ベルトラ株式会社は、生成AIなどテクノロジーの急速な進化に迅速に対応するため、3カ年の中期経営計画を取り下げ、実現可能なサービスを順次実装していくアジャイルな経営スタイルへ移行する方針を示した。併せて、経営の監督と執行を分離する「CxO体制」を導入し、意思決定のスピードを高める狙いがある。
テクノロジー進化への対応を軸に中期経営計画を撤回し、経営体制面では監督と執行の分離を明確にする。ベルトラは、次世代へのサクセッションプラン(経営承継)とグループ全体の意思決定スピードの最大化を掲げ、固定的な計画運営からの転換を進める。
2025年12月期は黒字転換
2025年12月期の連結業績は営業収益4,581百万円と前期比で増収となった。営業利益は105百万円、経常利益は99百万円、親会社株主帰属当期純利益は140百万円となり、前期の損失計上から黒字転換した。黒字化は2019年12月期以来となる。
成長を牽引した重点施策として、OTA事業、観光IT事業「LINKTIVITY」、クルーズ事業の3分野を挙げる。OTA事業では営業利益率が23.2%と、前年の11.6%から大きく改善した。観光IT事業の「LINKTIVITY」は営業収益891百万円で、前期比24.0%増と伸長した。
2026年12月期の業績見通しとして、営業収益5,000百万円、営業利益380百万円、経常利益366百万円、親会社株主帰属当期純利益340百万円を掲げる。あわせて、2026年12月期を売上成長最大化の段階から、収益基盤の強化とキャッシュ創出力の向上を優先する局面へ転換させる方針だ。
事業別では、クルーズ事業「VELTRAクルーズ」を2025年3月に開始した。観光IT事業「LINKTIVITY」では、インバウンド需要回復を背景にチケットプラットフォームの取扱高が伸び、「沖縄美ら海水族館」との販売連携実績も積み上げた。
一方、2025年12月期は海外旅行事業収益が期初計画を下回り、2025年11月14日に通期業績予想を下方修正した。為替の円安進行や地政学リスクの高まりなど、旅行関連市場を取り巻く外部環境の変動を受け、計画と実績の乖離が生じた。
財務面では、2025年12月期末の資産合計が9,323百万円と前期末比で増加した。流動資産は8,336百万円となり、営業活動によるキャッシュフローは920百万円の収入を確保した。
CxO体制で監督執行分離
新たな経営スタイルでは、中期経営計画を取り下げる一方で、事業環境や技術の変化に応じて機動的にサービスを実装する運用に切り替える。経営体制としては「CxO体制」を導入し、取締役会による監督機能と事業執行機能の分離を進める。アジャイル経営への移行と体制変更を同時に進め、意思決定プロセスの迅速化と柔軟性の向上を狙う。
体制面では、次世代へのサクセッションプラン(経営承継)と、グループ全体の意思決定スピード最大化を目的に、取締役会の構成を見直す。共同創業者の荒木氏と「LINKTIVITY」代表の孔氏を取締役に起用し、グループ各事業の現場をよく知る経営陣がガバナンスに関与することで、監督と執行の分離を明確化しつつ、予実管理を通じた組織の機動性向上を目指す。
旅行関連市場は為替や地政学リスクなど外部要因の影響を受けやすく、2025年12月期にも外部環境の変動が収益見通しの修正につながった。ベルトラは、固定的な3年計画の維持による乖離リスクを抑えるため、中期計画からアジャイルな運営へのシフトによって利益の最大化を図る構えだ。
重点施策とするOTA事業、観光IT事業「LINKTIVITY」、クルーズ事業は、足元の実績とも結びつく中核領域となっている。OTA事業ではマーケティング費用などのコスト管理が収益性の改善に寄与し、観光IT事業ではインバウンド需要の回復が増収を支えた。こうした事業運営とアジャイル経営の運用方針を連動させることで、成長と収益性の両立を図る。
グループ内にOTA事業、観光IT事業「LINKTIVITY」、クルーズ事業が並立する体制を前提に、監督と執行の役割分担を整理し、CxO体制の下で各事業の執行責任を明確化する。対外的な取引や協業の場面でも、権限と責任の所在をはっきりさせることで、意思決定の迅速化とガバナンス強化を同時に進める構図だ。
ベルトラは、2025年12月期の重点施策の推進と並行して、生成AIをはじめとするテクノロジーの進化に対応する経営体制を整備し、事業ポートフォリオ全体の競争力向上を図ろうとしている。
