KLab株式会社(東京都港区)は、AIを活用した金融商品の自動取引システムを開発している。現在、過去データを用いたバックテストを実施しており、ビットコインのバイ&ホールド戦略を上回る結果が得られているという。今後は段階的に検証を進め、自己資金による実取引を経て事業化を目指す。
このAI自動取引システムは、ニュース、SNS、経済指標など市場の多様な情報をリアルタイムに収集し、相場変動を予測して売買シグナルを出す仕組みである。開発の狙いは、感情に左右されやすい人間の判断を補完し、24時間変動する市場で安定した取引運用を支援することにある。同社はAI研究を重点事業の一つと位置づけており、モバイルゲーム事業で培った技術基盤を応用し、金融領域への展開を進めている。
ベンチマーク2倍超のテスト結果
バックテストでは、ベンチマークとするビットコイン単独保有の運用成果に対し2倍以上のパフォーマンスを記録した。この結果は過去データに基づくものであり、今後の成果を保証するものではないとされる。現在デモトレードの準備段階にあり、セキュリティ対策を整えたうえで自己資金による取引運用へ移行する計画が示されている。
同プロジェクトは2025年度に重点化されたAI事業群の一環として開発が進行しており、2026年に自社資金での実運用を開始し、2027年の事業化を目指す段階的スケジュールを描いている。
KLab、自己運用からサービス化へ
KLabは創業以来モバイルオンラインゲームを中心に事業を展開してきたが、AIエンタテインメントやGPUサーバー関連など、複数の新規領域を推進している。本AIでは、解析対象を仮想通貨・為替・金・株価指数などに広げる構想を示しており、まずは同社の財務戦略「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」との連動を意識したビットコイン向け開発から着手した。対象となる金融商品に応じて応用予測モデルを構築し、展開範囲を拡張する段取りとなっている。
背景には、同社が推進する保有資産の一部をビットコインと金に分散する方針がある。「デュアル・ゴールド・トレジャリー戦略」で得た知見を反映する形で、AIの応用領域を金融取引へ広げたとみられる。
また、AI開発においてはI'mbesideyou社との技術連携実績もあり、マルチモーダルAIを活用した感情解析技術を応用する試みが既に始まっている。これら外部連携を通じて、AI事業全体の開発体制強化を図る動きも確認される。
このAIシステムの開発工程は、①モデル構築、②学習・バックテスト、③デモトレード、④実運用、⑤事業化の5段階構成をとる。現在②を終え、③への移行を控えている段階だ。AIが活用するデータにはチャート情報のほか、経済ニュース、専門家の分析、SNS上の反応が含まれ、これらを同時に処理する仕組みが採用されている。
提供形態は順次拡張する構想である。具体的なサービス国や商品範囲は、今後の規制・法令への対応状況を踏まえて検討する姿勢を示している。
KLabは2027年のサービス提供開始を目標に、AI自動取引システムの精度と安全性の検証を進める計画を打ち出した。金融商品ごとの応用モデルを開発段階で明確に区分し、段階的な実装を進める形をとる。
今回明らかになった開発段階は、同社がAI事業群を整備しつつある過程の一部であり、技術実装から運用フェーズへ移る節目と位置づけられる。