ヤブシタホールディングス株式会社(北海道札幌市中央区)は、電気刺激治療器や超音波治療器などを開発・製造する日本メディックス株式会社(千葉県柏市)をグループ傘下に迎えた。医療機器事業への本格参入を図り、日本メディックスの技術を基盤に次世代機器やロボット分野の開発にも取り組む方針だ。
ヤブシタホールディングスは、日本メディックスの人体への電気刺激技術やリハビリ機器の知見を取り込み、医療・リハビリに加えて介護やスポーツコンディショニング、フェムテック、美容などへの応用展開を進める。ものづくりを担うヤブシタグループの製造基盤やエンジニアリング力と組み合わせ、機能回復や身体サポートに関わる機器開発の領域を広げる狙いだ。
ヤブシタHD、17社体制
ヤブシタホールディングスはグループ17社を擁し、空調冷熱部材メーカーを中核に事業を展開してきた。設計・製造・施工・メンテナンスまでを一体で担う事業モデルを構築し、エネルギー、防災、防音など社会インフラ領域へも事業を拡大している。創業から約60年にわたり空調・冷熱部材で高いシェアを確保し、太陽光架台や照明部材の設計・製造・販売も手掛けるなど、設備工事と設計・解析技術を組み合わせた総合的なものづくり体制が特徴だ。
傘下に入った日本メディックスは1970年代の創業で、50年以上にわたり物理療法機器を開発・製造してきた。整形外科やリハビリ施設、接骨院など全国の医療機関で導入実績を重ね、疼痛治療や機能回復支援の分野で技術とノウハウを蓄積してきた。グループ化により、医療機器専業メーカーの専門技術と、北海道発の製造グループの実装力・量産力を掛け合わせる。
人事面では、日本メディックスの代表取締役社長に津瀬保彦氏(65)が就任した。津瀬氏は大手電機メーカー出身で、製作所や事業部で営業から技術まで幅広い分野を経験してきた経歴を持つ。医療機器の開発・製造と、グループ側のエンジニアリングや製造体制を接続する体制づくりを担う役割を負うとみられる。
事業領域では、ヤブシタホールディングスが医療・リハビリにとどまらず、介護やスポーツコンディショニング、フェムテック、美容といった周辺領域への応用展開をあらためて打ち出した点が焦点となる。日本メディックスが強みとする電気刺激技術やリハビリ機器の知見を起点に、機能回復や身体サポートに関わる次世代機器やロボット分野の開発に踏み込む。
外部環境では、医療・医薬分野で企業による追加申請や製品供給の再開予定などの動きが相次ぎ、製品や技術の更新、運用を支える情報流通が活発になっている。医療機器や技術、材料のビジネス情報を継続的に扱う業界媒体が行政動向や企業の取り組みを定期的に伝えており、制度や医療現場の変化を踏まえた製品開発や実装が企業にとっての重要なテーマとなっている。こうしたなか、空調・設備など異業種の製造企業が医療機器分野への進出や連携を打ち出すケースも出ており、医療・健康分野を新たな成長市場と位置づける動きが広がりつつある。
新雪連携で開発加速
開発面では、ヤブシタホールディングスが海外との技術連携を視野に入れるとともに、北海道の若手ITクリエイター集団である一般社団法人 新雪とも連携する方針を示した。医療機器で培った技術とIT・ソフトウェアを融合し、ヤブシタグループの製造基盤と組み合わせることで、医療技術の活用領域を広げる考えだ。取り組みの対象には介護支援ロボットなど次世代分野が挙がっており、スタートアップ的な開発力と既存の製造・販売網を結びつける構図となる。
役割分担では、日本メディックスが電気刺激治療器や超音波治療器など物理療法機器の開発・製造で蓄積してきた技術や知見を基盤に据え、ヤブシタグループが全国規模の製造基盤を活用する。新雪との連携を通じてIT・ソフトウェアとの融合を進め、医療機器に関わるハード・ソフト両面の技術要素を複数主体で組み合わせる体制を整える。海外との技術連携も視野に入れ、国際的な技術動向を取り込んだ製品開発につなげる構えだ。
供給条件や具体的な製品ラインアップはこれから詰めるが、まずはグループ化を通じた医療機器分野への参入を本格化させ、応用領域の拡大と次世代機器・ロボット分野への展開を進める。運用面では、医療機関での導入実績を持つ日本メディックスの販売・保守ネットワークと、ヤブシタグループの設計・製造・施工・メンテナンス一体型の事業モデルを組み合わせる構図となる。開発では、新雪との協業や海外連携を織り込んだ体制を構築し、医療・健康分野における新たな成長事業の確立を目指す。
