売れるネット広告社グループ株式会社(福岡県福岡市)は、米カリフォルニア州に拠点を置く経済因果推論研究スタートアップのSimcode, Inc.と業務提携契約を締結した。Simcode社の因果推論モデル「Causal Intelligence Model(CIM)」を活用し、EC・D2C企業向けの需要予測モデルを共同開発する。在庫最適化と販促タイミングの精度向上につなげる狙いだ。
提携の柱は、Simcode社が開発したCIMの因果推論エンジンを、売れるネット広告社グループ傘下の売れるAIマーケティング社が展開するEC・D2C向けAIマーケティング支援事業に組み込む点にある。季節変動やマーケティング施策、外部経済指標が売上にどう影響するかを科学的に解析し、「相関ではなく因果に基づくマーケティング」を前面に打ち出す。SOBAプロジェクトが構築する次世代カスタマーサービス基盤も含め、三位一体で機能させる構想だ。
連結影響は軽微見込み
売れるネット広告社グループは、この提携が連結業績に与える影響は軽微にとどまるとの見方を示した。共同開発や事業化の進捗に伴い、開示すべき事項が生じた場合は速やかに知らせる方針だ。対象となるのは、同社グループが支援するEC・D2C企業向けの需要予測モデルで、在庫の過不足リスクを抑えつつ販促効果を最大化することを念頭に置いた設計を進める。
Simcode社は2018年設立で、経済因果推論AIソリューションの研究開発および提供を手がける。中核技術のCIMは、市場・企業・経済指標の因果関係を解析するAIモデルで、「なぜ動いたのか」「次に何をすべきか」を説明可能な形で提示することを特徴とする。売れるネット広告社グループは、売れるAIマーケティング社の支援ノウハウとCIMの解析能力を融合させ、高度な意思決定支援につなげる考えだ。
連携領域の1つとして、従来は過去データの相関分析に依存しがちだったEC需要予測を見直し、因果推論エンジンの導入で売上への影響要因を解き明かす枠組みを掲げる。需要変動の説明にとどまらず、季節変動・マーケティング施策・外部経済指標を同時に扱い、それぞれが売上に与える因果効果を推計する点を共同開発の軸に据える。
売れるネット広告社グループは2010年設立で、東証グロース市場に上場している。傘下の売れるAIマーケティング社はEC・D2C向けAIマーケティング支援事業を展開し、SOBAプロジェクトでは次世代カスタマーサービス基盤の構築を進めてきた。今回の業務提携で、これら既存事業とSimcode社のCIMを組み合わせることで、顧客企業のマーケティングから顧客対応まで一連のプロセスをデータ駆動で高度化する狙いが浮き彫りになった。
CIM組み込みで共同開発
両社は、売れるネット広告社グループが支援するEC・D2C企業に向け、在庫最適化と販促タイミングの精度を高める需要予測モデルを共同開発する。季節要因やキャンペーン施策、広告出稿、為替や物価などの外部経済指標と売上の因果関係をCIMで解析し、マーケターが施策ごとの効果を検証しやすい仕組みを整える。需要予測の設計思想を、単純な相関分析中心から因果効果の推定へと転換させる構図だ。
役割分担では、Simcode社がCIMの開発・改良を担い、売れるネット広告社グループが売れるAIマーケティング社の支援事業やSOBAプロジェクトの基盤と組み合わせて実装を進める。因果推論エンジンの組み込みは、売れるAIマーケティング社のサービス運営の中で行い、需要予測モデルは共同開発プロジェクトとして推進する。提供対象は同社グループが支援するEC・D2C企業で、在庫水準の見直しやプロモーション計画の立案に活用できるツールとして展開する。
EC・D2C領域では、売上変動要因が複雑化するなか、予測モデルにおいて「相関」と「因果」をどう区別し活用するかが重要な論点となっている。広告・マーケティング関連企業が海外AIベンチャーと組み、在庫や需要予測に関わるツール開発を進める動きも広がっており、今回の提携もそうした潮流の一環といえる。売れるネット広告社グループは、因果推論技術の導入で、クライアント企業の在庫・販促・顧客対応を一体で最適化する体制の構築を急ぐ。
