株式会社ツインエンジン(東京都新宿区)は3月4日、アニメーション制作スタジオの株式会社ナット(東京都杉並区)の株式を取得し、グループに迎え入れたと発表した。制作現場や取引先に大きな混乱が生じたといった影響は示していない。外部流出や拡散があったとの説明もない。公式な対応として株式取得の事実を公表しており、今後の制作体制の組み方に波及する可能性がある。
ツインエンジンが制作・企画機能を束ねる側、ナットが制作スタジオとして担い手となる形で、ツインエンジングループの開発体制を厚くする。狙いは制作基盤の強化に加え、スタジオとクリエイターを企画の中核に据えた体制をさらに深め、オリジナルIPの継続的な創出と中長期的な価値向上につなげる点にある。今回の株式取得は、ツインエンジンが掲げる「スタジオファースト」を具体化する動きの一つと位置づける。
ツインエンジンがNUT取得
ツインエンジンは、アニメーションの企画・制作やオリジナルIP開発を手がける。
今回、アニメーション制作スタジオのナットの株式を取得し、グループ会社化した。取得費用は非開示とした。グループ入りによって、制作基盤の強化にとどまらず、スタジオとクリエイターを企画の中核に据えた開発体制をさらに深化させる方針だ。
ナットは2017年設立の制作スタジオで、迫力あるアクション演出や重厚な世界観構築、クリエイティブ性の高いアニメーションを強みとする。『幼女戦記』や『BLUE GIANT』など人気原作のアニメ化作品に加え、『デカダンス』『ネガポジアングラー』といったオリジナル作品も企画・制作してきた。
グループ会社化後も、スタジオの独自性を維持しつつ、挑戦的な企画開発やオリジナルIPの創出に取り組むとしている。
EOTAに18スタジオ所属
ツインエンジングループは「スタジオファースト」を掲げ、スタジオとクリエイターをものづくりの中心に据えた体制づくりを進めてきた。各スタジオが個性と強みを発揮し、世界に向けた挑戦を後押しする環境整備が、グループの持続的成長につながるとの考えを示している。
今回のナットの参画も、この方針の延長線上にある。
その中核を担う組織が「EOTA(Engine of the Animation)」である。EOTAには計18のグループスタジオ・クリエイティブユニットが所属し、スタジオ間の制作連携やバックオフィス機能の整備、クリエイティブユニットの立ち上げ支援を通じて、創作に専念できる環境を支える役割を担う。
ナットのグループ入りにより、制作面の連携余地が広がる可能性がある。
2026年に幼女戦記Ⅱ放送
ナットの今後の公開予定作品として、TVアニメ「幼女戦記Ⅱ」の放送予定が2026年と明記された。スタッフは原作がカルロ・ゼン(「幼女戦記」KADOKAWA刊)、キャラクター原案が篠月しのぶ、監督が山本貴之、キャラクターデザイン・総作画監督が細越裕治、シリーズ構成・脚本が猪原健太、アニメーション制作がNUT、製作が幼女戦記2製作委員会とする。
グループ会社化後も、制作主体としてナットが関与する枠組みが示されている。
ナットの代表取締役には角木卓哉氏が就任した。角木氏は、アニメーション制作の現場を率いてきた経験に加え、会社経営を担う立場となり「身の引き締まる思い」と述べた。
本件により経営基盤が強化され、管理体制の充実を見込めるとし、現場の熱量と遊び心をアウトプットした創造につなげる考えを示した。グループ内では他ユニットと新しい連携を生む仲間であると同時に、映像制作の「いいライバル」として前に進み続けるとも言及した。
非開示の取得費用が焦点
株式取得に関して取得費用は非開示で、取引条件の詳細は明らかにしていない。運営面では、EOTAが担う制作連携やバックオフィス整備が、ナットの管理体制充実の見込みとどう接続するかが注目点となる。
制作現場の独自性維持を掲げる一方で、グループ横断の支援機能をどう使い分けるかは、需要(制作受託や企画開発)と運用(制作リソース配分や管理)の両面に関わる。
ツインエンジンが掲げるスタジオとクリエイターを中核に据えた体制のもと、18のグループスタジオ・ユニットを束ねるEOTAの枠組みにナットが加わり、オリジナルIP創出を継続する方針を明確にした形だ。
