ユニプレス株式会社(神奈川県横浜市)は2月12日、2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算を発表した。売上高は2,251億円と前年同期比4.8%減となった一方、営業利益は67億円と127.5%増に拡大した。得意先の減産で日本・欧州で売上が減少したが、米州の増産と費用構造の見直しが利益を押し上げた。連結純利益は2億円と89.8%増だった。
営業増益の背景には、移転価格税制に関する処理方法の変更がある。日本と米州の取引において、これまで採用していた会計上の修正(会計調整)方式を、中間以降は税務申告上のみで調整する方式(税務調整)に改めた。この変更により、第3四半期累計では内部売上や関連費用の一部が計上されていない。米州セグメントは為替の影響を受けながらも得意先の増産が続き、利益面で全社の業績を下支えした。今回の決算は為替や減産影響の中で経営構造が持ち直したことを示す内容といえる。
営業利益127.5%増、米州での増産効果が顕著
売上高は前年同期比112億円減の2,251億円。得意先の減産と為替影響により日本と欧州で落ち込んだ。
一方、営業利益は37億円増の67億円となった。米州では売上高が1,005億円と13.2%増え、営業利益は103億円(同64.3%増)に拡大した。アジアも減価償却費の減少で赤字幅を縮小した。経常利益は72億円と前年同期から71.9%増となり、純利益は2億円と前年同期比約2倍に回復した。
セグメント別では、日本の売上高は前年同期比16.8%減の645億円で、営業損益は18億円の赤字(前年同期5億円の赤字)。欧州は20.2%減の273億円で13億円の赤字(同2億円の赤字)。アジアは8.5%減の326億円で7千万円の赤字(同27億円の赤字)となった。米州の回復が国内や欧州の減益を補完する構図となった。
財務基盤は安定、自己資本比率46.2%へ上昇
2025年12月末時点の総資産は2,904億円(前期末比68億円減)。現金および預金の減少などを反映した。
負債は1,358億円と79億円減少、支払手形や賞与引当金の減少が要因となった。純資産は1,545億円と前期末比10億円増で、為替換算調整勘定の増加が寄与した。自己資本比率は1.4ポイント上昇の46.2%に改善した。
資金の流動性確保では、コミットメントラインや当座貸越契約による銀行融資枠を499億円設定、そのうち261億円が未使用だった。同社は営業キャッシュ・フローと調達余力を合わせ、将来の債務履行手段を十分に確保していると説明している。
移転価格税制の処理変更、会計から税務への調整へ
今回の決算期間では、日本と米州の取引に関わる移転価格税制調整金の扱いを「会計調整」から「税務調整」に変更した。従来は帳簿上で売上や売上原価を修正していたが、米州子会社の株主から税務調整で実施するよう求められ、両社間の合意を変更した結果だ。
このため第3四半期の段階では、内部売上や米州側の営業費用に該当調整金を計上していない。第1四半期から同様の処理を行っていた場合、非支配株主利益が増加し、親会社利益は減少していたと試算している。
この処理変更は業績の実態把握に限定的な影響を与えながらも、セグメント間の損益認識を簡素化する目的を持つ。米州企業との出資関係が複雑化する中、税務面での透明性と整合性を重視した対応とみられる。
北米市場が牽引、国内・欧州は減産の影響
ユニプレスは日産自動車系向けのプレス・ボディ部品大手で、アジアと北米に生産拠点を持つ。2026年3月期第3四半期の業績では、北米の自動車生産回復と得意先増産が収益を支えた。
対照的に日本では生産調整の影響を受け、欧州でも契約先減産が続いた。為替の変動も円安方向ながら国際取引の決済コストに影響している。
自動車業界では電動化対応や生産移管に伴い、部品メーカーの国際会計処理や利益認識の基準が注目されている。
関係者の間では、今回の税務調整への移行はグローバル子会社との分業体制を安定させる契機になるとの見方がある。
通期予想据え置き、収益体質転換が鍵
同社は通期見通しを据え置いた。2026年3月期の売上高は2,950億円、営業利益90億円、純損失45億円を見込むとしており、11月時点の予想から変更はない。
得意先の生産動向や為替変動など、外部環境の変数が依然多いことを踏まえた判断だ。
配当予想も据え置き、第2四半期末と期末でそれぞれ30円、通期で60円を予定する。
財務内容の安定化が進む一方で、今後は生産地域の最適化や為替リスク管理が焦点となる。今回の決算は、米州中心の利益体質を生かしながらも、減産とコスト対応との均衡をいかに維持するかが次の課題となる流れを示している。