ARアドバンストテクノロジ株式会社(東京都渋谷区)は1日、「2026年度ARIグループ入社式」を東京ウィメンズプラザで実施し、グループ会社を含む新卒55名を迎えた。昨年度の新卒採用実績は46名で、今回が過去最多となった。新卒入社3年後の継続就業率88%(当社実績)も掲げ、人材確保と育成の取り組みを開発・運用体制の強化につなげる姿勢を明確にした。
入社式には新入社員55名(グループ会社含む)と、代表取締役社長ほか役員・社員が出席した。代表取締役社長の武内寿憲は、AIをはじめとする技術革新が急速に進む環境を踏まえ、常に学び続けながら新しい価値を生み出す姿勢の重要性を強調。社員一人ひとりの挑戦を尊重し成長を後押しする環境づくりに取り組む考えを示し、新入社員にはBX(ビジネストランスフォーメーション)の担い手として専門性を高めるよう求めた。
新卒55名の受け入れ
ARアドバンストテクノロジは、クラウド技術とデータ・AI活用による「DXソリューション事業」を中核に、2025年8月期は売上高、利益ともに過去最高を更新した。事業拡大局面で新卒採用規模を昨年度の46名から55名へと増やし、人員基盤の強化を進める。
人材面では、社員数586名、グループ社員計782名(2025年11月末現在)としている。新卒入社3年後の継続就業率は88%(当社実績)を掲げ、「採用・育成・定着」を一体で進める考え方を前面に出した。採用人数の拡大を通じて、案件推進に必要なスキル獲得と配置を中長期で組み立て、人員増と定着の両立を経営指標と結びつける構えだ。
入社後の初期研修に加え、配属後も上司や先輩社員による段階的なフォローや定期的な1on1を実施し、職場への適応と早期の戦力化を支援する。オンボーディングやメンター制度も組み合わせ、「人が育つ組織づくり」を標榜する。
社内制度としては、会社が推奨する資格に合格した場合に取得費用を支給する資格取得支援制度、社内懇親会等にかかる費用を補助しオンライン実施も対象とするコミュニケーション費支給制度、連続して有給休暇を取得した場合に手当を支給する孝行休暇手当支給制度を整備した。AIをはじめとする技術革新が急速に進む中で、スキル形成と働きやすい環境整備の両面から人材戦略を進める。
55名の新卒受け入れはグループを含む枠組みで行われる。2025年11月末時点のグループ社員計782名に対し、新卒55名は単年度で一定の厚みを持つ増員となり、教育・配属の設計が運用能力に直結しやすい段階に入った。入社式を外部施設で行い、代表取締役社長ほか役員・社員が出席する形をとったことからも、採用拡大と同時にグループ横断の受け入れ体制を整える狙いがうかがえる。
育成の運用設計が焦点
ARアドバンストテクノロジはDXソリューション事業を軸にクラウド技術とデータ・AI活用分野で事業を拡大してきた流れの中で、新卒採用の規模を段階的に引き上げている。採用規模の拡大に合わせ、入社後の初期研修、オンボーディングとメンター制度、配属後の段階的フォロー、定期的な1on1といった育成プロセスを組み合わせ、「採用・育成・定着」を一体で進める運用像を打ち出した。
背景には、人材の獲得と定着が同時に問われる外部環境がある。厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果」では、全産業平均の大卒3年後定着率が68%とされ、新卒3年後離職率は32.0%(大卒男性28.9%、女性35.4%)となった。ARアドバンストテクノロジが掲げる新卒入社3年後の継続就業率88%(当社実績)は、人材の育成と定着を経営テーマとして位置づけていることを示す指標となる。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2025年にITエンジニア不足が61万人に達する予測が示され、人材獲得競争の厳しさが続くとの見通しだ。内閣府も働き方改革関連施策の推進状況の中でテレワークや有給取得促進などの流れを示しており、企業側の制度整備が採用・定着の実務と結びつきやすい局面にある。
育成・定着の運用では、オンボーディングとメンター制度、配属後の段階的フォロー、定期的な1on1の実施を柱に据える。ここに資格取得支援制度、コミュニケーション費支給制度、孝行休暇手当支給制度を組み合わせ、学習機会の確保と組織内の関係構築、休暇取得の促進を図る。武内寿憲が入社式で掲げた「常に学び続けながら新しい価値を生み出す姿勢」は、クラウドやデータ・AIを扱う業務の更新スピードと、個々の専門性形成を接続するメッセージといえる。
新卒55名の受け入れがグループ会社を含む点は、育成・配置の運用設計でも影響が大きい。採用数が増える局面では、研修から配属後のフォローへと移るタイミングでメンター制度や1on1の運用負荷が高まりやすい。制度の名称や枠組みにとどまらず、配属先ごとの人員構成やプロジェクト体制に沿ってメンターや管理職層の役割を再設計し、現場レベルでの運用をどこまで均質化できるかが焦点となる。
同業のIT・DX支援各社でも、資格支援やメンター制度、社内交流費の補助などを組み合わせて新卒の立ち上がりを支える例が増えている。採用市場では、応募者側が口コミや選考情報の共有を通じて企業文化や育成の実態を見極める動きが強まり、制度の有無だけでなく運用の継続性や現場での浸透度合いが比較材料になりつつある。ARアドバンストテクノロジが掲げる「採用・育成・定着」の一体運用は、拡大する採用規模を前提に、教育投資と就業継続を連動させて管理しようとする人材戦略と位置づけられる。
IT人材不足61万人
経済産業省の需給推計で示された2025年のITエンジニア不足61万人は、SI、クラウド移行、データ利活用の需要が複線化する中で、開発と運用の双方を担える人材の確保がボトルネックになりやすい状況を映す。ARアドバンストテクノロジがDXソリューション事業を中核に据える以上、案件の獲得だけでなく、立ち上げから運用に至る工程を支える人的リソースが事業継続に直結しやすい。新卒採用拡大と育成・定着を同時に扱う枠組みを明確にしたことは、中長期的には外部からの中途採用だけに依存しない人材供給体制へのシフトとも重なる。
離職率の統計と照らすと、採用数の拡大は入社後の定着設計と切り離しにくい。厚生労働省統計で全産業平均の大卒3年後定着率が68%にとどまる中、企業側が定着率を数値で示すこと自体が、採用市場における情報開示の一部となっている。ARアドバンストテクノロジは継続就業率88%(当社実績)を掲げ、オンボーディングやメンター制度、1on1を運用の軸に据えたうえで、資格取得支援制度を組み合わせることでスキル形成の道筋を制度面から示す。
コミュニケーション費支給制度でオンライン実施も対象とした点は、分散した拠点やチームで働く場合の関係構築を制度的に支える。内閣府が働き方改革関連施策の中で掲げるテレワークや有給取得促進の流れとも重なり、企業が就業環境の整備を通じて採用力と定着率の向上を図る余地が広がっている。孝行休暇手当支給制度は、連続有給取得を仕組みとして組み込み、休暇取得と就業継続を同じ運用線上で扱う姿勢を示す制度といえる。
IT業界では、新卒の早期離職を課題と捉え、メンター制度や資格支援、社内交流の増加といった施策を組み合わせる動きが広がる。応募者側でも、選考レポートや社員口コミの共有が進み、入社後の学習機会やコミュニケーションの実態が重視されている。こうした情報環境の変化は、採用広報の表現よりも、制度運用が現場に根付いているかどうかが外部から把握されやすくなる構造を意味する。
新卒55名の受け入れは、人数の増加と同時に、メンターや上司層の育成負担、1on1の実施頻度、配属後フォローの段階設計といった「運用の設計図」を具体化することを求める。ARアドバンストテクノロジは入社式でBXの担い手として専門性を高めるよう促し、学び続ける姿勢を重視する考えを示した。人材不足が続く市場で、採用拡大と育成・定着の一体運用を掲げた今回の動きは、事業拡大局面における人材戦略の軸足を社内運用に置く方向性を打ち出すものとなっている。
