東武動物公園(東武レジャー企画㈱、埼玉県宮代町)は、小型ドローンを活用した点検の内製化運用を進めている。休園日に、水上木製コースター「レジーナⅡ」で模擬点検を実施し、人が立ち入りにくい高所や構造体内部を遠隔から安全に確認できるかを検証した。
模擬点検は、従来の目視では確認が難しい箇所をドローン映像で把握できるかを主眼に置いた。遊戯機種や高所構造物の点検で安全性の確保と作業効率の向上が課題となるなか、同園は椿本興業とスカイブリッジの協力による講習を受講し、園内で飛行訓練や空撮を重ねてきた。
レジーナⅡで遠隔点検
取り組みの中心は、水上木製コースター「レジーナⅡ」を使った模擬点検だ。ドローン操縦者とモニター確認者の2名体制で行い、操縦者の視点映像をモニターに表示して点検箇所を確認した。確認者は飛行中のドローンを目視で監視し、風の影響や周囲の状況を操縦者へ伝えた。
模擬点検では、高所や構造体内部、従来目視では確認が難しい箇所を対象に遠隔からの確認を試みた。通常の点検ではアクセスが難しい高所や、走路内構造体(骨組み)の裏側にも進入しやすく、ドローンの映像が点検者の「目」として機能することで、詳細な確認が可能になるとした。同園は、取り組みを通じて安全かつ効率的な点検が可能であることを確認した。
点検用途のドローン運用は、園内設備の管理手法を補完する作業設計にも踏み込む。小型ドローン導入後、遊戯機種での点検実現に向けて訓練を重ねてきたが、今回の模擬点検では、点検の手順や役割分担を実作業に近い形で組み立てることに重点を置いた。
同園はこれまで、夜間営業でのドローンショーでも運用経験を積んできた。2024年8月の「サマーナイトZOO」では200機のドローンを4日間連続で飛行させ、機体点検や立ち入り禁止区域の設定、気象条件の確認といった運用要素を蓄積している。エンターテインメント用途で得たノウハウが、安全管理や運航体制の構築といった面で点検分野にも波及している格好だ。
東武動物公園は、台風などの荒天後や降雪後の園内巡回点検にもドローン活用の範囲を広げる方針だ。高所確認や構造体内部の視認性を巡回点検プロセスに組み込めれば、現場への立ち入りや足場確保を要する作業の一部を代替し、職員の安全確保と点検時間の短縮につなげる狙いがある。
同園が小型ドローン点検の内製化を進めるうえでは、外部の知見を段階的に取り込んできた経緯もある。2024年6月には、ドローン点検の実績がある椿本興業(大阪市北区)とスカイブリッジ(さいたま市)によるドローン点検を受け、その有効性を確認したことから、両社の協力による講習に踏み切った。
スカイブリッジは、東武動物公園で3次元測量やドローン点検の実績を持つほか、他の遊園地施設でもドローン自動飛行点検と3次元測量を組み合わせた取り組みを展開している。浜名湖パルパル・かんざんじロープウェーや浅草花やしきなどで、高所構造物や遊具の計測・点検にドローンを活用しており、こうした外部事例も同園の導入判断を後押ししたとみられる。
2名運用で目視監視
運用面では、操縦者とモニター確認者の2名体制を基本とする点が特徴だ。モニターに操縦者の視点映像を表示して点検箇所を確認しつつ、確認者が飛行中の機体を常時目視で監視し、風など外的要因や周辺環境の変化を操縦者に伝える。操縦と監視を分ける体制設計によって、点検手順と安全配慮を両立させる狙いがある。
協業の枠組みでは、外部事業者による点検実施を起点に、講習、園内訓練と段階を踏み、今回の模擬点検に至った。今後は、遊戯機種での本格的な点検実施を見据え、園内での運用マニュアルの整備や、操縦者・監視者の教育・資格管理など、体制づくりを進めるとみられる。
活用範囲は、遊戯機種や高所構造物の定期点検にとどまらず、荒天後や降雪後の巡回点検に広げる計画だ。園内の構造物や設備の状況を早期に把握し、復旧判断や作業時間の短縮につなげることを狙う。講習協力先である椿本興業、スカイブリッジとの連携を生かしつつ、点検計画の策定から運用、結果の記録・分析までを一体で管理する枠組みの構築が課題となる。
東武動物公園は、小型ドローンを活用した点検の内製化を引き続き推進する方針で、講習・訓練・点検実施の各工程で役割分担を明確化し、園内の安全管理体制の高度化につなげていく考えだ。
