ドローン事業を手がけるTOMPLA株式会社(神奈川県川崎市)は22日、株式会社COBALT(熊本県熊本市)と統合し、2026年1月1日付で新会社「株式会社ERI Robotics」に名称変更すると発表した。統合後はCOBALTが行っていた各事業をERI Roboticsが引き継ぎ、両社の技術と現場体制を融合して事業を展開する。統合に伴い、COBALTの中田浩毅氏はERI Roboticsの執行役員を務める見通しだ。
新会社の目的は、両社が持つドローンやロボティクス技術を連携させ、点検や监測業務を中心とした現場領域への適用を加速させることにある。TOMPLAが提供する小型ドローンやロボティクスソリューションと、COBALTが持つ操縦技術および人材育成のノウハウを統合し、持続可能な産業構造の形成を目指す。建築・土木・プラント・自然環境分野など幅広い領域を対象に事業を継続する方針だ。
ERI Roboticsが新体制発足
統合によって発足するERI Roboticsは、親会社であるERIホールディングス株式会社の連結子会社となる。新社名には、ERIグループの一員であることとともに、ドローンに限らずAIなど先端技術を活用して各業界の発展・成長に寄与する意図を込めた。
TOMPLAはこれまで、屋内点検用小型ドローン「Small Doctorシリーズ」や工場・プラント設備向け「TOMPLA Enterprise Solution」を展開してきた。こうした製品群を基盤に、ロボティクスを活用した社会基盤の維持・改善に注力してきた経緯がある。
一方、COBALTは2021年設立以来、ドローンオペレーションとパイロット育成、点検機材開発を一体化したワンストップサービスを構築してきた。プラントや土木インフラの高所・狭隘部など、人が立ち入ることが困難な場所での点検撮影やレーザー計測等を担っており、現場対応力を強みとしている。ERI Roboticsはこれらの事業を継続しながら、現場対応を強化する体制を取る。
深刻化する人手不足への対応を重視
TOMPLA代表取締役の藤本高史氏は、両社統合を「深刻化する日本の人手不足という社会課題に対応する一歩」と位置づけた。製造・建設業界では高齢化や作業員不足が課題となっており、ドローンやロボティクスによる自動化・省人化への需要が高まっている。両社の技術融合により、従来困難だった現場作業を効率化する仕組みづくりが進むことになる。
中田浩毅氏も、「新体制により現場へのロボティクス適用を加速できる」と述べ、提供するサービスの信頼性向上を図る姿勢を示した。
ドローンを中心とする遠隔点検・計測技術の普及が進むなか、運用システムの安全性と効率性の両立が課題となっており、統合による技術面・体制面の統合は、これに対応する一策となる。
ドローン事業を取り巻く環境変化も追い風
近年、国内のドローン産業を取り巻く制度的枠組みが整備されつつある。国土交通省による無人航空機の飛行許可・承認制度や、操縦者技能証明制度の導入などが進み、2025年には規制の一部が改正される方向だ。加えて、警察庁は重要施設周辺の飛行禁止範囲を従来の約300メートルから約1,000メートルに拡大する方針を示しており、操縦者や事業者に対する順守体制の強化が求められている。こうした規制の明確化は、事業運営の透明性を高める一方で、技術と安全管理を融合できる企業の存在価値を高める結果となる。
ドローン法務の専門家によると、包括申請や飛行許可の手続きは年々複雑化しており、事業者が法令遵守と技術革新を両立させることが焦点になっている。
ERI Roboticsの発足は、現場運用と法令遵守の両面から体系的に事業を進める枠組みとしても注目される。
制度整備下での持続的展開が課題
ERI Roboticsは今後、COBALT由来の点検・計測事業を維持しつつ、TOMPLAが培った製品開発力を融合させる計画だ。両社の既存顧客や現場オペレーションを引き継ぐ形で運営されるため、短期的な混乱は抑えられる見通しである。
2025年10月には親会社のERIホールディングスの連結子会社となっており、グループ全体の事業シナジーを通じて、建築・自然環境分野にも展開を広げる。
今後の焦点は、進化する法規制や市場需要にどこまで柔軟に対応できるかにある。
ドローン関連法制度の深化が進むなか、ERI Roboticsの取り組みは、持続的な現場支援モデル構築の一端を担う動きといえる。