日本サッカー協会(JFA)は5月29日、評議員会後の理事会で宮本恒靖氏の会長再任を承認した。任期は2028年3月末までとなる。副会長や技術委員長など主要幹部の留任も決めた。女子委員長は交代する。体制の継続と入れ替えを併用し、競技と普及、組織運営を同時に進める枠組みとなる。
今回の会長再任・幹部人事では、JFAが運営主体となり、宮本会長が組織全体の方針と成長戦略の実行を担う。副会長陣と山本昌邦技術委員長の続投で意思決定と現場運用の連続性を確保する狙いだ。女子委員長は佐々木則夫氏から今泉守正氏へ交代し、女子領域の推進体制を更新する。宮本会長は6月に控えるFIFAワールドカップ2026を見据え、技術領域の体制を維持しながら進める考えも示した。
宮本JFA会長が2期目
JFAは29日の評議員会で新理事を承認し、直後に開いた新理事による理事会で、会長予定者となっていた宮本恒靖氏を会長に承認した。
宮本氏は2024年4月にJFA会長へ就任しており、1期2年の2期目に入る。任期は2028年3月末までとなる。
宮本氏は1期目に「継承と改革」を掲げた。
2期目は「挑戦と実行」を大テーマに据え、2026年から31年までの成長戦略を示した。5つの柱に「Japan’s Way」「女子全体戦略」「都道府県FA発展戦略」「パートナーシップ戦略」「国際戦略」を置き、3つの梁に「組織・人材戦略」「DX戦略」「サステナビリティ戦略」をあてる。梁で戦略を結んでいく考えを大枠として説明した。ゴールには「競技面での成果」「女子サッカーの拡大」「社会的価値の創出」を掲げた。31年までに2度の男女のワールドカップ本大会が含まれる点も踏まえた戦略だという。
副会長3氏と山本氏続投
幹部人事では岡田武史氏、野々村芳和氏、西原一将氏の副会長が留任となった。山本昌邦技術委員長も続投が決まった。宮本会長は山本氏の続投理由の一つに「前体制から技術委員会の活動を把握している」点を挙げた。
宮本会長は、6月に控えるFIFAワールドカップ2026に向けた対応も念頭に、山本氏が「ナショナルチームダイレクターとしての大事な仕事もある」点に触れ、「軸足を置きながら」副委員長などのサポートも踏まえて進めていくとコメントした。
競技強化の意思決定と実務の接続を切らさない体制運用が、組織としての重点事項になる。
女子委員長は今泉氏に交代
女子委員長は佐々木則夫氏が退任し、今泉守正氏が後任となることが決定した。
宮本会長は交代の経緯について、佐々木氏と「ある程度、長い間話し合い」を重ね、佐々木氏自身が「後継者として今泉さんを考えている」と時間をかけて聞いていたと説明した。結果として「スムーズな交代だった」と述べた。
宮本会長は就任会見で強調されたテーマの一つに「女子サッカーの拡大」を挙げた。AFCアジアカップでのなでしこジャパンの優勝を巡り、国内でもSNSを中心に意見が多く挙がったとしたうえで、「女子の立ち位置が世界で変わってきている」との認識を示した。選手が所属クラブに戻った際の祝福のされ方などを例に挙げ、日本からの発信強化の必要性を強調した。
あわせて「プロモーションにいかにお金を投じるかも大事」「JFAとしての売り上げを女子に積極的に回すことも視野に入れる」と述べ、資源配分の見直しも論点に据えた。
国際戦略と声明で再発防止
宮本会長は「世界での日本のプレゼンスの強化」も重点に掲げる。就任後2年間の活動として、FIFAやAFC、東アジアサッカー連盟の関係者とコミュニケーションを取ることを意識してきたと振り返った。2024年10月にFIFAの競技規則委員会の委員長を拝命したほか、サッカーの競技規則を決める組織であるIFABでも諮問委員を拝命し、その活動に参加しているという。国際的組織で得られる情報が日本のサッカーの発展につながる可能性に触れ、国際の社会での日本のプレゼンスを高めることが日本サッカーの発展につながるとの考えを示した。
さらに「FIFAカウンシルという立場に出ていくこともすごく大事なこと」と述べ、FIFA理事への立候補への意欲も口にした。
一方、日本サッカー界では高校・大学年代でのサッカー部内での問題、Jリーグの指導者によるハラスメント事案、JFA内でも影山雅永前技術委員長がフランスで拘束される事案など、不祥事が続く状況にある。背景には、競技人口や組織の広がりとともに統治・順守の負荷が増している現実があり、運用面では法令順守と安全、評判の各単位で再発防止の徹底が問われる。JFAはコンプライアンスの徹底を改めて強調し、JFA、Jリーグ、WEリーグ、Jリーグ各クラブ、WEリーグ各クラブの連名で「日本サッカー 倫理・コンプライアンスに関する共同声明」も発表した。
宮本会長は「コンプライアンス違反、暴言、暴力であったり、いろいろ事案が発生しているのも事実」と述べ、現状を受け止めて「早急に再発防止に取り組んでいきます」と語った。
2期目の宮本体制は、成長戦略の柱と梁の枠組みを掲げつつ、女子委員長の交代と主要幹部の留任を組み合わせ、国際戦略と倫理・コンプライアンス対応を並行して進める体制づくりに踏み出した。
