コクヨ株式会社は4月1日付で、石戸亮氏をグローバルワークプレイス(GWP)事業本部 日本統括本部の副統括本部長、領域拡張共創本部の本部長、子会社コクヨアンドパートナーズ株式会社の代表取締役に起用した。会社としての公式な対応として人事を実施し、ワークプレイス支援のサービス高度化を通じた事業運営に影響する可能性がある。
石戸氏はコクヨで、GWP事業本部の日本統括に加え、イノベーションセンターが属する領域拡張共創本部、さらにBPOサービスを手がけるコクヨアンドパートナーズの経営を兼務する。コクヨは文具・家具の枠を超えた「WORK & LIFE STYLE Company」への企業変革を掲げており、石戸氏のデジタルと事業変革の経験を軸に、ソリューションパートナーへの転換とサービス起点のビジネスモデル確立を進める狙いを示した。
GWP売上4割の屋台骨
石戸氏は直近まで小林製薬で執行役員 DX本部長を務め、全社DXの中核を担ってきた。小林製薬では2021年からデジタル戦略アドバイザーとしてDX推進委員会をリードし、2023年からは新設の社長直轄CDOユニットを率いた経緯がある。
その後は執行役員として、全社のDX戦略推進に加え、新規事業の準備、経営企画、危機管理体制の再構築にも関与した。
コクヨ側の位置づけは、GWP事業の運営を担う日本統括の副統括本部長に据えつつ、領域拡張共創本部の本部長としてグループ内のサービスを束ねる領域にも踏み込ませる点にある。
石戸氏は就任コメントで、GWP事業がグループ売上高の約4割、営業利益の約7割を占めるとしつつ、祖業の文具を中心に展開するグローバルステーショナリー事業本部、カウネットなどのビジネスサプライ事業、ACTUSを展開するインテリアリテール事業が築いた顧客との信頼やものづくりを土台に、新領域へ挑戦すると述べた。
領域拡張共創本部も兼務
石戸氏は新卒でサイバーエージェントに入社し、子会社2社で取締役を歴任した。
その後、Google Japanでデータ活用を軸に大手広告主企業のデジタルマーケティング支援に携わった。イスラエル発のマーケティングテクノロジー企業デートラマ(現Salesforce)では日本市場参入を主導し、Salesforceによる買収時には日本市場でのPMIをリードしたという。
2020年にはパイオニアにCDOとして参画し、モビリティサービスカンパニーのCMOやCCO(チーフ・カスタマー・オフィサー)を兼務しながら、マーケティング、営業、カスタマーサクセスを横断する改革を推進した。
ベンチャー、外資系テクノロジー企業、歴史ある日本の大手企業と幅広い環境で変革を担ってきた経験を、コクヨのワークプレイス支援やBPOサービスの運営に接続させる構図となる。
中計「Unite for Growth 2027」
コクヨは成長投資と構造改革を並行して進めている。2025年から2027年までの第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」では、事業間シナジーの追求、海外展開の拡大、経営基盤の強化を掲げた。
長期ビジョン「CCC2030」では2030年に売上高5000億円を目標に据え、従来の文具・オフィス家具メーカーの枠を超え、空間デザインや働き方改革支援、生産性向上・組織開発などのソリューション提供に軸足を移す方針を示している。
石戸氏は就任コメントで、創業120周年を機にリブランディングを実施した点に触れたうえで、長期ビジョン「CCC2030」のもとで「WORK & LIFE STYLE Company」への進化を目指すと述べた。
役割はGWP日本統括の副統括本部長、領域拡張共創本部の本部長、コクヨアンドパートナーズの代表取締役社長の兼務であり、グループ内の既存事業への敬意を前提に、資産を領域拡張し最大化させることをミッションに掲げた。
2つのテーマは影響と革新
石戸氏は、自身に課せられたテーマを2点と整理した。1点目は「インパクト」で、事業環境の変化に対応したソリューションパートナーへの転換をリードし、サービス起点のビジネスモデル確立と顧客基盤拡大を推進するとした。
2点目は「イノベーション」で、グループ内に点在する各サービスの強みを掛け合わせ、より包括的なソリューションへ磨き上げ、2027年以降の成長を支える次世代の事業基盤を整える方針を示した。
サービス連携が論点に
背景には、GWP事業がグループの収益構造を支える一方、単独での成長ではなく、文具・サプライ・インテリアリテールなど既存事業が築いた顧客基盤や提供価値との連携が前提になるという事情がある。
B2B実務の観点では、GWP、日本統括、領域拡張共創本部、コクヨアンドパートナーズの各組織がどの範囲を運営し、どの機能を横断連携させるかが注目点となる。今回の役員級人事は、モノの提供に偏らないワークプレイス支援とBPOの接続を軸に、コクヨの企業変革を進める枠組みの一部に位置づく。
