住信SBIネット銀行株式会社(東京都港区)は、TOHO HOUSEグループとの提携住宅ローンで、2026年2月適用分の優遇金利を公表した。変動金利は年0.740%、10年固定金利は年2.449%とし、それぞれ基準金利から大幅に引き下げる。上乗せや変更条件を除き、同月27日までの融資実行分に適用となる。
同行は2025年秋にNTTドコモの連結子会社となり、「d NEOBANK」ブランドでサービスを刷新したばかりだ。住宅ローンについても、顧客の返済環境の安定化と市場競争力確保を目的に、金利優遇施策を継続して展開している。
変動・固定とも優遇 返済条件に柔軟性
今回の住宅ローン金利引下げでは、通期引下げプランとして変動金利を基準の年3.275%から年2.535ポイント下げ、年0.740%とした。固定金利10年タイプ(当初引下げプラン)は基準年4.350%から年1.901ポイント引き下げ、実質年2.449%とする。
住宅ローン実行時の金利が適用され、申し込み時から借入実行までの変動に注意する必要がある。審査結果により0.1~0.55%の上乗せとなる場合もある。
また、変動から固定への変更手続きが無料で、繰上返済も1円単位で何度でも手数料なしとする。
期間短縮型と返済額軽減型のいずれにも対応し、借入額3,000万円・期間35年とした試算では、期間短縮型の方が返済総額の抑制効果が大きい。これらの条件は、同行のデジタル完結型住宅ローンとして提供する各提携商品に共通する。
ドコモ子会社化で金融事業の再編進む
住信SBIネット銀行は2007年に三井住友信託銀行とSBIホールディングスの共同出資で設立された。
2025年9月、NTTドコモによる公開買付け(TOB)が成立し、同年10月にドコモの連結子会社となった。同行は新ブランド「d NEOBANK」を掲げ、ドコモの会員基盤を活用した金融サービス連携を拡大している。
ドコモはこれにより銀行業に本格参入した形で、d払い・dカードなど既存の決済プラットフォームと銀行口座を統合。グループ全体で資金移動やポイント経済圏の相互利用を促す体制を構築した。
住信SBIネット銀行側では、こうした利用者層を住宅ローンや資産運用に誘導し、デジタルバンク事業の収益基盤を補強する戦略をとる。
市場環境と制度改正が追い風に
住宅市場では、資材高や省エネ住宅の需要増を背景に住宅価格が上昇し、金利上昇とともに借入負担が重くなっている。
同行は2025年9月に住宅金融支援機構と連携し、借入期間最長50年の「フラット50」を導入するなど、長期返済型への需要に対応してきた。今回の住宅ローン金利引下げも、こうした環境下で柔軟な選択肢を提供する狙いがある。
税制面では2025年改正で子育て・若年夫婦世帯の住宅ローン減税措置が維持され、省エネ基準を満たす住宅が優遇対象となった。
各行では省エネ性能を担保する融資商品を重視しており、住信SBIネット銀行もZEH水準住宅向けの融資拡充を検討している。エコ性能を反映した審査基準の整備が今後の焦点となる。
金融連携によるBaaS展開も拡大
同行はフルバンキングBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)事業で企業連携を拡大しており、2025年後半には中部電力ミライズとの「ビジエネBANK」、吉本興業グループのFANYと「FANY BANK」を開始した。これらは預金・決済機能をパートナー企業のアプリに組み込む形で提供している。
住宅ローンにおいても今後、連携企業経由でのネット申込やdアカウント連携など、利便性を高めた流通チャネル拡大が見込まれる。
金融機能を他業種に提供するBaaSプラットフォームでは、提携先の顧客口座数に応じた手数料収入と利用データの共有が収益モデルとなる。
住信SBIネット銀行は2025年時点で23社と提携し、国内フルバンキングBaaSではトップクラスの規模にある。住宅ローン関連の与信や保証機能を外部提供する動きも強まっている。
金利引下げ策の位置づけと今後の注目点
今回の金利優遇は、同行がドコモ経済圏との融合を進める中で顧客基盤を強化する施策の一環だ。
変動・固定ともに業界平均を下回る水準を提示したことで、他行との競争が再び活発化する可能性がある。同行では、住宅ローン残高拡大とともに資金調達コストを抑える仕組みを継続整備している。
同行側では「d NEOBANK」ブランド化以降も既存顧客に影響はなく、支店コードや口座番号も変更しないとしている。
ドコモの決済データを活かした個別金利設定やポイント付与型ローンなど、新たな商品設計の展開が視野にある。金融業界関係者の間では、通信キャリア連携による住宅金融モデルの成熟度が注目されている。
今回の住宅ローン金利引下げは、ドコモグループ入り後の住信SBIネット銀行が市場再編へ適応を進める過程の一断面と位置づけられる。
