ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社(東京都港区)は3月26日、新社長就任(マウリシオ・ララ)と設立25周年を受け、日本市場でスモークレス製品の拡大に向けた取り組みを加速すると発表した。オーラルたばこ「VELO(ベロ)」を重点領域に位置づけ、体験機会の提供や販路の拡大などを進める。製品の選択肢を広げる動きは、喫煙環境が変化する中での利用場面の分散にもつながる。
BATジャパンは、煙や臭い、灰が出ないスモークレス製品のうち、歯茎と頬の間に挟んで使うオーラルたばこを成長領域とみる。デバイスや充電が不要でハンズフリーで使える点を踏まえ、国内で高まる需要を取り込む考えだ。加熱式たばこ「glo™」に加え、VELOの提供を拡大し、日本の喫煙者に多様で使いやすい選択肢を提示する取り組みの一環と位置づける。
VELO体験100万回を計画
BATジャパンは2026年に、喫煙者がVELOを体験できる機会を100万回以上提供する計画を掲げた。
あわせて販路をさらに拡大し、日本の嗜好に合わせたフレーバーの強化も進める。オーラルたばこは望まない受動喫煙を生じさせない特性を持つとし、場所や時間を選ばず使用しやすい点も訴求軸に据える。
文化連携も強める。
キャンペーンコンセプトに「その瞬間をREMIX(リミックス)」を掲げ、日本の音楽・アート・ゲームなど多様な文化と連携し、VELOの新しい楽しみ方を提案する取り組みを順次展開する。2026年は第1弾として、4月末に開催する没入型イベントを皮切りに、日常のさまざまな瞬間で使用特性や使用シーンを体験できる機会を広げるとしている。
スモークレス比率50%超の市場
BATグループは、2035年までに収益の大半をスモークレス事業とする方針を掲げる。
BATジャパンは、スモークレス事業の構成比が収益の50%超に達する先行市場であるという。国内で高まるスモークレス需要を取り込むことで、グループ全体の成長を牽引する考えを示した。
市場データでは、世界のオーラルたばこはたばこ市場の中で最も急成長しているカテゴリーとされ、2025〜2030年の利用者数は複合年間平均6〜15%の成長が見込まれるという。
オーラルたばこ発祥の地とされるスウェーデンでは、使用率が紙巻たばこ喫煙率の約3倍に達し、喫煙関連疾患の死亡率がEU内で最も低い水準にあるとの指摘もある。
国内使用者、2025年に約90万人
日本でもオーラルたばこ市場は拡大している。BATジャパンの推計では、使用者数は2022年の約30万人から2025年には約90万人に増えた。2030年には400〜500万人規模に成長する可能性があるとも見ている。
BATジャパンはこうした市場ポテンシャルを前提に、体験機会の拡大と販路・フレーバー展開の強化で、VELO事業を次の成長段階に移すとしている。
ブランド面では、VELOはグローバルでオーラルたばこブランドのシェア首位とし、スウェーデン発として約50市場に展開を広げてきた。
日本では2020年の発売以来、年間販売量がほぼ毎年倍増しているという。全国的な販路と国内最多のフレーバー数を持ち、日本人に合わせてミニサイズのパウチも展開している。
喫煙環境の変化が追い風に
国内では2020年の健康増進法改正を契機に喫煙環境の減少が進んだ。
職場では、たばこ休憩やにおいをめぐる喫煙者と非喫煙者の摩擦が高まるなど、社会的・環境的な変化が進んでいる。背景には、煙や臭い、灰を伴わない使用形態への関心が強まっていることがある。BATジャパンは、いつでもどこでも使える「利便性(Convenience)」、周囲にも自分にも「配慮(Consideration)」できる使用特性、手に取りやすい価格による「切り替えやすさ(Conversion)」という3つの消費者ニーズ(3C)が、カテゴリーの成長を後押ししていると説明する。
新体制について、BATジャパン社長のマウリシオ・ララは、設立25周年と新体制の発足を受け「次の成長局面に入った」と述べた。
その上で、加熱式たばこglo™に加えてオーラルたばこVELOの提供をさらに拡大し、多様で使いやすい選択肢の提供につなげる考えを示した。今後は、体験機会の実施の広がりと、販路拡大やフレーバー強化の進め方が注目点となる。
