株式会社ワコールホールディングスは、米国子会社を通じて女性用インナーウェアの企画開発とEC中心の販売を手掛けるGlamorise Foundations, Inc.の発行済株式の全てを取得する株式譲渡契約の締結を決めた。取得対象は大きいサイズ領域に強みを持つ。公式な対応として取締役会で決議した。本件は米国事業のD2C/EC運営力の補強につながる。
株式取得は、株式会社ワコールホールディングス(京都)が米国の連結子会社Wacoal International Corp.(ニュージャージー州、WIC)の子会社Wacoal Direct Corp.を通じて実行する。ワコールはGlamorise社が有する商品開発の専門性、デジタルマーケティングの知見、自社EC運営ノウハウをグループ全体で活用し、顧客基盤の拡大とブランド認知向上を加速させる方針だ。大きいサイズ領域の開発力とD2C(卸・小売などを介さず自社ECや直営店で顧客と直接つながる形態)を軸に、海外事業で収益性の高い事業基盤の確立に注力する位置づけとなる。
WIC通じ全株取得
ワコールホールディングスは取締役会で、WICの子会社Wacoal Direct Corp.を通じたGlamorise社の全株取得に向け、株式譲渡契約書の締結を決議した。
Glamorise社は女性用インナーウェアの企画開発を担い、販売はECを中心に展開している。ワコールは本件を通じ、米国での海外事業展開において、大きいサイズ領域での商品開発力の強化と、D2CおよびEC運営能力の拡充を同時に進める考えを示した。
大きいサイズ開発力
Glamorise社は1921年創業で、1955年に法人化した。
サイズインクルーシブ(多様なサイズに対応する)を掲げ、「曲線美の女性」を第一に考えたものづくりを追求してきたという。多様な体型にフィットする商品開発に強みを持ち、ブラジャーはニューヨーク市内のスタジオで経験豊富なデザインチームが設計する。開発では、さまざまなバストサイズの女性に対するフィッティングを重ねながら品質を磨き上げるプロセスを取っている。
製品面では、MagicLift(R)ワイヤレスブラやWonderWire(R)ブラなどの特許技術を活用した商品で高い評価を得ているとする。スポーツブラやブラレット(ノンワイヤーブラの一種)など、サポート力と快適性を両立したアイテムも展開し、大きいサイズを中心に支持を集めてきた。
ワコールはGlamorise社の開発面の専門性を、グループの技術力やブランド力と組み合わせることで、顧客基盤の拡大とブランド認知の向上につなげる方針だ。
売上9割がオンライン
取引規模を示す材料として、ワコールホールディングスはGlamorise社の売上の9割以上がオンライン販売で占められている点を挙げた。WICにとっては、既存の販売網に対してEC比率の高い事業を取り込む形となり、販売チャネルの多様化に貢献すると説明している。
またワコールは、Glamorise社が持つデジタルマーケティングの知見や自社EC運営ノウハウをグループ全体で活用し、D2C基盤の拡充を進める考えを示した。
体型多様化で需求拡大
背景には、インナーマーケットで体型の多様化が進み、大きいサイズへのニーズが「着実に拡大している」とワコールホールディングスが認識している点がある。ワコールは、Glamorise社がこの領域で長年にわたり信頼を築いてきたことを踏まえ、商品開発力とD2C/EC運営力を取り込み、海外事業で成長性と収益性の向上を図る方針を掲げる。
一方で、D2Cは中間業者を介さず顧客と直接つながるため、販売・情報発信・顧客データの取得を自社で担う運用となり、グループ横断での知見移転や運営体制の整合がコストや運用の単位で注目点となる。
経営陣が狙い説明
ワコールホールディングスの矢島昌明社長は、大きいサイズに特化したブランドをグループに迎えることへの期待を示したうえで、オンライン販売比率の高さがWICの販売チャネル多様化にも寄与するとの見方を示した。
WICのミッチェル・カウフマン社長は、株式取得によりEC領域でのポジション強化を図り、成長性と収益性を高める考えに言及した。Glamorise社のジョン・パンディックCEOは、サイズインクルーシブな革新の歴史とワコールの技術力、多様なニーズに応える姿勢が結びつくことを述べ、ワコールグループの一員としての新たな章に期待を示した。
ワコールが米国で大きいサイズとD2C/ECの両面を補強する今回の買収は、海外事業の収益性を重視した事業基盤づくりの流れの中に位置づく。
