株式会社ツガミは、中国の工作機械市場で小型自動旋盤を軸に高い存在感を示している。2025年3月期の連結営業利益は過去最高の233億円となり、営業利益率は21%に達した。中国では自動旋盤で7割以上のシェアを握り、同市場での収益が業績を押し上げている点が、取引先や競合にとっても影響を持つ。
ツガミが強みとするのは、小型旋盤の中でも「主軸移動型(スイス型)自動旋盤」と呼ばれる領域だ。棒材を自動的に送り出して回転させ、刃物を当てて同一部品を連続切削する機械で、微細加工や量産加工の需要に対応する。ツガミの稼ぐ力は中国市場への依存度の高さと表裏一体であり、同社の事業運営は中国の製造業投資や最終需要の動きと連動しやすい構造にある。
連結営業益233億円
2025年3月期の連結営業利益は233億円と過去最高を更新し、営業利益率は21%となった。
中国市場における自動旋盤のシェアは7割以上とされ、同社の利益の大半は中国市場から生み出されている。中国向け売上高の構成比も現在は7割を超え、事業の中心が中国に移っていることが数字からも読み取れる。
取引面では、中国全土で約1万社と取引している。
生産面でも中国での生産が月1500台を超え、工場のフル稼働が続いている。供給能力が一定規模に達していることは、部品加工の設備投資を進める現地企業にとって調達先の選択肢や納期対応に影響しうる。
中国で自動旋盤7割超
ツガミが中国で強いのは、小型自動旋盤というニッチ領域で技術難度が高い市場を押さえてきたためだ。
旋盤は棒材を回転させて円柱や円錐に加工する工作機械で、ツガミの主力は長い棒状材料を自動送材しながら連続切削する主軸移動型(スイス型)自動旋盤に位置づけられる。中国市場ではこの自動旋盤で7割以上のシェアを握る。
国内で小型旋盤を手がけるメーカーは限られ、ツガミのほかにシチズンマシナリー、今年3月に投資ファンドによるTOBで上場廃止となったスター精密などが挙がる。
市場ごとの重点には違いがあり、ツガミは中国、スター精密は欧州、シチズンマシナリーは中国と欧州の双方に重心を置くとされる。小型旋盤の競争軸は地域戦略とも結びついている。
スマホ受注で中国軸へ
ツガミが中国シフトを鮮明にしたのは10年ごろだ。
米大手スマートフォン向けの精密部品製造で大型受注を獲得したことがきっかけとなり、その後は自動車部品の製造でも取引先を広げた。これらの受注が、その後の事業の流れを決定づけたという。
中国向け売上高は00年代前半には1割程度だったが、現在は7割超へと拡大した。
利益面でも「営業利益は、ほぼすべてが中国市場から」という構図になっている。需要地と収益源が一致している一方、事業の継続性という観点では中国市場の需要変動が供給計画や稼働状況に及ぼす影響単位が大きい点が、運用上の注目点となる。
0.05ミリ加工に需要
小型旋盤は微細加工に強みがあり、例えば電気テスト用プローブのような極細加工では直径約0.05ミリ(50ミクロン)にまで削ることができる。
こうした微細加工が可能な機械は限られるため、ITや自動車、空圧機器などに加え、幅広い産業から引き合いがあるという。需要の裾野の広さが、中国での取引先数や稼働率の高さにもつながっている。
生産は中国で月1500台を超え、工場はフル稼働が続く。
供給が逼迫気味の状態が常態化している場合、需要側の設備投資計画と調達のタイミング調整が課題になりやすい。取引実務では、調達先の生産能力と納期対応力がどの範囲まで担保されているかが焦点となる。
中国依存の収益構造
ツガミは中国市場でのシェアと取引基盤を背景に、過去最高益と高い利益率を実現した。
小型自動旋盤という技術難度の高い領域で、スマートフォン向け精密部品から自動車部品まで受注を広げ、中国での生産・販売の規模を積み上げてきた流れがある。国内メーカー各社が重点市場を分け合う中で、ツガミの中国集中は競争地図を特徴づける要素になっている。
一方で、営業利益のほぼすべてを中国市場が占め、中国向け売上高も7割超に達するため、需要変動が供給計画や稼働の運用に直結しやすい。
中国で約1万社と取引し月1500台超を生産する体制は、現地の部品加工投資の受け皿となる反面、供給逼迫が続く局面では納期調整を含む取引条件のすり合わせが欠かせない。今回のツガミ過去最高益は、中国の製造業需要を取り込む戦略が収益構造として定着している流れを示す。
