灰孝小野田レミコン株式会社(京都府京都市)、出光興産株式会社、日本コンクリート工業株式会社は、合成炭酸カルシウム「カルカーボ(R)」を配合したコンクリートを用い、滋賀県の姉川と妓王井川で試行工事を行った。カルカーボ配合コンクリートの採用は滋賀県の公共事業で初となる。3社は今後、滋賀県を中心に施工実績を拡大し、本技術の普及を加速させる方針を示しており、河川改修など公共工事の材料選定にCO2削減の選択肢が加わる可能性がある。
カルカーボは、排ガス中のCO2をコンクリートスラッジに固定化した合成炭酸カルシウムで、従来のコンクリートで用いるセメントの一部と置き換えが可能だ。今回の試行では、カルカーボ配合コンクリートが土木建設材料として十分な強度を有することが確認され、河川改修工事で初めて採用された。3社が連携し、カルカーボを配合したコンクリートの社会実装を進める取り組みの一環となる。
カルカーボ約700kg使用
試行工事では、カルカーボの活用により、土木建設材料へのCO2固定化と、コンクリート製品の製造最終段階で余る廃棄物であるコンクリートスラッジの有効活用を図った。セメントの一部をカルカーボに置き換えることでセメント使用量を減らし、セメント製造時に排出されるCO2の削減にも結び付くとされる。姉川・妓王井川の試行工事ではカルカーボを合計約700kg使用し、610kgのCO2削減につながったという。
妓王井川の工事では、国立研究開発法人新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」の委託業務に関連し、灰孝小野田レミコンが研究開発した粗骨材も使用した。同社の研究開発では、この粗骨材について30kg/tのCO2固定化性能をうたう。公共工事の施工段階でCO2固定化材とセメント代替材を同時に扱うことで、材料設計と供給体制を含めた実装上の論点が前面に出た。
3社は2024年に、滋賀県補助金事業(令和6年度滋賀県近未来技術等社会実装推進事業補助金事業および令和7年度滋賀県中小企業新技術開発プロジェクト補助金)に採択されて以降、カルカーボを配合したコンクリートの社会実装に向けた取り組みを続けてきた。出光興産は、2023年7月に「コンクリートスラッジを利用した合成炭酸カルシウム製造によるCO2固定化実証試験」、2024年8月に「コンクリートスラッジを利用し排ガス中のCO2を固定化した合成炭酸カルシウムの土木建設材料への適用試験」が滋賀県補助金事業として採択されたと公表しており、今回の姉川・妓王井川の試行工事は、こうした補助事業と研究開発の延長線上で公共事業の現場に投入した例となる。
外部環境では、コンクリート分野でCO2削減を進める手法として、セメント代替材の活用が複数の事業者で検討されてきた経緯がある。カルカーボは、排ガス由来のCO2をコンクリートスラッジに固定化する点と、セメントの一部置換によりセメント製造由来のCO2排出削減に結び付く点を併せ持ち、低炭素材料の選択肢を具体化するアプローチの一つとなる。公共事業で低炭素材料の試験採用が進むなか、滋賀県の公共事業での初採用は、導入手順や適用判断の蓄積に向けた動きとしても位置付けられる。
3社連携で試行運用
今回の取り組みは、灰孝小野田レミコン、出光興産、日本コンクリート工業の3社が連携し、カルカーボを配合したコンクリートを滋賀県の姉川と妓王井川の河川改修工事で試行したものだ。妓王井川では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業に関連する粗骨材の使用も含まれており、CO2固定化材とセメント代替材を組み合わせた実証となった。
今後は、カルカーボを配合したコンクリートの研究を継続するとともに、一般財団法人日本建築総合試験所(GBRC)など公的機関による材料認証の取得を通じ、施工実績を拡大しながら普及を加速させる方針だ。GBRCは建築構造・材料の試験・評価を担う第三者機関であり、材料認証の取得は、公共工事を含む土木建設材料の適用範囲を広げる際の手続き面で重要になる。
妓王井川で用いた粗骨材は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」の委託業務の成果を現場に適用したもので、国策としてCO2利用コンクリート製造技術を推進する枠組みの下で、研究開発と公共工事の接点をつくる。自治体の補助制度や国の基金事業と、民間の供給・施工の実務を連動させる取り組みの一例といえる。
低炭素材の採用加速
カルカーボ配合コンクリートの試行工事は、CO2削減を「材料の置換」と「CO2固定化」の両輪で扱う設計を公共工事の現場で検証した点に特徴がある。従来のセメント代替材の活用は、セメント使用量の低減を通じて製造段階のCO2排出を抑える狙いが中心になりやすい。一方、カルカーボは排ガス中のCO2をコンクリートスラッジに固定化した合成炭酸カルシウムであり、コンクリートスラッジの有効活用も同時に織り込む。廃棄物由来のカルシウム材を配合した低炭素コンクリートの試験採用が進むなかで、滋賀県の公共事業で初採用となったことは、自治体工事の材料選定における実務的な選択肢を増やす動きと重なる。
業界内では、低炭素化を目的に廃棄物由来のカルシウム材などを用いた配合の検討が進んでいる。こうした動きでは、材料の供給経路と、公共工事で求められる手続き・評価プロセスをどう接続するかが論点になりやすい。今回の3社連携は、排ガスCO2を固定化したカルカーボをセメント代替として扱う点に加え、妓王井川でNEDO事業に関連する粗骨材を併用した点が特徴だ。CO2固定化材の適用を単独で進めるだけでなく、国の基金事業の研究開発成果と組み合わせ、河川改修という用途で試行したことで、研究開発から施工段階までの接続を具体化した。
滋賀県補助金事業への採択が2023年、2024年と継続していることは、自治体の制度を活用した実装プロセスが段階的に積み上がってきたことを示す。企業側は材料そのものの研究継続に加え、GBRCなど公的機関による材料認証の取得を掲げており、公共工事での適用を広げる局面では、第三者機関の評価・認証をどう積み上げ、設計・施工の標準的な手順に落とし込むかが実務上の検討テーマとなる。
試行工事で示された数値では、カルカーボを合計約700kg使用し、610kgのCO2削減につながったとされる。公共工事は案件ごとの規模や仕様が異なるため、単純な横展開ではなく、用途別に適用を組み立てる必要がある。そのなかで、姉川・妓王井川の具体的な工事で土木建設材料として十分な強度が確認されたことは、材料採用の判断に関わる実務情報を補うものだ。
さらに、NEDOグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」はCO2利用コンクリート製造技術を推進する枠組みであり、今回のように委託業務に関連する材料が公共工事で使われると、研究開発投資と実装先の接続が可視化されやすくなる。自治体の補助制度、国の基金事業、民間3社の供給・施工連携が同時に走る構図は、低炭素材料の社会実装でしばしば課題となる「研究開発と調達・施工の段差」を小さくする取り組みの一つといえる。
一方で、業界ではセメント代替材の活用が広がる局面にあり、材料の種類や固定化手法の違いが調達・製造プロセスの組み方に影響しやすい。カルカーボはコンクリートスラッジを起点に排ガス中のCO2を固定化する手法で、廃棄物の取り扱いとCO2削減を一体で設計する方向性を示した。公共工事での採用実績が増えるほど、自治体側の設計・積算・仕様書運用の論点と結びつきやすくなり、河川改修に限らず土木分野の材料選定の議論へ波及する余地が生まれる。
