月桂冠株式会社(京都市伏見区)は、低精白(精米歩合84%)で醸した「純米」(1.8Lパック、900mLパック)を23日から全国で発売する。原料米の表面を16%だけ磨き、米そのもののうまみを生かした「磨きすぎない、うまさ」を追求した商品で、米由来の甘味やコクを前面に打ち出す。
低精白米ならではの濃厚なコクとうまみを特徴とし、米由来の甘味をしっかりと感じられる酒質設計とした。普段の食卓のおかずと相性がよく、料理の味を邪魔しない味わいを狙ったという。提供形態はパック商品で、1.8Lと900mLの2容量を用意し、冷や、常温、燗と幅広い温度帯で楽しめるとしている。
精米歩合84%で全国発売
精米歩合は84%で、原料米の表面を16%だけ磨く設計とした。アルコール分は13度以上14度未満とし、容器は1.8Lパックと900mLパックで展開する。メーカー出荷単位は6本入ダンボール詰めとし、販売地域は全国とする。
日本酒の原料米は、外側の20~30%以上を磨くことが通例とされる。大吟醸酒などでは50%以上磨いた高精白米を使用し、すっきりとしたクリアな味わいに仕上げる一方、低精白米を使用した日本酒は米本来の豊かな味わいを楽しめるのが特徴とされる。低精白米は、米の外側に含まれる成分が複雑で重厚な飲み口を生む反面、好ましくない香味も生じやすい側面がある。
月桂冠の酒類・米加工品の取り組みを振り返ると、スパークリング清酒「うたかたかた」や、酒粕と米こうじを使用した甘酒など、香味設計や飲用場面を意識した商品展開を進めてきた経緯がある。今回の低精白純米は、精米工程の設計と発酵管理を組み合わせ、米の甘味やコクを訴求点に据える商品として投入する。
外部環境では、原料となる米の需給や価格動向が酒類・飲料の設計に影響しやすい局面が続く。うるち精米の量販店頭価格は2026年2月時点で5kgあたり4,131円とされ、原料米価格の高止まりが続いている。こうしたなか、精米歩合を高めに設定し、原料米の外層部まで活用する設計は、酒質とコストの両面を踏まえた選択肢の一つとして業界内で取り上げられている。別の周辺動向として、福島産米の生産量が原発事故以降で過去最高を記録したとされるなど、原料米の供給環境をめぐるニュースも相次いでいる。
発酵管理で香味調整
月桂冠は長年培ってきた醸造技術を用い、丁寧な発酵管理を行うことで米のエキスをしっかり引き出し、うまみを生かすことに成功したとしている。低精白米は好ましくない香味も生じやすいとされるなか、発酵管理によって香味を整え、米の甘味とコクを前面に出す考え方を示した。
供給面では、販売地域を全国とし、パック商品として1.8Lと900mLの2容量を用意する。数量限定や再販の有無、取り扱いチャネルの区分などは示していない。月桂冠は低精白純米を新たな定番商品として打ち出し、精米設計と発酵管理を組み合わせた醸造設計により、米価高騰局面での日本酒の新たな選択肢を提案する。
