態「無添蔵」の好調な稼働、そして自社セントラルキッチンを活用した「超熟成シリーズ」の展開開始など、既存店の集客と商品・供給側の再設計を併走させる戦略が収益改善に寄与した格好だ。
海外では、北米とアジアの両セグメントが二桁の増収となる一方、運営資源の配分にメリハリをつけた。アジア事業で上海から一時撤退し、台湾市場に経営リソースを集中させる方針は、出店と運営の優先順位を明確化する動きといえる。中国本土については将来的な再進出の余地を残しつつ、当面は台湾エリアでの店舗網拡大を前面に打ち出し、地理的な選択と集中を進める。
北米事業は、約4%の価格改定と販促強化を組み合わせることで、客数・単価ともに回復傾向にある。需要変動が大きい外食市場において、価格戦略と販促を連動させることで収益を維持・改善しようとする姿勢がうかがえる。
国内の都市部戦略では、新業態「無添蔵」の継続的な満席が出店戦略の幅を広げる要因となる。狭小地での高効率運営は、同じ売上規模を確保する際の必要床面積や人員配置の設計に影響を与えうる。また、グローバル旗艦店でインバウンドが客数の半数超を占める状況は、店舗フォーマットや商品構成の違いが収益に直結する局面を示している。オリジナルの高単価商品が収益に寄与していることから、観光需要の取り込みが客数のみならず単価向上にも結び付いている。
資本政策では、通期の連結業績予想を維持しつつ、今期の増配と株式2分割を決定した。個人投資家の重要性を意識し、株主層への目配りと市場での評価向上を図る構えだ。国内での利益改善と海外事業の再設計を進めながら、成長投資と株主還元の両立を探る外食企業の姿が浮かぶ。
外食産業全体で原材料高と需要変動が続くなか、くら寿司は「原価管理」と「商品設計の見直し」を通じて数値改善を実現し、北米では価格改定と販促強化を組み合わせた具体的な対応策を打ち出した。IPキャラクターとのコラボ施策を国内の成長要因とし、都市部の新業態「無添蔵」を新たな店舗フォーマットとして活用することで、集客導線と業態開発の両面から需要を取り込む。自社セントラルキッチンを活用した「超熟成シリーズ」の開始は、加工度の高い商品の供給を自社設備に集約する方向性を示しており、店舗オペレーションと供給体制を連動させる運営モデルが、業界内での差別化要因として意識されつつある。
