UiPath株式会社(東京都千代田区)は、株式会社NTTデータ・ウィズと、エージェンティックオートメーションとビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の日本市場での展開強化に向けた協業基本合意を結んだ。NTTデータ・ウィズのBPO現場にUiPathの自動化技術を導入し、業務効率と品質を高める狙いだ。
両社はこの協業を通じて、AIエージェントやRPA、人による作業を組み合わせた新しいワークフローを現場に実装し、定型業務の自律化を進める。目的は企業の生産性向上と業務変革の加速にあり、併せて人材育成や新たなBPOモデルの確立にもつなげる構想である。
日本市場向けの共同展開を計画
今回の協業は、両社が共同で国内市場向けのビジネスプランを策定し、三段階で推進する計画だ。
第一段階では、NTTデータ・ウィズのBPO業務を高度化するユースケースを策定し、AIエージェントを扱える人材を育成する。次に、業界特化型の事例を構築し、個別対応が中心だった業務を標準化する。
最終段階では、これらの事例を基にソリューション化し外販を目指すとしている。
UiPathは自社のエージェンティックオートメーション技術をNTTデータ・ウィズが運営するBPO現場に導入し、多様な業務領域で検証する。
両社は今後、生成AI技術を活用した次世代型BPOサービスの創出や、AI人材の共同育成にも取り組む方針を示している。
NTTデータ・ウィズがバックオフィス知見を提供
NTTデータ・ウィズは、NTTデータグループ内外で培ってきたバックオフィス運用の知見を集約し、2025年4月に設立された。
社長の和田泰之氏は「UiPathとの協業により、当社の業務設計力と先進的オートメーション技術を融合させ、人口減少や低生産性といった構造的課題の解決を図る」と述べている。同社ではBPO事業を担う傘下企業として、日本の次世代型BPS(Business Process Services)市場形成を視野に入れている。
また、PwD(障がい者)雇用支援サービスへの支援も事業の一環とし、人材多様性を重視した運用を進める。コスト削減や効率化だけでなく、企業価値や社会的持続性の向上を含めた包括的成長を目指す姿勢を強調した。
UiPathが国内体制を強化、リージョン昇格も
UiPathはグローバルでもエージェンティックオートメーションのリーディングカンパニーとして位置づけられており、企業がAIエージェントを活用して複雑な業務を自律的に処理できるよう支援してきた。
日本法人は同日に「リージョン」へ昇格し、米国およびインターナショナルに次ぐ経営単位として本社との直接連携体制を整えた。これにより日本市場での製品展開や機能ローカライズを一層強化する。
UiPathの長谷川康一会長兼CEOは「NTTデータ・ウィズとの協業で、日本企業の業務変革に貢献できることを嬉しく思う。両社の融合によって、企業はエンタープライズレベルで自動化とBPOを組み合わせた改革を実現できる」と述べた。
リージョン昇格による意思決定の迅速化が、協業推進を後押しする形になる。
自動化とBPOの融合進む背景
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入が進んだ日本市場では、近年AI技術との融合による次のフェーズが進行中だ。
単純な定型業務自動化から、AIが意思決定補助を行う「エージェント型」への移行が進んでいる。人口減少に伴う人材不足が進行し、業務効率化と人材活用の両立が企業の課題となる中、BPO分野での自動化ソリューションへの需要が高まっている。
NTTデータ・ウィズのように国内大手グループの運用知見を有するBPO企業が、自動化技術を内製・実践の形で導入する動きは、外販事例形成につながると業界ではみている。
UiPathはすでに多くの企業でRPA導入実績を持ち、マルチベンダー連携やガバナンス対応を強みに、金融・製造・流通など幅広い業界を対象に展開を進めている。
発言から見る業界の期待と課題
NTTデータ・ウィズの林麻由美取締役デジタルストラテジー事業本部長は「これまでは顧客企業の現状業務をそのまま請け負って効率化してきたが、今後はエージェンティックオートメーションで付加価値を創出し、顧客の業務設計を再構築していく」と説明した。単なるコスト削減型BPOからの脱却を図る姿勢がうかがえる。
一方で、AI人材育成や標準化手法の確立には時間を要する見方もある。
自動化範囲の急拡大により、運用側に過度な負荷や品質管理の課題が顕在化する可能性も指摘される。
業務標準化と個別対応力の両立が、協業の運用段階における注目点となる。
BPOモデル刷新への取り組み続く
両社は今後、協業の進捗に応じて金融・製造・小売・医療など業界特化型ソリューションを開発する。
UiPathが提供する事前構築済みの「UiPath Solutions」を活用し、現場実装のスピードを高める狙いもある。
AIエージェントと人員の協働体制を定着させ、実績が蓄積されれば、事例の外販や再利用性の高いBPO標準パッケージの提供が期待される。
エージェントによる自動化とBPO業務の現場運用を融合させる協業は、BPS市場の高度化を促す取り組みと位置づけられる。
国内のBPO事業者間で同様の枠組みが広がる可能性もあり、今回のUiPathとNTTデータ・ウィズの連携は、日本企業の生産性と人材活用が交差する変革フェーズの象徴的事例といえる。