株式会社Kaien(東京都新宿区)は、障害者雇用におけるAIツール(生成AI等)の活用実態や現場での工夫、今後の課題を明らかにするため、「障害者雇用における企業のAI活用状況に関するアンケート」を実施し、調査レポートを公開した。有効回答数は88件で、企業のAI導入状況や、障害者雇用におけるAIの「合理的配慮」としての可能性を集計・分析した。企業側の整備状況と現場の使い方を可視化し、職場の支援設計に影響を与える内容となる。
調査では、回答企業の約80%が業務で生成AIを導入している点を示した。障害者雇用の現場でも「あって当たり前の環境」になりつつあるとし、AIを「合理的配慮」として活用することに70%以上の企業が有効性を認めた。メンタルヘルス管理やコミュニケーションの円滑化など、課題解決に直結している事例が見られたとした。Kaienは、障害者雇用におけるAIツール活用の実態把握を目的にレポートとして整理した。
回答88件で傾向整理
調査結果サマリーでは、障害者雇用の現場におけるAI活用について4つの傾向を示した。導入状況では、AI活用が「特別なこと」から「日常のインフラ」へ移っているとした。採用選考では、約40%の企業がAIスキルを「必須ではないが、使えると評価が高い・採用に有利」と回答した。
一方、障害のある社員へのサポート体制は、約4割が「特になし(個人の工夫に任せている)」と回答した。現場レベルでの具体的なルール作りが今後の課題になると整理した。
回答者属性は、人事が約72%で最多だった。上司は約29%、指導係・メンターは約28%などで、複数回答としている。調査期間は2026年1月16日から2026年2月5日までとした。
現場の声として、障害特性上の課題をテクノロジーでカバーしている具体例も示した。コミュニケーション・文書作成支援では、送信前にAIにメール添削を依頼し「角が立たない表現」に変換させる例を挙げた。上司に何度も質問することに引け目を感じる社員が、まずAIに質問して自己解決を図ることで、精神的な安定と業務スピードの向上を両立させている事例も記載した。
現場は個人依存が残る
業務遂行・マネジメント支援では、「会議の準備をして」といった曖昧な指示をAIに入力し、具体的なToDoリスト(チェックボックス形式)に変換して実行を支援する例を示した。手順書から「次やるべきこと」を回答させることで、着手へのハードルを下げる事例も挙げた。
メンタルヘルス・自己管理では、自身の体調や不安をAIに入力し、客観的な整理やアドバイスをもらうことで、安定就労につなげる例を記載した。悩みを「業務」と「プライベート」に切り分けて整理する事例もあったとした。
調査実施の背景には、民間企業における障害者の法定雇用率が引き上げられる中で、職場への定着や業務の切り出しに課題を感じる企業が少なくない点がある。Kaienは、ChatGPTなどの生成AIツールが企業のAI活用の一環として、障害者雇用の現場でどのような役割を果たしているのかを把握する狙いを示した。
調査結果の整理では、AIを合理的配慮として活用することへの有効性評価が示された一方、サポート体制が個人の工夫に任されている回答も一定数あった点が焦点となる。Kaienは、企業のAI活用状況をアンケートで集計・分析し、調査レポートとして公開した。
