AIテックカンパニーの株式会社ZENKIGEN(東京都港区)は、組織人事コンサルティングを手がける株式会社リンクアンドモチベーション(東京都中央区)と資本業務提携した。採用段階から入社後の組織改善までを一体でデジタル化し、人間の意思決定を高度に支援する新たな人的資本マネジメントの構築を目指す。
労働人口の減少により2030年には約644万人が不足するとされる中、生産性向上と人的資本経営の実現が課題となっている。ZENKIGENは独自のAIモデルや生成AIを活用した採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」を提供し、公平な選考支援を行ってきた。一方、リンクアンドモチベーションは「モチベーションクラウド」などを展開し、組織変革をデータ面から支援しており、両社が持つデータとノウハウの統合を進める狙いがある。
人的資本経営領域で連携強化へ
ZENKIGENは2017年設立。採用支援から人材開発までの領域でAIによるデータ分析を行い、国内企業1000社以上の採用プロセスで利用されている。保有動画データは約1500万件(2025年5月時点)に上る。リンクアンドモチベーションは2000年創業で、東証プライムに上場。コンサルティング事業とクラウド事業をあわせ持ち、「モチベーションクラウド」は従業員エンゲージメント市場で9年連続首位とされる。
リンクアンドモチベーションは、2026年4月に採用支援の新クラウドサービス「モチベーションクラウド エントリーマネジメント」をリリースする予定で、ZENKIGENの「harutaka」との連携を進める。両社は採用活動における質・量双方の向上を支援し、共同開発や拡販も視野に入れる方向を示している。
本提携は、両社それぞれが強みとするAI技術と組織人事データを組み合わせ、人的資本経営の実務支援領域を広げる動きの一環だ。ZENKIGENの代表取締役CEO野澤比日樹氏は、理念面での共鳴に触れ「お互いの強みを補完し合う関係を築ける」と述べている。
採用と組織開発を一体化した運用体制
販売およびサービス提供は両社で共同推進する方針が示されている。供給形態は常設型のクラウド提供であり、数量や期間の限定はされていない。また、今回の資本業務提携が単発か継続関係かの明記はなく、共同開発を含む連携強化の方向性を示すにとどまっている。
設立当初からZENKIGENは神戸大学との共同研究など外部連携を積極的に進めており、今回の動きもパートナー企業との実証・研究型の関係を前提とした体制の延長線上にある。
両社による人的資本DXの取り組みは、採用・組織データの分断解消を狙う枠組みとして位置づけられている。ZENKIGENにとって今回の資本業務提携は、AI技術を軸とした人事支援事業を拡張し、人的資本DX領域における他社連携を具体化する動きになっている。