神奈川県は、県が推進する「さがみロボット産業特区」において、生活支援ロボットの実用化・普及を目的に実施する実証事業で新たに2件を採択した。採択されたロボットは清掃および搬送用途に活用され、相模原協同病院で導入・検証が行われる予定だ。実証には県の支援金制度も適用される。
県は、ロボット産業の社会実装を後押しするロボット実装促進センターを通じて、安全対策や運用方法の提案、効果検証を行う。導入費用の一部として、企業に対し最大500万円の支援を行う仕組みだ。今回の実証は2025年12月下旬から翌年2月中旬まで順次実施される計画で、生活支援分野へのロボット導入を進める施策の一環となる。
相模原協同病院で実証開始へ
採択対象となったロボットは、株式会社アイティーシム(所在地は県内)が開発した2種で、清掃ロボット「ONE S55」と、搬送ロボット「CarryBot3」「LuckiBot Pro Autodoor」。
これらは医療現場での清掃や物資搬送といった課題解決を目的に導入される。
外部有識者による審査で実装可能性や安全性などが評価され、全8件の応募の中から選定された。
ロボットの実証は、施設側の課題に即した運用シナリオのもと行われる。
県が指定した相模原協同病院が会場となり、利用環境に応じた動作検証を重ねながら、現場運用に向けた改善点を抽出する。
検証結果はロボット開発企業にフィードバックされる仕組みで、医療・介護施設への普及を視野に今後の展開も想定する。
県支援で企業と施設の連携促進
ロボット実装促進センター(受託事業者:TIS株式会社)は、安全面や現場条件に基づく運用提案を担い、導入効果の数値的検証にも関与する。
県は導入費用補助を通じて企業側の初期負担を緩和し、継続的な社会実装を支える方針だ。
応募企業への支援には、ロボット運搬や改良費など実証に関わるコストも含まれる。
また県は、第2期のロボット企業募集を2024年10月から11月に実施しており、県内企業を中心に8件の応募があった。
選定は外部有識者による審査で、施設課題への貢献度と実装の可能性が重視された。
産学官連携枠組みの中で、介護・医療・生活支援分野における技術の社会適用を段階的に進める仕組みが整いつつある。
ロボット産業特区が中心的役割
「さがみロボット産業特区」は、神奈川県が推進している地域振興策の柱の一つであり、生活支援ロボットの実証・普及を通じた安全・安心な地域社会の形成を狙う。
県はこれまでに清掃、搬送、介護支援といったテーマでロボット実証を重ね、運用モデルの確立と企業育成を並行して進めてきた。
相模原市を中心に、県西部や県央地域での展開が徐々に拡大している。
背景には、地域未来投資促進法に基づき国が認定した基本計画の枠組みがある。
同法では、地域特性を生かした産業創出を支援しており、神奈川県は「第2期基本計画」においてロボット関連産業を重点産業の一つに指定。
付加価値の高いものづくり分野と並び、生活支援、介護、災害対応などのロボット利用領域を拡大している。
地域支援制度とも連動
県が地域経済牽引事業として承認するプロジェクトの中でも、ロボット分野は特区施策と結び付きが深い。
特に医療・福祉現場での省力化や安全向上を目的とした技術導入が増えており、補助金や税制優遇など複数の支援措置が利用可能だ。
こうした支援により、企業は開発から実証、量産への移行をより短期間で進めやすくなっている。
県産業労働局によれば、ロボット関連の承認件数は近年増加傾向にあり、特区としての機能が地域産業の成長基盤の一部を担うようになっているという。
これにより、中小製造業やスタートアップが医療・介護現場に参入する機会が広がりつつある。
今後の実証と展開
実証は2025年12月下旬から2026年2月中旬まで段階的に実施される見通しだ。
今後は、今回の検証成果を踏まえ、施設特性に応じたカスタマイズや量産化への検討が進められる見込みだ。
県は今後も同特区を通じ、ロボット関連技術の導入支援とともに、関連産業の定着を促進する方向で取り組みを広げる方針だ。