株式会社山善(大阪市)は2月12日、2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算を公表した。売上高は3984億円で前年同期比4.1%増、営業利益は84億円で同40.2%増、経常利益は92億円で同42.4%増、純利益は66億円で同16.6%増となり、増収増益を達成した。国内外での設備投資需要や住宅設備販売が堅調に推移した。
主力の生産財関連事業における自動化・省力化ニーズの高まりや、住宅設備機器の更新需要の継続が寄与した。子会社の追加取得も進めており、製造・供給ネットワークの拡充を図る狙いだ。
生産財・消費財とも堅調 営業利益40%増
山善の事業は生産財と消費財から構成される。生産財関連では、自動化や労働環境改善を目的とした設備需要の強まりを背景に、工作機械・小型機器の販売が好調だった。販売現場では地域展示会や補助金を活用した提案営業を強化し、製造現場の省力化や自動化ソリューションに注力した。結果として、生産財関連の売上高は2512億円と前年同期比3.7%増となった。
消費財関連では、住宅向け空調設備や給湯機器など省エネ関連商材の販売が伸び、住建事業の売上高は641億円で10.3%増と2桁成長した。物価上昇で消費は伸び悩んだが、家庭機器事業でもプライベートブランド商品やチューナーレススマートテレビが堅調で、売上高は799億円で1.1%増となった。各事業が安定成長し、営業利益全体は前年を大きく上回った。
資産3,196億円に拡大 短期借入金が増加
第3四半期末の総資産は3196億円と前期末比273億円増加した。現金・預金および投資有価証券の増加が主因で、株価上昇による含み益拡大も貢献した。負債は1853億円で前年から209億円増え、主に短期借入金が2,001億円増加した結果、自己資本比率は43.3%から41.5%にやや低下した。純資産は6%増の1342億円となり、利益剰余金と有価証券評価差額金の増加が寄与した。
同社は2026年3月期通期の業績予想を据え置いており、売上高5300億円、営業利益100億円を見込む。業績見通しを変更しない理由として、設備投資需要や省エネ関連需要の動向を注視しながら、安定成長を維持できると判断したと説明している。
東南アジアで子会社化を推進 生産支援強化へ
山善は今後の海外展開に向け、東南アジアでの事業基盤を強化する。2月6日にはマレーシアのCK Mac Global Sdn. Bhd.を傘下に持つ株式会社AtoG1の全株式を取得し、完全子会社化することを決定した。2月19日に株式を取得完了予定で、これによりCK Mac Globalが山善の孫会社となる。同じくインドネシア拠点PT.Somagede Indonesiaの株式取得についても基本合意し、3月末までの完了を目指す。取引網と販売チャネルの現地密着化を目的とし、東南アジアにおける製造現場支援体制を整備する。
これらの動きは、生産財分野で拡大する現地製造需要と供給体制を補完する狙いがある。
関係者の間では、現地子会社化を進めることで輸送や関税リスクの軽減、購買ネットワークの強化などの波及効果が見込めるとの声がある。
省エネ・自動化投資が業績を牽引
同社の業績を支える要因には、省エネ・自動化関連設備の国内需要拡大がある。人手不足を背景にしたロボット導入、エネルギー高の持続による省エネ機器更新が進み、山善の提案型営業が奏功した。
また住宅設備業界においては、新築着工数が減少傾向にある一方、改修・更新需要が底堅く、同社が扱う空調機器や給湯機器の販売が堅調だったことも寄与した。こうした需要構造の変化が、事業全体の安定収益に結びついている。
国内の消費環境では所得改善が続いているものの、物価上昇が消費者心理に影響しており、家庭機器事業にとっては正確な需要見通しと在庫運用が課題になる。業界では在庫圧縮の流れが進んでおり、同社も電子取引の拡充など効率化を進めている。
堅実な財務体制で通期見通し据え置き
山善は財務基盤の安定を保ちながら、持続的な利益成長を目指す。期末自己資本比率の低下は短期借入金増加によるが、設備投資やM&A資金の確保を目的としたもので、財務上の懸念は限定的とみられる。
配当予想は年間52円で据え置かれ、株主還元策も維持方針だ。業績予想の修正は行っておらず、需要動向の変動に備えた柔軟な資金運用を続ける構えを示した。
今回の決算は、生産財と消費財の両輪による収益体制が強まった時期の節目と位置づけられる。
今後はアジア地域での連結子会社化を通じて、製造・販売の一体運営を深化させる取り組みが焦点となる。