企業向け宅配弁当・社食サービス「社食DELI」を展開するワオ株式会社(東京都渋谷区)は、東急株式会社における同サービスの導入事例インタビューを公開した。東急の本社周辺の執務環境と働き方の変化を踏まえ、昼食の調達環境を整える取り組みを取り上げている。移転を機に、福利厚生の使われ方を見直す狙いも示した。
東急は本社を含め近隣に3つのビルを構える一方、設備面の理由から社員食堂の設置が難しい環境にあった。ワオが運営する「社食DELI」は、事前予約を不要とし、販売場所でその場ですぐに弁当を購入できる点などを特徴に掲げる。東急では移転を機に、一部の社員に限らない「みんなが使える」福利厚生への転換を図った。
毎日30種超を提供
「社食DELI」は、オフィスの空きスペースを活用し、販売スタッフによる対面販売で日替わりの弁当を提供する福利厚生サービスとされる。毎日30種類以上の和洋中や期間限定を含む多彩なメニューをそろえるほか、販売スタッフが発注・販売・撤収までを一括で担う運営形態を特徴としている。東急では、販売場所に行けばその場で弁当が買える導線を社内に組み込み、昼食の調達手段をオフィス内に確保した。
導入の前提となったのは、働き方の変化だ。東急では近年、フレックスタイム制やテレワークが定着し、全員が同じ時間に昼休みを取る機会が減少した。忙しい時に昼食を抜く、時間がなくカップ麺やパンなどの軽い食事で済ませる社員が増加し、手軽に健康的な昼食を調達できる環境整備が急務になっていたとする。ワオは、事前予約が不要で「すぐに買える」利便性や「健康に配慮したメニュー」の豊富さ、会社補助(福利厚生)への柔軟な対応を選定理由に挙げる。福利厚生費を活用し、社員が弁当を購入できる仕組みづくりに対応しやすい点も評価された。
規模感の面では、日替わりで30種類以上のメニューを用意する点が運用の軸となる。販売スタッフが常駐し、対面販売で弁当を展開する方式で、発注から撤収までを同じスタッフが担う設計だ。東急のように本社周辺に複数のビルがあり、設備面の制約から社員食堂を設けにくいケースでは、オフィス内の空きスペースを使って昼食の選択肢を確保する運用モデルとなる。
ワオは2003年の設立以来、オフィス向けの食事支援サービスを主力に展開し、「社食DELI」のほか「お弁当デリ」「屋台DELI」「はこぶケータリング」などを運営してきた。東急の事例では、本社を含む近隣の執務環境と働き方の変化に対応し、社員がオフィス内で多様な弁当を選択できるようにすることで、昼食の調達環境と福利厚生の両面を強化したと整理している。東急は不動産賃貸・販売業を主とし、本社所在地の設備制約から従来は社員食堂の設置が難しい状況にあった。
外部環境では、コロナ禍を経てテレワークやフレックスタイムといった柔軟な勤務形態が広がり、昼食の時間や場所が分散しやすい状況が続く。従来の「同じ時間に一斉に食堂へ向かう」形から、個々の就業リズムに応じた食事手段の確保が課題となり、外食・持ち込み中心だった運用から、オフィス内で手早く調達できる仕組みに関心が向かう流れが強まっている。オフィス食の周辺領域はフードテック分野でも取り上げられ、植物工場やテストキッチンなどの設備活用と並び、空きスペースを使った提供モデルが企業の健康経営や生産性向上を支える手段の一つとして位置付けられている。
対面販売で一括運用
東急での提供形態は、販売スタッフが常駐し、対面販売で日替わり弁当を提供する方式だ。ワオは、設備投資や在庫管理の負担を抑えつつ導入できる点を打ち出し、初期の設備投資を伴わずスムーズに導入可能な仕組みとする。運用面では、販売スタッフが発注・販売・撤収までを一括で担い、導入企業側はオフィス内の販売場所を確保し、福利厚生費の取り扱いを含む社内手続きとあわせて制度に組み込む。
継続性の観点では、ワオは東急以外でも類似の導入事例を持つ。例えば株式会社RYODEN(エレクトロニクス商社)では、移転前から社内で弁当販売を実施していたが、「社食DELI」導入後に購入数が2倍超となり、女性社員の利用も増加したという。東急の事例でも、販売場所に行けばすぐに弁当が買える環境が整った結果、昼食を抜いたり簡易な食事で済ませたりする社員が大きく減少したとされる。昼休みが近づくと売り場に社員が集まり、弁当をきっかけに会話が生まれるなど、社内コミュニケーションの新たなハブとして機能し始めているという。
今回の公開内容は、設備面の制約で社員食堂の設置が難しい拠点において、空きスペースと対面販売を組み合わせて昼食調達の選択肢を確保する取り組みを示すものだ。福利厚生費を活用した購入の仕組みを組み込むため、販売スタッフが担う発注・販売・撤収の範囲と、導入企業側が整える販売場所や補助の取り扱いの範囲を明確にし、運用負担を抑えながら社員に開かれた制度とすることが論点となる。東急では、こうした仕組みを通じて「みんなが使える」福利厚生への移行を進めている。
