3月16日、中東情勢の悪化で原油価格が高騰するなか、政府は石油の民間備蓄の放出を開始した。大分市の運送会社では、元売り会社から軽油1リットルあたりの「軽油50円値上げ打診」を受けたといい、燃料費の増加が運送事業の継続や運送料の見直しに波及する可能性がある。政府の対策の効果が早期に表れるかが、荷主側のコスト負担にも影響し得る。
今回の局面では、政府が需給逼迫への対策として備蓄放出に踏み切る一方、運送事業者は元売り各社の卸価格の引き上げを起点に、契約条件の再交渉や運行現場の燃料使用量の抑制に動いている。輸送を担う事業者が燃料費の上振れにどう対応するかが、物流コストの転嫁や運行体制の維持という観点での焦点となる。
政府が備蓄放出開始
中東情勢の緊迫化で、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、原油価格は高騰している。これを受け政府は3月16日、石油の民間備蓄の放出を開始した。日本に来るタンカーは3月20日ごろから大幅に減るおそれがあるとして、今後は国家備蓄1か月分も放出する方針を示している。
鶴崎林商運輸が交渉継続
燃料代の高騰が直撃しているのが運送業界だ。
大分市の鶴崎林商運輸では、物資輸送に使うトラックの燃料価格の上昇を懸念している。同社は木製チップ輸送のほか郵便事業も請け負い、関西方面への長距離輸送も手がける。トラックの軽油代は、会社全体の経費のおよそ2割を占めるという。
同社によると、現行契約では軽油1リットルあたり115円だが、元売り会社からは50円値上げし165円とすることを打診されている。この通り値上げとなれば、軽油代は年間でおよそ6000万円増える見込みだ。
元売り会社との料金交渉を続けるとともに、運転手にアイドリングを控えるなどの燃料節約策を指示している。石榑誠二社長は燃料高の影響が長期化しないことを望む考えを示し、運送料の値上げも検討せざるを得ないとしている。
補助金は3月19日開始
燃料高は物流に限らず、ガソリンスタンドの店頭価格の上昇を通じ一般のドライバーにとっても切実な課題となっている。
政府はレギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均価格を170円程度に抑えるため、3月19日から石油元売り会社への補助金の支給を始める予定だ。備蓄放出と補助金の組み合わせが、卸価格や店頭価格の上振れをどこまで抑えるかが、運送事業者のコスト管理と荷主との運賃交渉の前提条件になり得る。
運送料見直しが注目点
運送会社側では、燃料費の増加が経費構造に直結するため、元売り会社との交渉の行方と並行して、運送料の見直しの検討が進む。
取引実務の観点では、燃料高に連動した価格改定が提起された場合に、契約上の取り決めや改定までのプロセス、現場での燃料節約指示の徹底度合いが、運行継続と費用負担の分担を左右する論点となる。
