一般社団法人日本民営鉄道協会(東京都千代田区、会長 杉山健博)は、2026年1月以降、訪日外国人の受け入れ環境整備の一環として、日本の鉄道利用マナーを紹介する啓発動画を全日本空輸の運航便および関西国際空港、成田国際空港で放映する。機内や空港を通じ、インバウンドの円滑な利用促進を図る狙いだ。
取り組みの背景には、民鉄業界でインバウンド需要の再びの拡大を意識した動きがある。コロナ禍の影響で落ち込んだ鉄道需要が回復しつつある一方で、訪日外国人の利用マナーに関する戸惑いやトラブルが各地で課題となっていたことがある。協会は、鉄道利用マナーの周知を進めることで、外国人と日本人双方が快適に利用できる環境づくりを進める方針を示した。
ANA機内や関空・成田で放映開始
英語版の啓発動画「Do’s & Don’ts」では、整列乗車や大きな荷物の扱い方など、日本の鉄道における基本マナーが実写とアニメーションで紹介される。全日本空輸の国際線および一部国内線機内メディアでは2026年1日から、関西国際空港第1ターミナルの案内センター前では6日から、成田国際空港では2月以降の放映が予定されている。動画はすでに民鉄各社でも使用実績があり、航空会社や空港会社の協力により新たな場で展開される形となる。
この取り組みは、協会が制作した動画の活用を拡大したもので、観光分野への波及を意識した動きでもある。掲載媒体が拡大することで、日本の公共交通を利用する外国人への情報提供が強化される見通しだ。
民鉄協、継続的にマナー啓発を実施
日本民営鉄道協会は、加盟72社の鉄道事業者で構成される業界団体で、駅構内や列車内でのマナー向上を目的とした啓発活動を長年行っている。2025年秋には「迷惑って、かけてる時は気づかない」をテーマにしたポスターを全国の駅構内約2000枚、車内約2万4000枚に掲出した。このポスターでは、アンケート調査「駅と電車内のマナーアンケート」の結果を反映し、騒音や混雑時の立ち居振る舞いなどの場面をイラストで訴求していた。
同アンケートは2001年以降毎年実施されており、2025年度も10月1日から11月30日までウェブ形式で実施された。調査結果は「迷惑行為ランキング」として発表され、駅や電車内での行動変化を踏まえた意識啓発に活用されてきた。
背景には、政府が掲げる観光立国政策のもとで、民営鉄道が観光促進やインバウンド受け入れに関与する重要性が高まっていることがある。協会は観光施策に寄与する取り組みを定款に明記し、オーバーツーリズムやマナー周知の課題を業界横断的に扱っている。
今回の動画放映は、その一連の活動の延長線上に位置づけられる。外国人利用者に対する案内強化が進む中、加盟各社と航空・空港事業者が連携する取り組みとして注目される。
動画の放映は段階的に展開される予定で、協会は協力企業との調整を進めながら、観光動線上での情報発信を拡充していく方針を示している。