医療データ利活用インフラを手がける株式会社Yuimedi(東京都中央区)は、製薬企業向けに電子カルテを含むリアルワールドデータ(RWD)活用サービス「YuiData」で、データ提供協力病院数が約30施設に到達したと明らかにした。国立大学附属病院や市立病院・地域中核病院が参画し、多様な実臨床データの提供を通じて、製薬企業の分析や意思決定に用いるデータ選択肢が広がる。
YuiDataは、電子カルテデータを中心としたRWDを活用するためにYuimediが開発したスキームを用い、製薬企業や医療関係者にとって価値ある形でデータを提供する取り組みだ。施設数の増加に伴い、製薬企業側は必要なデータ項目と医療機関を選択し、現場に即した分析や意思決定にデータを活用できるようになるとしている。参画病院には千葉大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院、岡山大学病院、徳島大学病院、琉球大学病院などが含まれる。
協力病院は約30施設
Yuimediによると、YuiDataのデータ提供協力病院は名鉄病院、済生会今治病院、下関市立市民病院、田主丸中央病院などを含め約30施設に達し、さらに約20施設が参画を表明している。協力病院の拡大により、疾患領域や診療現場ごとの違いを含む実臨床データを、製薬企業が検討しやすい形で扱える範囲が広がる。
Yuimediは2020年11月に創業し、医療データへのアクセスに関するインフラ構築を事業の柱に据える。医療機関と製薬企業の双方にとって扱いやすい形でRWDを提供する点をYuiDataの軸に置き、国内の提携医療機関の電子カルテデータを活用したサービスとして展開してきた。社内の取り組みとしては、病院の電子カルテDBから生成AIを用いて情報抽出するSaaSプロダクト「YuiQuery」の開発・提供も進めており、医療データ利活用を複数の事業で推進している。
総額4億円で体制増強
医療データ利活用を巡っては、医療の高度化や持続可能性への関心の高まりを背景に、利活用に対する社会的要請が急速に強まっている。電子カルテなど日常診療で取得されるRWDには、より適切な治療の提供や医薬品開発への活用に加え、医療の質向上や医療費削減への貢献といった観点から大きな活用余地があるとされる。Yuimediも、欧米諸国では日本に先行して電子カルテデータの活用が進む一方、日本ではRWDはレセプトデータが中心で、医療現場に蓄積される電子カルテデータは十分に活用されていないという課題認識を示す。
運用面では、YuiDataが電子カルテデータを中心としたRWDを活用する新たなスキームを構築し、製薬企業や医療関係者向けにデータを提供している。参画病院には国立大学附属病院や市立病院・地域中核病院が含まれ、医療機関側の協力のもとで多施設の実臨床データを取り扱う体制を整えている。協力病院については一部施設名を公表する一方、医療機関への個別の問い合わせは控えるよう求めており、医療機関との関係性を踏まえた運用ルールも設けている。
継続性の面では、Yuimediが2月にDG Daiwa Ventures、三井住友信託銀行、HearstLab、SMBCベンチャーキャピタルなどを引受先とする総額4億円の資金調達を完了した。調達資金をもとにYuiData事業の事業開発人材を拡充し、協力病院数の継続的な拡大と製薬企業への提案力の向上を図る。医療データ標準化・活用では、リアルワールドデータを世界標準規格OMOP CDMへ変換する取り組みも進めており、国内外でのデータ整備と国際的な相互運用性を意識した対応を強めている。
協力病院の拡大により、製薬企業がYuiDataで必要なデータ項目と医療機関を選択し、現場に即した分析や意思決定に活用する流れが具体化してきた。参画する医療機関の範囲や、医療機関への個別問い合わせを控える運用方針は、データ取得・連携時の実務設計にも影響しうるとみられる。Yuimediは2月の資金調達完了を受けて体制拡充を進め、医療データ利活用の基盤整備を加速させる構えだ。
